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<JSR>
半導体製造材料のレジスト(感光材)を生産するJSRは、同社のベルギー工場から韓国へ輸出できるとロイターの取材に明らかにした。
https://jp.reuters.com/article/
ベルギーには61%出資子会社のEUV Resist Manufacturing & Qualification Center N.V.社を有し、半導体用EUVフォトレジストの製造を行っている。

同社のデジタルソリューション事業部門では、カラー液晶ディスプレー用材料、機能性コーティング材料や耐熱透明樹脂および機能性フィルム、高機能紫外線硬化樹脂、光造形・光成形等製造している。
韓国には100%子会社のJSR Micro Korea Co., Ltd.を有しており、ディスプレー材料の設計、開発、製造、販売を行っている。
台湾にも100%子会社のJSR Micro Taiwan Co., Ltd.を有しディスプレー材料の設計、開発、製造、販売している。台湾ファンドリーメーカーのTSMC向けなどに製造しており、規制発表を受け、サムスンとSKが台湾子会社にすっ飛んで行った話が伝わっている。
中国にも51%出資子会社のJSR Micro (Changshu) Co., Ltd.を有しディスプレー材料を製造している。

※9日サムスン副会長が急遽一人で東京に降り立った。JSR(東京)にフッ化ポリイミドとレジストをベルギーや台湾・中国子会社からの調達を要請したものと見られる。(当然、JSRはほかの製品との抱き合わせで販売するものと見られる)
フッ化水素の日本の製造会社の2社は大阪に本社がある。

<東京応化工業>
同じくレジストを生産する東京応化工業は韓国に工場を持っており、韓国での対応はできるとしている。しかし、材料の一部を日本から取り寄せており、韓国での在庫がなくなれば、供給は難しいとしている。

<森田化学工業>
高純度フッ化水素(エッチングガス)を生産する森田化学工業は、材料となる蛍石を生産する中国に合弁会社の浙江森田新材料有限公司を持ち、中間材を生産、日本へ輸入している。日本の工場で高純度フッ化水素を生産し輸出している。

フッ化水素は韓国でも何社も生産しており、森田化学工業も32.4%出資した韓国のFEM Technology Co., Ltd.が、中国や日本から中間材を輸入して生産している。

しかし、いずれの韓国製も10ナノまでしか対応できず、最新の半導体は1桁ナノ水準、前世代半導体の生産には使用できるが、最先端の半導体には採用できるレベルではない。中国製はさらに純度が落ちる。
韓国でも最近、高純度フッ化水素製造工場の建設計画があったが、毒性が強く危険だとして市民団体が反対して中止されている。2012年には韓国の産業団地で、フッ化水素製造工場のフッ化水素が漏洩、住民含め1500人が被災した事件があった。

<ステラケミファ>
フッ化水素など高純度薬品の生産会社。中国に合弁の浙江瑞星フッ化工業有限公司(フッ化水素酸の製造・販売)、同じく浙江省に衢州北斗星化学新材料有限公司(高純度薬品の製造・販売)を有し、韓国にも合弁のFECT CO. LTD(高純度薬品の製造・販売)を有している。

最先端技術の半導体や有機ELディスプレー生産工場は、超短時間の停電でも生産が2週間から1ヶ月ほど完全ストップするほどチリなどに弱い。それだけ材料にも高品質が要求される。
品質が悪く問題が生じれば、先般、サムスン電子がアマゾンに製品にかかわる賠償金を支払ったように巨額損失が発生する(今年3月28日リコールを請求された)。
アマゾンの巨大クラウドサービス用のデーターセンターに採用された製品にサムスン製の10ナノ後半のDRAMが使用されており、総額8兆ウォンのリコールを要求されていた(サムスンは当金額否定)。サムスン電子は4~6月決算でアマゾンに全額か一部を支払っている。

サムスン電子は、GRAMとNANDkメモリ半導体では世界ナンバー1だが、システム半導体では後塵、その巨大工場を生かしファンドリー事業(受託生産)を拡大しようとしている。しかし、最新のファンドリー事業の半導体やチップは、10ナノ未満、3ナノの半導体の生産を委託される。しかし、その生産には中国製や韓国製のフッ化水素ではリスクが大きすぎて使いものにならないのが現実。

<住友化学>
タッチパネル部材のカラーレジストや偏光フィルムなど液晶や有機EL向け部材を生産・販売している。韓国に生産工場を持ち、スマートフォンやタブレットを製造するサムスングループなどに供給している。フォトレジスト、フッ化ポリイミドの主要メーカー。

<規制3品>
フッ化ポリイミドはスマホやTVの有機ELディスプレーの製造に使用。
レジストは半導体ウエハーに回路パターンを転写するために塗布される薄い膜。
フッ化水素は半導体製造工程においてエッチングガスとして使用。

<在庫保管問題>
レジストは劣化が激しく、半導体メーカーの在庫は1ヶ月程度。
フッ化水素は毒性の強い劇薬で扱いにくいため半導体メーカーの在庫は1ヶ月程度

フォトレジストにも各種ある。
大きくメモリ半導体用の一般製品と、スマートフォンの頭脳ともいえるAP(アプリケーションプロセッサ)チップとEUV(極端紫外線)工程に必要な高機能品がある。
このうち一般用は日本サプライヤーのTOK(東京応化工業)が平沢市に作った工場でサムスン電子とSKハイニックスに供給している。ところが一般用でも原材料は日本から輸入しなければならない。
APチップとEUV用フォトレジストは、信越化学、JSR、住友化学の3社が供給している。3社以外に調達先はない。

フッ化ポリイミドは、
サムスンのスマホ用有機EL小型ディスプレーの生産に、住友化学の製品が使用されている。韓国ではSKCやコーロンインダストリーなども生産しているが、レベルがかなり落ち、最新スマホ用には使い物にはならないという。

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