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 麻生太郎金融担当相は4日の閣議後の記者会見で、ふくおかフィナンシャルグループ(FFG、福岡市)と十八銀行(長崎市)が、10月に予定していた統合時期を延期する見通しとなったことに関し、一般論とした上で「支店閉鎖などで顧客の利便性が損なわれるかもしれないところが一番の問題だ」と述べた。


 統合計画を巡っては公正取引委員会による、健全な競争環境が保てるかの審査が難航している。麻生氏の発言は、審査が「地域の利便性」に考慮して進むことへの期待感を示したとみられる。

 麻生氏は人口減少や地域経済の縮小が進む中、地域金融機関が生き残りへ向けた対応を迫られていることを念頭に「(長崎の)経営環境は極めて厳しい状況で『銀行がある程度、合併しないといけない』というのは前からあった話」とも語った。

十八銀行(長崎市)とFFG傘下の親和銀行(佐世保市)は、経営統合に向けて検討している貸出債権の一部譲渡について、長崎県内の融資先企業への意向確認作業をほぼ終え、最大700億円規模(融資額の7%相当)が譲渡可能だと、統合の可否を審査している公正取引委員会に6月報告していた。

両行の長崎県内の事業者向け融資は計1兆円程度。統合すると県内の貸出金シェアが約7割に達することから、競争環境が保てないとして公取委が慎重に審査している。

両行は、統合後に取引先に不利益が生じない対策に加え、シェアを下げるため5月から企業へのヒアリングを進めている。

ただ、譲渡可能額は公取委が求める水準に達していない可能性もある。

今回の政権側の銀行の監督省である麻生財務大臣(FFGの福岡が地元)の発言で、金融庁や公取委が折れる可能性が高くなった。

それでも落としどころの譲渡額は800億円前後になるだろう。公取委はこれまで1割~2割を譲渡させる意向と見られる。

もしも折れなかった場合、公取委(委員長:杉本和行/大蔵OB)が政権にそっぽを向くことになる。

FFGの地元ライバル、西日本FGは大蔵人脈。FFGは日銀を追い出し大蔵とも人脈なし。

FFGの十八銀行の統合問題は、政権と官僚の戦いに変質させようとしている。

政権側は当初、管轄外の経産省の世耕弘成坊ちゃんが統合大賛成を打ち上げたものの、管轄外であるため、ほかの省からクレームが付いたものと見られ、その後発言はまったくない。

そのほとぼりも冷め、監督省の親分が地元経済界の圧力もあり、今回の援護射撃の発言となったものと見られる。

福岡自民党も麻生太郎元首相と犬猿の仲の古賀まこと(元幹事長)が手を握ったものの、二階派がおり、麻生派の思い通りにはならない状況に至っている。それほど二階派は地方にも力も持ってきている。二階氏は奢り「(マスコミに対して)落とすなら落としてみろ」と東京都議選直前にマスコミに対して激怒発言、結果、東京都民はみな落としてしまった。

麻生大臣派は福岡の最大勢力となっているが、地元経済界(福岡七社会)と強く連携している。そうした地元経済界の意向を反映させた発言と見られる。(ただし、七社会には西日本FGもメンバー、頭領は九電、九州経済連合会(九経連)会長は麻生大臣の弟が九電の指名で就任している)