経済産業省が29日発表した7月鉱工業生産指数速報は、上昇幅が当初計画から大きく下振れ、内容も良くなかった。
出荷が6ヶ月ぶりに上昇したが、輸出向けの機械だけが気を吐いている状況で、増税反動減が続いている自動車など耐久財の在庫積み上がりが止まらない。
8・9月の生産予測は、足元の落ち込みにより上昇したように見えるが、水準は元の計画より下振れた。経済産業省は「生産は弱含み」と判断を据え置いた。

7月の生産指数は前月比0.2%上昇の96.8となり、2ヶ月ぶりに上昇した。ただ、事前の生産計画をもとにした予測指数は2.5%の上昇となっており、「予測を大きく下振れた」(経済産業省)。

また、前年の水準を11ヶ月ぶりに下回る結果となり、「生産は弱いと言わざるを得ない」(同)という状況。

業種別にみると、上昇に寄与した主要業種は、汎用・生産用・業務用機械のみ。海外向けのコンベアや蒸気タービン、半導体製造装置などがけん引したが、これを除いて計算すると、7月の生産は低下となる。
落ち込みが大きかったのは乗用車やパソコンなどで、消費税引き上げの反動減が続いている。特に乗用車は軽自動車の販売落ち込みが大きく、これが影響している。

出荷は、前月比0.7%増と、6ヶ月ぶりに上昇に転じたが、水準は低く、前年割れ。
目立って増加したのは、生産と同じく機械のみとなっている。上昇した他の品目は、エチレンやポリプロピレンなど化学プラントの定期修理明けで出荷が正常化した。また鋼船、バスやトラックなども上昇した。

<気になる在庫増>
出荷が弱いため、生産調整が追い付かず、在庫は引き続き積み上がりが続いている。前月比0.8%上昇し、指数水準は3月までの105程度で推移していたものが7月は111.5まで上昇、2013年1月以来の高水準となった。
8・9月の先行き予測指数は上昇が続く見通しが示されたが、内容はよくない。
8月は前月比1.3%上昇だが、7月の実現率が2%程度下振れたためで、8月の計画自体は下振れている。
9月についても、伸びが期待できるのは、米クリスマス商戦向けの電子部品・デバイスだけで、機械類の上昇予測は下振れの可能性が高い。

予測指数を前提に経済産業省が試算した7~9月の生産は前期比0.2%となるが、けん引役が電子部品しかなく、下振れれば、2四半期連続での生産減少となりかねない状況。  

こうした結果を受けて、金融市場からも景気の回復に不安の声が相次いでいる。
「ここ数カ月は先行きの予測指数が強くても実績が追い付いてきていない。当初想定した姿に比べ、足元の生産動向が鈍いとの感はぬぐえない」(SMBC日興証券のシニア債券エコノミスト、嶋津洋樹氏)、「弱めの内容だ。予測指数は強めに出ているが、海外の不透明要因もあり、その数値通りに実現できるか疑問がある」(大和証券のチーフエコノミスト、永井靖敏氏)との見方もあった。

さらに、失業率の悪化や予想以上にマイナスとなった家計調査など、29日朝に発表された一連の指標を総合的にみて「アベノミクス効果が足踏みしていることがうかがえる」(松井証券のシニアマーケットアナリスト、窪田朋一郎氏)との指摘も聞かれた。
以上、参照ロイター

 海外の経済が少々堅調となっても、日本の製造業の工場が海外へ大量に移転しており、もはや日本からの輸出は限られたものとなっている。それどころか、国内景気が上向いているため、そうした海外進出した日系工場から、日本へ大量に輸入され、国家政策の円安により貿易赤字を肥大化させる大きな原因となっている。
大手の投資も国内へは向かっておらず、海外工場進出もしくは海外企業の買収へ巨額投資されている。
政治の長年の無策による少子化の加速により、グローバルな輸出企業は、ホンダのように日本市場を捨てにかかっているのが実情だろう。
こうした企業の動向は、止めるに止められない状況に至っており、長期国家戦略がまったくない貧困政治形態により成す術もない。