今年の訪日客数は２８００万人をうかがう増加となっているが、牽引しているのは韓国、それに８月から再び急増しだした中国にある。ほかにも台湾やベトナムも堅調な増加振りを示している。

韓国は、今年はじめからＴＨＡＡＤ配備問題により中国から観光制裁を受けており、中国からの訪韓客が大幅減に見舞われ、韓国から中国へ向かっていた韓国ＬＣＣ機が日本の各地の空港へ振り向けられ、韓国からの訪日客が急増している。

中国からは、これまで伸び続けてきたことから調整局面入りかと見られたが、８月から再び急増している。これは中国政府が外貨不足に見舞われ、流出に対して企業だけではなく個人の持ち出しも大きく制限したことが影響している。その効果があり夏には外貨準備高も大幅に増加して改善、規制も緩んだものと見られる。

今後の注意点としては、１０月末の中国に対する韓国の３ＮＯ宣言により、中韓関係が雪解けムードに入ってくることから、韓国のＬＣＣ機が中国へ向かう可能性があり、これまで韓国から安価に日本へ観光客を運んでいたＬＣＣ便数が減る可能性がある。

中国からのクルーズ船も今後、韓国寄港が大幅に増加することから、何ヶ所も日本の港湾を回っていたクルーズ船の寄港回数が減る可能性がある。
ただ、クルーズ船は便数が増加し、広域化、大型化しており、クルーズ船客数の減少はほとんど考えられない。

自治体にあっては、地域自治体と一体となり、認知度を上げるため、ＴＶドラマや映画のロケ誘致などのプロモーション活動が必要だが、高齢の自治体首長には無理があり、早期に柔軟性に飛んだ若手とのバトンタッチが必要だろう。国に甘えている限り先はない。

観光産業にあっては、高島屋と三越伊勢丹との業績のように差が出る。中国や台湾・香港の中華圏の観光客をどう取り込むかにかかる。すでにリピーター客が過半を占め、爆買いなどには期待せず、細かな誘客活動により売上高の積み上げが必要だ。