アイコン ルノーサムスン 再びストに突入 ルノー「XM3」の生産に支障も

 

 

ルノーサムスン社の労働組合が、再びストライキに入り、来年発売されるルノーの新車「XM3」の国内向け生産への支障が懸念され、輸出向けの生産量確保も難しくなると予想されている。

北米輸出向け日産ローグの委託生産契約が終了する来年3月以降は「生産の崖」が憂慮される。ルノーサムスン協力会社である釜山・慶南地域の125社の連鎖的な不渡りにつながるおそれもある。
 
(日産ローグ=エクストレイルは、2014年9月に当時のゴーン会長の命で経営不振のルノーサムスンに生産委託した。モデルチェンジに合わせ契約は5年であったが、日産ののろま経営者たちによりモデルチェンジが半年遅くなり、米国ではモデルチェンジ間近として買い控えも生じ日産車は売れていない。それでいて、生産コストが安い九州苅田工場で生産できるにもかかわらず、生産委託し続ける日産である。こんな日産では再び経営不安が頭をよぎる)
 
ルノーサムスン車の労働組合が20日の夜間勤務から部分ストに入り、23日にも部分ストを続ける見込み。ルノーサムスン労働組合の関係者は「基本給引き上げ要求案が受け入れられるまでストを続ける予定」としている。
 
使用者側は労働組合の方針に反対する職員を投入して非常稼働に入った。使用者側の関係者は「23日午前9時から昼間勤務組が部分ストに入れば非常人材を投入する予定」とし「部分ストによる生産損失をすべてカバーできるわけではないが、被害を最小化するための措置」と説明した。
 
ストが長期化すればルノーサムスンの打撃は大きい。来年発売される新車XM3の生産への支障が予想される。国内向けの生産はもちろん、輸出用数量契約に失敗する可能性が高まる見込み。ルノーサムスンの立場では来年の新車委託生産量の確保に死活がかかっている。釜山工場の生産全体のおよそ半分を占める委託生産量を失えば、ルノーサムスン工場の稼働率は大きく落ちるしかない。
 
ルノーサムスンが10月から釜山工場の1時間あたりの生産台数を従来の60台から45台に減らしたのも、日産ローグの生産台数が10万台から6万台に減少したことによるもの。日産ローグの委託生産契約は来年3月に終了する。
ルノーサムスンが新車XM3の輸出量の配分を受けることができなければ、来年3月以後は生産急減が懸念される。
 
使用者側の関係者は「労働組合が要求するように基本給を引き上げれば、ルノーグループのスペイン工場より生産単価が高くなるため輸出量の確保が難しくなる」とし「労働組合がストを中断すれば再交渉に臨む計画」と話した。
 
ルノーサムスンのスト長期化は地域経済の沈滞につながる見込み。
釜山商工会議所が2019年10~12月期の釜山地域の製造業景気展望を調査した結果、自動車部品業種は主な取引先である国内自動車業界の労使問題と不振で部品供給の減少を懸念していることが判明している。また、中国の自国産保護主義強化とグローバル過当競争で輸出が減少すると予想される。
 
釜山地域で自動車企業はルノーサムスン車だけで、ストが続く場合、釜山・慶南一帯の125の協力会社が危機を迎える。
サムスン車の協力会社は全国で224社にのぼる。協力会社は、前回の部分ストの長期化で工場稼働率が30%以上落ちたとし、今回もストが長期化すればルノーが工場を停止させることにならないか心配だとのべている。
 
これに先立ちルノーサムスン社側は900万ウォン(約85万円)の一時金支給と変動給の固定給転換で通常賃金120%引き上げ交渉案を提示したが、労働組合は基本給引き上げ要求が受け入れられなかったとして交渉を中断している。
以上、韓国紙参照
 
労働組合の主導権を握るのは過激な民主労総、現代自動車はそうした労組のストにより、今では世界一労働コストの高い自動車会社になっている。それでいて欧米日メーカーより2割安く販売し、利益を出す企業体質、いかに中小企業の協力会社が虐められているか理解できる。その中小企業も最低賃金増の文政策によりコストが上昇しており、現代自動車の部品調達コストをジワジワ押し上げることになる。
 
ルノーサムスン自動車は、サムスン自動車が2000年に実質経営破たんし、ルノーが資本注入して傘下にした。サムスンの看板があるだけに韓国でも一定売れているが、サムスンは年内に資本関係を解消するとして現行20%の持株を売却すると発表している。
当然、ルノーサムスンからサムスンの名が消える。ルノーだけでは民族主義の韓国では売れず、海外販売を強化するしかない。
ルノーの戦略車クーペSUV「XM3-インスパイア」(腹ボテのクーペ仕様)は、日産ローグの代替としてルノーサムスンで生産する予定であったが、ストばかりしているうちにスペイン工場へ持っていかれた。
韓国やアジアで売れ、欧州でも計画以上に売れればルノーサムスン工場も生産量が確保できようが、売れなければ生産台数は限られる。
「XM3」は、昨年からロシアで生産販売している「アルカナ」の兄弟車。日産ローグは計画では年間10万台、ピークでは12万台以上生産委託していた。
ルノーはロシアで「アルカナ」を今年投入しているが、1~11月前年同期間比同の128,982台販売で販売台数増にはなっていないようだ。
(2018年は前年比0.3%増の137,062台であり、その「アルカナ」効果は販売台数に影響を与えていない。ロシアの2018年の自動車市場は160万台で、うち21%を現代と起亜が有し№1。)
 
韓国民は外車が大好き、それもドイツ車が大好き、フランス車はルノーサムスン車除き圏外、ドイツ車ばかり売れている。
 
ルノーサムスンの世界販売台数推移
 
2017年
2018年
前年比
2019年
前年比
1月
20,256
21,847
7.9%
13,693
-37.3%
2月
20,582
15,994
-22.3%
11,721
-26.7%
3月
25,281
27,059
7.0%
13,796
-49.0%
4月
22,444
23,096
2.9%
13,720
-40.6%
5月
20,517
16,101
-21.5%
14,228
-11.6%
6月
26,815
21,921
-18.3%
18,686
-14.8%
7月
23,295
18,565
-20.3%
15,874
-14.5%
8月
19,469
12,733
-34.6%
12,987
2.0%
9月
26,182
14,582
-44.3%
15,208
4.3%
10月
19,694
18,630
-5.4%
14,826
-20.4%
11月
25,759
18,601
-27.8%
15,749
-15.3%
12月
26,515
18,462
-30.4%
1~11月累計
合計
276,808
227,577
-17.8%
160,488
-23.3%
ルノーサムスン世界販売台数推移
 
販売台数
前年比
 
日産ローグの生産委託は来年3月まで。
ローグはゴーン問題もあり米国では昨年から売れなくなってきている。
2012年
154,309
 
 
2013年
131,010
-15.1%
 
2014年
169,854
29.6%
ローグ投入
2015年
229,082
34.9%
 
2016年
257,345
12.3%
 
2017年
276,808
7.6%
 
2018年
227,577
-17.8%
 
 

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[ 2019年12月23日 ]

 

 

 


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