アイコン 追報 エルピーダメモリ(株)/更生法申請 DRAMランキング・借入先・仕入先付き

DRAM製造のエルピーダメモリ(株)(東京都中央区八重洲2-2-1、代表:坂本幸雄)は、2月27日に東京地裁へ会社更生法の適用を申請し、同 日保全命令を受けた。申請代理人は小林信明弁護士(電話03-3238-8515)ほか。監督員兼調査委員には、土岐敦司弁護士(電話 03-5408-6160)が選任されている。

負債額は約4,480億33百万円(2011年3月期末)。

4月に770億円の協調融資の返済期限を控え、返済資金の資金調達が憂慮されていた同社は、金融機関との調整がうまく運ばなかったようで行き詰った。

同社は平成11年12月、日本電気(株)と(株)日立製作所が半導体市況の悪化を受け、政策的に野合して設立された汎用性半導体のPC用DRAMを製造していた。その後三菱電機も半導体部門を切り離し、同社に吸収させた日本唯一のDRAMメーカー。

そのため、資本金も2,361億4313万1742円と大きく、従業員も3,190名もいた。

リーマン・ショック後世界中でPC等売れなくなった電子業界、エルピーダが主力とするPC用DRAMは汎用性半導体ゆえに価格競争から大幅に単価が下落。エルピーダは最近は更に超円高により輸出の採算性も大幅悪化、赤字に至っていた。

半導体は産業の米とまでいわれているが、今や世界中で生産され、特に韓国・中国での生産が大きくなっている。

 

平成12年のDRAMシェア

首位は韓国のSamsung 37.4%

2位韓国のHynix 21.4%

3位日本のエルピーダメモリ 16.2%

4位米国のMicron(傘下に台湾の南亜科技) 12.6%

5位台湾のTMC(台湾メモリー)

であったが、Samsungを除き大幅赤字となっていた。

 

電子業界は、半導体メーカーのDRAM市場の需給バランスは急激に崩れ、大幅に値下がり、その結果、首位のSamsungを除き大幅赤字に至った。エルピーダは、台湾メモリー(TMC)社などと業務提携などして危機を回避したが、2008年では3位にあったドイツQimonda社は、平成21年1月に破産した。

危機に瀕したエルピーダメモリは、平成21年8月資本増強を、改正産業活力再生法を活用して、日本政策投資銀行を割当先とする政府保証付の優先株式300億円を発行、同年11月には協調融資などで1,100億円を調達、乗り切りを図った。

DRAM市場は、37.4%のシェアーを持つSamsung、2位のHynixも21.4%と韓国勢が市場を圧倒している。そのため、3位の日本のエルピーダメモリと4位の米国のMicronおよび5位の台湾のTMCと統合する計画が持ち上がり、韓国勢に立ち向かおうとしたが、Micronが最終的に難色を示し、エルピーダとTMCが業務提携しただけとなっていた。

リーマン・ショックから立ち直りつつあった世界経済も欧州財政危機に端を発した再度の落ち込み、半導体市場は回復しないまま更に悪化、日本にあっては超円高によりエルピーダは危機に瀕し、米国のMicronや台湾のTMCとの経営統合を再度模索していた。

 

業績については下記の通り

今や世界中で半導体も半導体製造装置も生産されており、いくら容量が大きくなってもすぐに値下がり始めるのが汎用性の高いPCDRAM。日立やNECが過去切り捨てた事業であり、よほどの技術の高度化や高生産性の技術革新をやっていかない限り、この分野は事業として成立しなくなっている。

この間にあっても利益を出す韓国勢は、その技術的な開発投資や設備投資をいくらでもできたが、エルピーダは利益が出せないからこそ、その開発に後れを取り、ますますSamsungらに遅れを取ってしまった結果が今日のエルピーダであろう。

 

世界的な時代の流れでもある。

バブル時代に日本勢から押されアメリカのGEが家電業界から完全撤退して新たなる道を切り開いていったが、日本の現状も当時のGEとまったく同じはなかろうか。

今世界一元気な韓国のサムスンは、既に液晶部門は赤字となっており、明日は中国勢が殆どの分野で韓国勢を凌駕していくものと思われる。

Made in Japanの信用は、電子業界では今や生産技術そのものが世界で平準化され、どこの国も信用・信頼性は高くなり、言葉そのものも過去になりつつある。そうしたなかで、アイデアや新技術開発が乏しくなっている日本は世界から忘れられないようにすることだけでも大変であろう。

日本の政治が、今、世界の大局から産業を誘導していく必要があるにもかかわらず、内輪の政治に明け暮れ、取って変わり続ける首では日本沈没も致しかねなかろう。

ドジョウじゃ大局を見る度量は全くない。

2010/3月期の国内半導体売上高ランキング
企業名
売上高(億円)
東芝(電子デバイス事業)
1兆3,091
パナソニック(デバイス事業)
1兆0,053
日立製作所(電子デバイス事業)
9,986
富士通(電子デバイス事業)
4,946
ルネサスエレクトロニクス
4,710
エルピーダメモリ
4,669
東京エレクトロン
4,186
ローム
3,356
ソニー(半導体事業)
2,778
ニコン(精機事業)
1,501
HOYA(エレクトロオプティクス事業)
1,433
京セラ(半導体部品関連事業)
1,405
大日本スクリーン製造(電子工業用
1,250
三菱電機(電子デバイス事業)
1,195
長瀬産業(電子事業)
1,175
日立ハイテクノロジーズ(電子デバ
1,140
東京エレクトロンデバイス
851
 
エルピーダメモリの業績推移
連結/百万円
売上高
営業利益
経常利益
当期利益
2011年3月期第3四半期
422,204
41,025
21,748
10,292
2012年3月期第3四半期
219,610
-92,306
-102,864
-98,906
連結/百万円
2009年3月期
2010年3月期
2011年3月期
2011年3月期予
売上高
331,049
466,953
514,316
未発表
営業利益
-147,389
26,845
35,788
 
経常利益
-168,757
12,290
13,854
 
当期利益
-178,870
3,085
2,096
 
総資産
965,289
947,450
878,970
 
自己資本
167,295
263,637
285,767
 
資本金
158,665
203,860
215,663
 
有利子負債
494,936
438,989
337,180
 
自己資本率
17.30%
27.80%
32.50%
 
 
エルピーダの主要借入先 平成23年3月期  /百万円
日本政策投資銀行
21,333
住友信託銀行
21,007
みずほ銀行
21,007
三井住友銀行
21,007
三菱東京UFJ銀行
21,007
日本政策金融公庫          国際協力銀行
12,278
 
<仕入先>
買掛債務
平成23年3月期/百万円
Rexchip Electronics Corporation
9,098
住友商事㈱
7,534
Powertech Technology Inc.
4,994
東横化学㈱
3,349
凸版印刷㈱
2,740
リース債務
平成23年3月期/百万円
興銀リース㈱
16,995
日本電子計算機㈱ 
16,525
エルイーアールリース㈱ 
7,763

 

[ 2012年2月28日 ]
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