アイコン 中国 鉄鋼の次は石油類の輸出が大問題へ

 

 

中国は2014年ころには需給バランスが崩れ、大量に欧米へ輸出し、欧米から猛批判を浴びた。

その結果、一帯一路戦略を急ぎ、世界中の発展途上国にインフラ投資を大義名文に借金の漬物国にするとともに、中国の親交国に育て上げている。

そのインフラ投資ではアフリカだろうと南米だろうと中国から資材や労働者を持ち込み、現地にお金を下ろさない悪徳商法であるが、現地政権にとっては大きな裏金が入り、インフラも整備され、中国からの民間投資も平行して行われ、少しは潤うことになる。

インド洋や太平洋諸国ではその後の観光客までクルーズ船で押し寄せ、潤させてもくれる。そうした世界の国々へ鉄鋼を輸出し、欧米からの批判をかわしながら輸出市場の拡大を図っている。



 

世界と中国の粗鋼生産量
 
世界
中国
 
千トン
千トン
シェア
前年比
2008年
1,343,429
512,339
38.1%
 
2009年
1,238,755
577,070
46.6%
12.6%
2010年
1,433,433
638,743
44.6%
10.7%
2011年
1,538,003
701,968
45.6%
9.9%
2012年
1,560,131
731,040
46.9%
4.1%
2013年
1,650,354
815,410
49.4%
11.5%
2014年
1,669,450
822,308
49.3%
0.8%
2015年
1,620,001
803,825
49.6%
-2.2%
2016年
1,626,954
807,609
49.6%
0.5%
2017年
1,690,479
831,380
49.2%
2.9%
2018年
1,789,612
928,264
51.9%
11.7%
2019年注
1,850,120
984,320
53.2%
6.0%
注、2019年は未発表のため1~6月の倍数値
 
<石油製品輸出>
こうした戦略は鉄鋼だけではない。鉄鋼やセメントでインフラを整備したら次は石油製品の輸出先になる。
 
今年の世界の原油市場は、トランプ米大統領とイラン指導部の強硬派の動きを予想するのは難しいが、双方戦争回避で落ち着いてきている。
中東情勢は、原油価格への実際の影響が弱いものであっても、原油の生産者やトレーダー、買い手の注目をもっぱら集める。
しかし、中東戦争回避の場合、原油市場に与えるのは、世界最大の原油輸入国である中国の動きが原油市場により核心的な影響を持つ。
 
中国の原油輸入と精製された燃料輸出は昨年急増した。12月分の公式統計はまだ発表されていないが、昨年の原油輸入は前年比約10%増えたように見える。
 
昨年1~11月の原油の輸入は日量1010万バレル相当で、前年比10.5%増。中国の昨年12月の原油輸入は日量1070万バレル前後で、実際この通りなら通年も日量1010万バレル前後と、前年から約90万6000バレル増えたことになる。
国際エネルギー機関(IEA)は、昨年の世界の原油需要の伸びを日量120万バレル程度と見積もっており、中国がこの大半を占めることになる。
 
<中国・石油精製所2ヶ所開設>
19年1~11月実績 石油製品日量140万バレル輸出・
国内需要は800万バレル後半
80万バレル能力の工場2ヶ所新たに開設 精製能力は1200万バレル超へ
20年1~4月の輸出53%増予想
 
0116_02.jpg
 
中国の原油需要が旺盛になったのは、合計で日量約80万バレルの処理能力を持つ新たな製油所2ヶ所が稼働したことと、原油の商用・戦略備蓄の積み増しの動きにある。
精製能力拡大は中国の原油輸入が高止まりする構造的要因となっている。
 
一方で、備蓄の積み増しが今後も続くかどうかはやや疑問も残る。中国は戦略石油備蓄(SPR)の水準を公表していない。
しかし、1つ可能性があるのは、中国のSPRは輸入90日分に近づいている。昨年9月のサウジアラビア石油施設への攻撃後、中国の当局者はSPRが輸入80日分だと明らかにしていた。
 
原油輸入量と国内の原油生産量、原油精製量から試算すると、中国は昨年1~11月に日量約96万バレルのペースで商業・戦略備蓄を積み増したように見える。
中国が今年もSPRの積み増しを続ける可能性はあるが、昨年と同様のペースは考えにくい。
 
<日本の製油所、稼働低下も>石油製品140万バレル輸出
 
0116_01.jpg
 
中国は原油輸入を増やすかたわら、石油製品の輸出を増やしている。
昨年1~11月の石油製品輸出(主にガソリン、軽油、ジェット燃料)は日量140万バレル前後と、前年同期比14.2%増加した。
中国政府は昨年末、今年の石油製品の輸出割り当ての第1弾を発表し、前年の第1弾と比べて53%増とした。
 
中国政府は通常、年間に少なくとも3回に分けて輸出割り当てを発表していく。これは国内市場向けに十分な供給を確保する一方で、大手石油精製会社に余剰分の燃料の輸出を認めるのが主な狙いとなっている。
 
第2弾以降も第1弾と同じパターンが繰り返されるならば、中国の精製燃料の輸出が大幅に増えるのはほぼ確実。
これはアジア諸国の精製マージンに影響を与える一方、原油需要を奪う方向に働く可能性がある。中国以外の世界の原油需要の低迷が続くなら、中国が輸入し、精製して輸出する大量の原油が、他地域の原油に取って代わりかねない。
 
言い換えれば安価な中国の燃料輸出の拡大が、日本や韓国、シンガポールなど中国製品との競争を強いられる国々で、精製稼働の低下を招く可能性が高くなる。
以上、
 
中国は、国家戦略価格による石油製品の価格では、日本や韓国などの海外勢はかなわない、産油国の(メジャー運営)石油精製施設の販売価格より安いという。
原油産出国以外の石油市場は、中国勢に駆逐される運命にある。鉄鋼のように。
ただ、欧米は国家の基本をなす鉄鋼と石油精製を守護することから、ここでも鉄鋼のような問題が生じるが、欧米を回避し、欧米が輸出していた国々を世界中で駆逐して輸出を拡大させることになる。
韓国は石油製品輸出のウエイト(2018年、燃料と石油化学品の輸出構成率は21.8%)が高く、輸出主導経済にも影響する。

[ 2020年1月16日 ]

 

 

 


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