アイコン デフレ傾向から脱却できるか韓国経済 他力本願

 

 

日本のデフレは、バブル崩壊の影響とともに、産業崩壊があった。この間、(通商外交で米国から輸出圧力かをかけられた)半導体や家電製品が、韓国勢の台頭により世界市場から追い出され、新規正規雇用の大幅減少、リストラの大幅増、失業率上昇、低賃金の非正規雇用拡大、残った企業も円高により海外へ工場を移転させ、総需要が減少し続けデフレに至った。
これに対し日本政府は、バブル時(1993年まで)の官主導の開発投資やバブル崩壊からは大量の公共投資をばら撒き、財政悪化を招き、2012年末、安倍政権が誕生するまで聖域なき削減を標榜した緊縮財政が続き、総需要を喚起することはなかった。

韓国の場合は、韓国経済の屋台骨である輸出産業が、これまで中国勢の台頭により駆逐されてきたが、好調だったスマホが中国勢の台頭で頭打ちとなったものの、変わって半導体が2016年初めから好況に転じ、輸出の増加基調が続いた。しかし、大手3社とも銀行に救済された造船不況に見られるようにほかの製造業は不振が続いていた。

輸出大国であり、世界経済の動向に左右されるのは仕方なく、米中貿易戦争では、世界の工場である中国経済の低迷の影響を大きく受けている。
日本同様、新産業分野の育成はままならず、中国の台頭に模索を続けている。
(日本政府は、日本の未来産業でもあるiPS細胞研究でさえ、支援を2022年まで約束していたものの、反故にしようとしている)

韓国の場合は、ウォン安で輸出企業にとっては好為替環境であるものの、国の労働政策により大幅な労働コスト増を受け、海外へ工場投資する企業が続出し(日本は円高で工場が流出してしまった)、国内投資の減少が雇用減少の原因ともなっている。

韓国経済を見る場合、輸出比率が高いものの、国内経済への波及効果が少ない半導体を除いた経済数値で判断する必要がある。

消費者物価指数は、この間、最低賃金の大幅上昇で生活必需品物価が大幅に上昇しているにもかかわらず、また、公共性料金が上昇しているにもかかわらず、こうした消費者物価指数の低迷は、デフレ傾向が現実のものとなっているといえる。

それでも、日本と韓国の大きな違いは、外資比率が高いというリスクはあるものの財政による雇用創出=公共投資の拡大余力が大きくあるということであろう。
雇用創出力・経済波及効果の高い分野や新規産業分野に大型の財政出動により、韓国経済は回復してくると見られる。

だが、現実の文政権は、失業対策では、正規・短期に限らず非生産分野の官公庁に大量採用させ、その膨大な資金を公共機関に支出、また、(失業者を出さないため)中小零細業者にも膨大な補助金をバラ撒き、見かけの失業率を大幅に減少させているものの、それは財政の浪費に過ぎず、いつまでも続けられるものではない。

経済波及効果の高い公共投資を大幅に増加させ、経済の内在力に刺激を与え、企業が自力により永続的に就業者増を諮る力を養うしかない。それが本来の公共投資の拡大策であろう。

公務員数十万人を新たに採用した文政権、文政権の時代は、さして問題にはならないだろうが、その後の政権には大きな負担を生じさせ、無責任な政策といえる。

最近の文政権は、安倍政権に感化されたのか、真似たのか、公共投資にもまい進してきている。
ただ、ひも付きや過去投資効率から否認された事業などが来春の総選挙に向けた党略により執行されており、いくら財政投資しても企業投資の点火は限られ、このような公共投資バラ撒きでは経済を自力で立て直すには困難と見られる。

これでは、もともと韓国経済は国内市場が限られ、中国経済の回復や米中貿易戦争の和解、東南アジア・世界経済の回復という他力本願から抜け出すことは困難と見られる。

現行、危機に至らない程度のウォン安は、輸出産業には好影響を与えているが、市場悪で業績を悪化させている現実がある。

文政権は規制改革をうたいながら、現実は規制を大幅に増加させ、企業活動の足かせを増加させ、その上、左派政権ゆえ、労働組合は組織を拡大させ、政権への、企業への圧力を強め、疲弊した企業の経済活動の動きに対しマイナス面を増加させている。自動車の外資メーカー3社の現実を見れば、一目瞭然だろうか。

[ 2019年12月 3日 ]

 

 

 


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