アイコン 韓国12ヶ月連続の輸出不振 半導体DRAM価格▲65%安が原因

 

 

韓国の産業通商資源部は1日、11月の韓国の輸出が前年同月比▲14.3%減の441億ドルだったと発表した。

2018年12~19年11月までの累計輸出額は5,450億8,000万ドルで、その前の12ヶ月(17年12月~18年11月)を▲10.1%下回った。
年間の輸出減少率で2桁台の減少を記録するのは世界的金融危機のピークに当たる2009年の▲13.9%減以来となる。
 
半導体、石油化学、石油製品など主力製品が、世界的な供給過剰、原油価格下落などの影響で値下がりし、輸出額が減少したほか、米中貿易戦争の影響による影響もあった。
主要13品目のうち、半導体、石油化学、鉄鋼、ディスプレー、繊維の5品目は輸出が一度もプラスに転じることなく減少が続いた。輸出市場で最も大きな割合を占める対中輸出(約25%)も米中貿易戦争の影響を受け減少が続いた。
■悲惨だった過去1年
1、半導体、韓国を代表する輸出製品である半導体は、最近12ヶ月の輸出が▲25.1%減少した。供給過剰で8GB DRAMの価格が昨年11月の7.91ドルから2.81ドルまで▲64.5%も急落した。
2、石油化学、15.0%減の原油価格の下落により、製品の平均価格が昨年の1トン当たり1346ドルから今年は1125ドルと▲16.5%値下がりした。
3、合成樹脂製品、米国製品との競争で輸出が減少し、
4、合成ゴムは最大の需要先である自動車産業における生産減少で輸出が減少した。
 
対中輸出不振は▲17.2%減、米中貿易戦争による中国景気の低迷、輸入需要が全般的に減少したことによるもの。今年に入り、韓国の対中輸出は4月の▲4.6%減を除けば、2桁台の減少が続いている。最近は減少幅が拡大している。
 
10月の全体の輸出も過去1年間で最大の▲14.8%減となったのに続き、11月もそれに近い減少となった。
特に、半導体、自動車、機械、石油化学、石油製品の5大品目は最近、2ヶ月連続でマイナスとなった。
 
5、自動車は1~9月に3月の▲1.3%減を除けば、+成長を維持してきたが、10月は▲2.3%減、11月は▲1.4%減とマイナスに転じた。SUV新車攻勢も短期間で息切れ状態となった。最近、世界の自動車メーカーがSUV(スポーツタイプ多目的車)、エコカー分野で競合モデルを発売し、競争が激化した影響によるもの。
 
韓国の輸出の72.6%を占めるこうした「5大市場」である中国、米国、ASEAN、EU、日本への輸出は、いずれも2ヶ月連続で減少した。
 
特にASEAN向け輸出の不振は韓国製品の競争力低下が原因ではないかと懸念されている。
▲28.4%減の半導体は、台湾、タイ、日本製との競争、▲31.0%減のディスプレーは京東など中国製パネルの供給増加による影響が大きかった。
 
■産業省「来年1~3月に回復」予想
産業通商資源部は今年10月を底の▲14.8%減として、輸出の減少幅が縮小し、来年1~3月ごろにプラスに転じると予想している。
半導体単価の上昇、米中貿易戦争の緩和が見込まれることによるもの。しかし、今年の輸出が低迷だったのと比較して増えるだけだとする厳しい見方もある。
韓国政府は来年、貿易金融の規模を今年より2兆3000億ウォン(約2100億円)拡充し、158兆ウォンを供給することを決めた。
以上、韓国紙参照
 
米中貿易戦争は、早期に完全解決する見通しは0、和解に合意したとしても段階的な合意となる。しかも、中国が主張している「(合意部分を)同比率で双方が制裁関税を解除していく」もの。
ただ、米国の物価上昇率は2500億ドル中国制裁でもほとんど上がっておらず、米トランプ政権は条件を飲むか不明、米産農産物だけ中国制裁を緩和させる可能性すらある。
新たに浮上した香港問題しだいでは、簡単に制裁を解除した場合、経済面では唯一過半数の米国民の支持を得ているトランプ氏にマイナス影響する。
 
また、ここ数年、韓国の貿易で目くらましになっていた半導体の輸出額急増は、今年4月まで量が拡大し、額のマイナス幅は小さく、単価下落と輸出量しだいでは不振は来年4月まで続く可能性がある。(今年春節は2月、来年は1月であり、2月は輸出増になることは確定的。韓国は大幅に回復したと有頂天になる可能性もある)

 

韓国輸出月別推移/百万ドル
 
2018年
前年比
2019年
前年比
1月
49,210
22.2%
46,175
-5.4
2月
44,880
4.0%
39,451
-12.1
3月
51,580
6.1%
47,046
-8.2
4月
50,060
-1.5%
48,829
-6.2
5月
50,980
13.5%
45,907
-9.4
6月
51,230
0.0%
44,180
-13.5
7月
51,880
6.2%
46,136
-11.3
8月
53,270
13.7%
44,200
-13.6
9月
50,580
-8.2%
44,710
-11.7
10月
54,970
22.7%
46,780
-14.7
11月
51,720
5.0%
44,100
-14.3
12月
48,206
-1.3%
 
 
605,169
5.5%
497,514
-11.2%
2019年は1~11月までの累計値で、前年比は前年同期間比。
 

[ 2019年12月 2日 ]

 

 

 


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