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欧米系の格付け会社フィッチ・レーティングスは27日、日本国債の格付けを21段階あるうち上から5番目の「Aプラス」から、「A」に1段階引き下げた。
安倍政権が昨年11月に消費税率引き上げ延期を決めた後も、2015年度予算に税収の落ち込みを補う措置が含まれなかったことなどを理由に挙げた。

日本の政府債務格付けをめぐっては、ムーディーズ・インベスターズ・サービスも昨年12月、A1に1段階引き下げていた。
今回の格下げを受け、6月ごろ策定予定の財政再建方針で厳しい措置を講じるよう、政府に圧力が掛かる可能性もある。
フィッチは、政府の景気刺激策、失望を誘う経済成長、持続不能とされる企業収益の伸びをめぐる懸念も、日本の格付けにマイナスと指摘した。

超 兆円による輸出企業中心に業績回復と公共投資によるゼネコンの業績回復により、法人税が大幅に増収となっていたが、増収分は、全国隅々までこの景気をと公 共投資に回し、その挙句、法人税を減税した。この法人税引き下げについては、債務負担に対処可能な歳入を十分確保できるか、不透明感が高まるとフィッチも 問題を指摘している。

超兆円による輸出企業中心に業績回復と公共投資によるゼネコンの業績回復により、法人税が大幅に増収となっていたが、増収分は、全国隅々までこの景気をと公共投資に回し、その挙句、法人税を減税した。この法人税引き下げについては、債務負担に対処可能な歳入を十分確保できるか、不透明感が高まるとフィッチも問題を指摘している。

こうした景気対策最優先政策により財政再建は完全に後回しとなっている。
しかも、消費者の購買は、昨年4月の消費税増税、今年4月からのほかの諸税や社会保険料が値上がり、新年早々からも超円安により多くの食品価格が値上がりし落ち込んでいる。

フィッチも消費税増税の先送り問題だけではなく、法人税引き下げ、今年度予算編成を鑑みて結論を出したようだ。

前回格下げ時の「フィッチ宛返信大要」(財務省)
https://www.mof.go.jp/
(借金を借金と思っていない財務省の考え方が浮き彫りになっている反論書)

<フィッチの問題だけではないバーゼル規制>
いくら日本が反対しようと、銀行の規制については欧米、特に欧州主導でこれまで執行されてきており、妥協点はあるにしても、バーゼル規制(バーゼル銀行監督委員会=BIS基準)の新基準が現実化してくる可能性が高い。
バーゼル規制とは、海外に店舗を構える銀行に対しての自己資本比率規制であり、現在Ⅲまで制度化されている。
そのバーゼル規制の次の規制「Ⅳ」に、自国債(=ソブリン債)や住宅ローンについて、金融機関が保有する額は、これまで100%安全資産として自己資本比率の算定から除外していたが、今後除外しないというもの。
バーゼル規制の検討中の「Ⅳ」では、国債が暴落した場合、金融機関もその被害を受け、健全性が損なわれリスクが高まるとしていることにある。
ただ、バーゼル規制を受ける大手銀行の貸出先は、当該の銀行が所在する国での貸付が一番多いのは当然のこと、国債だけが暴落するにとどまらず、国全体が暴落することになり、金融機関も免れない。単に自己資本率を高めさせることを目的にしているようだ。

これは、リーマンショックの処理を今もやっている欧州勢の苦悩の末に辿り着いた検討中の規制だろう。資金がユーロ圏の中で行ったり来たりしている欧州では必要だろうが、日本の状況とは異なり、日本が反対するのも理解できる。

だが、日本も借金を放ったらかしにして、タレ流しの公共投資を続ける余裕がある借金の額ではない。選挙対策用の「景気対策」の美名の下に、すでに自浄能力を失しているともいえよう。
国の借金問題は、報道自主管制を敷いているのか、今や外信のロイターくらいしか問題にしていない。
政府は、自民党圧勝で選挙も終わったことだし、重い腰を上げるかもしれないが、すでに本年度予算は確定している。

例え、2%の物価上昇が達成されたとしても、消費の伸びが確保され続けない限り、再度同じ状況に陥ってしまう。また、2%達成すれば、日銀は、今度は金融引き締めにかかる必要が生じ、成長とは逆行する政策をとることになる。そこまで経済が強ければよいが、強すぎてもインフレに陥り、金利が上がり、大きすぎる国の借金が持たなくなってくる。

バーゼル「Ⅳ」では、日銀が現在銀行などからかき集めた国債を、金融引き締め段階で自己資本率の問題から銀行が引き取らなくなる可能性が出てくる。そうなると誰も引き取り手がなくなり、金利が上昇することになる。ただし、「Ⅳ」は検討中であり、施行されるかどうかも不明なところはある。
国は、日本国債は国内の金融機関や個人が所有しており、問題ないとする「甘え」がこれまで増加の限りを尽くしており、グローバル化した金融の世界で身勝手な「甘え」は通用するものではない。

フィッチ