アイコン ぺんてるに対する敵対買収に プラスが乗り出す 争奪戦の経過

 

 

文房具メーカーのコクヨが15日から来月15日まで、非上場のぺんてるの敵対的買収に乗り出している問題で、ぺんてるがほかの第三者と資本提携をしようとしている相手企業は、文房具大手のプラスであることが分かった。

 
その際、理由としてぺんてるが第三者との間で資本提携を計画しているためだと説明した。これについて、この第三者が文房具大手プラスであることが分かった。
 
プラスは、ぺんてるの株式を取得するための会社を今月5日付けで設立し、コクヨによると、その準備に入っているという。
 
そしてプラスが提示した株式の買取価格がコクヨと同額だったとして、コクヨは20日、買取価格を1株当たり250円引き上げて3750円にしたことを発表した。
 
筆記具の分野で高い技術力があり、海外に強い販売ネットワークをもつぺんてるをめぐって、コクヨとプラス双方が株式の取得を目指す争奪戦になっている。
 
ぺんてる「株主にコクヨからの買い取り要請に応じぬよう依頼」
ぺんてるは、「プラスから、業務提携を前提として当社の株式を購入したいとの申し入れがあったのは事実で、株主に対して、コクヨからの株式の買い取りの要請に応じないよう文書で依頼している」と述べた。
一方、コクヨが買取価格を引き上げたことについては「コメントする立場にない」と述べている。
 
コクヨは、すでにぺんてるの株式の約37%を直接保有し、筆頭株主となっているが、ぺんてるが第三者と資本提携を果たした場合、今後の業務提携が不可能になり、双方の企業価値が損なわれるとしている。
 
一方、ぺんてるは、コクヨが子会社化することに踏み切ったことについて、「当社への事前連絡および当社との協議もなく実施された一方的なものであり、当社としては決して容認できるものではない」としたうえで、コクヨが子会社化する方針を明確にしたことに「強い憤りを覚える」としている。
以上、
文房具ではコクヨが№1であるが、文具に限ればプラスが№1である。
 
ぺんてるの経歴と創業家の株売却
堀江幸夫の父で筆職人の利定が1911年に創業した「堀江文海堂」という筆や墨、硯の卸問屋を浅草で営んでいたのが祖。
その後、幸夫が後を継ぎ戦後の1946年に現在の本社所在地に移転し大日本文具(株)を設立。
当初は文具の卸売業であったが、後に自社での生産・販売を開始した。
最初に生産したのは粉墨とクレヨンで、以降は他の文具も手がけるようになった。さらに文具だけにとどまらず、自社で使用する生産機器も製作していたことから、それらの生産・販売も手がけるなど、取り扱う品目を増やしていった。
「先っぽ(ペン先)の技術」「色」「敷居を下げて気軽に使える商品開発」を重点とし、サインペン、プラマン、ぺんてる筆、エフ水彩などを生み出す。その後もドットイーボール、エルゴノミックス、ランスロットシリーズ、エナージェル、ローリー、ビクーニャ、ノック式マーカーなど数々の商品を開発した。
長きに渡り大日本文具の創業者の堀江幸夫が社長を務め、後に幸夫の息子・利幸に譲ったが、創業者の父や親族との軋轢に耐えられず、1987年に本社ビル屋上から飛び降り自殺してしまった。しばらく、創業家一族以外から社長が出ていたが、2002年6月に利幸氏の息子・堀江圭馬が当時32歳で就任した。
しかし、2010年に役員会で降格され、圭馬は再度復帰を図ろうとしたものの、創業家一族でも一枚岩ではなく、圭馬は過半の株を集められず、堀江圭馬一族の37.5%の持株を2018年3月に投資ファンドに売り払ったことから、今回の問題が生じている。この株には譲渡制限も付いていたのだが・・・。
当然、投資ファンドに色気を出したのがコクヨということになる。
2012年5月、代表取締役社長に和田優が就任。オレンズがヒットしたほか、昭和時代から発売しているスマッシュやボールぺんてるの人気が急速に広まった。
2018年3月に東証一部上場のマーキュリアインベストメントが運営する投資ファンドが、ぺんてる株の37.5%を創業家から取得して筆頭株主となり、2019年5月にはコクヨが投資ファンドに出資したことにより、間接的に資本参加する形となった。
2019年9月24日、マーキュリアインベストメント運営の投資ファンドが所有していた株式をコクヨが取得した。
これにより、正式にコクヨがぺんてるの筆頭株主になり、コクヨの持分法適用関連会社にもなった。
2019年11月15日、コクヨがぺんてるに対して敵対的TOBを実施、連結子会社化を目指すことを表明した。
提携に向けた話し合いから一転、敵対的な買収に方針が切り替わった背景には、ぺんてるが同業他社との資本業務提携を模索していたためとも報道された。
 
ぺんてるはプラスに対して、第3者割り当て増資を行い、コクヨの持株比率を33%以下にすれば、コクヨに勝ち目はない。取締会の割り当て増資に対する株主による拒否権を行使しようが、それは裁判所で解決することになり、割り当て増資は実行され、コクヨはぺんてるを買収できなくなる。当然、堀江氏直系以外の創業家一族と思われる62.5%の持株5,625株を現経営陣が押さえていることが前提となる。
現経営陣は、株主に対して特別配当の約束でもすれば、乗り切れると見られる。自己資本率は36.92%、少し切り崩せば特別配当できる。(不動産の再評価で自己資本を大幅に増加させることも可能と見られる)
コクヨにしても、完全子会社ではなく、過半数を目指しており、株主から全株を取り上げるものではない。ただ、いずれ全株を買収し完全子会社にする予定だろう。
コクヨにしてもTOBを行うならば、既存株主と話し合いをして売却意向の確認をして行うべきだったろう。
非上場の同社株には譲渡制限が付いており、これも裁判では問題になる。

 

会社名
ぺんてる株式会社
非上場
本社所在地
東京都中央区日本橋小網町7番2号
事業内容
文具、事務機器、生産機械等の製造・販売など
代表者
和田優(代表取締役社長)
資本金
4億5,000万円
発行済株数
,000株
業績
↓2019年3月期共通
売上高
235億0600万円
営業利益
7200万円
経常利益
4億7000万円
純利益
3億8500万円
純資産
123億8600万円
総資産
335億4700万円
従業員数
約800人
決算期
3月31日決算
主要株主
コクヨ(37.5%)
主要子会社
ぺんてるケミカル(株)
グローバル工業(株)
ぺんてる建設(株)式会社

 

[ 2019年11月21日 ]

 

 

 


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