世界機保健関(WHO)によると、5月15日現在、新型コロナウイルス感染症のワクチン候補物質の総件数は118件あると報告されている。
米製薬会社・モルデナ社は5月18日、新型コロナウイルス感染症ワクチン候補物質の1相臨床試験(第1相)で、参加者全員に抗体ができたと明らかにしたことで、ワクチン開発への期待感を高め、株価も暴騰した。
しかし、翌日には、一部の学術誌が、モルデナ社が科学的根拠データを出さない点を挙げて、さらに見守るべきだという見解を明らかにしたことで、薬効をめぐる論議が起き、株価は15%暴落した。
ワクチンとは、人為的に人体にウイルスに対する免疫力を備えさせる薬。
ウイルスが体に浸透すれば、人間の免疫細胞のうち、「抗原準備細胞(APC)」が分解して「抗原」というタンパク質を作る。
抗原は、ウイルスを認識させる一種の「顔」のような存在。
人体の中の免疫細胞二つが、こんな抗原に気づく。
T細胞は、ウイルスに感染した細胞を発見すれば、攻撃して取り除く。
また、B細胞は抗原を記憶していて、再度侵入すれば、抗体を作って抗原を囲む。
このように、ウイルスの病原性と感染力を弱める抗体を「中和抗体」という。今回モルデナ社が8人から確認したと発表した抗体。
ワクチン開発は、抗体生成のために4つの戦略をよく使う。
1、抗原の設計図を人体に入れる作戦。
モルデナ社が試みた「核酸ワクチン」。
核酸は、タンパク質の設計情報を持つ遺伝物質であるDNAやRNAを意味する言葉。核酸を体内に入れて抗原を作らせる。DNAは、細胞に電気を流して穴をあけた後注入し、RNAは脂質で包んで接種する。
この方法は、ゲノム情報が分かれば速やかに作ることができるし、安全なので広く研究されている。候補物質のうち26件(22%)が、この方法を使っている。
モデルナ社のほか、ドイツのバイオNテックがRNA方法を、米国イノビオがDNA方法を使う。
5月21日、米ハーバード大学の研究チームが、新型コロナウイルスの感染に重要な役割をする「スパイクタンパク質」6種を作るDNAワクチン候補物質を霊長類に接種した結果、感染を防ぐ効果があったと、国際学術誌・サイエンスに発表した。しかし、まだこの方法で開発されたワクチンの事例が皆無。
2、抗原の一部を作って入れる戦略。
設計図ではなく、設計図から作られたタンパク質を入れる原理で、ワクチンの開発で「ベストセラー」技術に属する。
口蹄疫ワクチン、肺炎球菌ワクチンなどの事例が多い。
新型コロナウイルスワクチンの候補物質も、48件(41%)がこの方法である。
ただ、新型コロナウイルス用としては、安全性は比較的高いとされるが、まだ臨床に入った事例がない。
3、「宅配」戦略。
抗原を作る遺伝子を他の安全なウイルスゲノムにこっそり埋め込んで、人体に注入後、抗体を得る方法。
現在、全世界で行われている新型コロナウイルスワクチン候補物質のうち、29件(17%)がこれに該当する。
中国企業のカンシノ(康希諾生物)と英オックスフォード大学ジェンナー研究所が臨床を主導している。
カンシノの研究者は5月22日、英医学誌ランセットで、ワクチンの初期治験結果からワクチンの安全性と急速な免疫反応の誘導を確認したと発表した。
中国武漢市の健康な成人108人を対象にワクチンを1回投与したところ、14日間でウイルス特異抗体とT細胞の産生が見られた。特に重篤に生るような副作用もなかったとしている。オックスフォード大学チームは霊長類試験も終えている。
4、化学処理などでウイルスの毒性を緩和するか、まったくなくす(不活性化)伝統的な方法もまだワクチンの開発では有効。
ウイルスの抗原や設計図だけを入れるのではないだけに、様々な他の部位まで確認できる。
新型コロナウイルスワクチン候補物質の中には、11件(9%)と比較的少数だが、臨床中の候補物質8件のうち3件を占める。その可能性は十分である。
中国のバイオテクノロジー企業・シノバクと北京生物製品研究所がそれぞれ臨床を行っている。
ただ、新コロナウイルスに対するワクチン開発は、通常、10年以上の臨床を必要とする開発に対して、緊急性があるとして1年未満で開発するという政治的な判断があり、臨床=人体実験を早期に実施している。
中国の場合は、拘留者を強制的に人体実験に使用することから、その成果は侮れないが、その成果は検証できない部分が多い。
米国勢は、過大な評価を打ち上げ、株価操作に利用している可能性すらある。治療薬のレムデシビルも政治的にFDAが承認した可能性すらあり、研究治験での副作用の報告がなされていないとの医師の見解もある。副作用は3・5・10年後に出てくる可能性もある。
治療薬にしてもレムデシビルは、ギリアド社は重症者に効能があった報告し、日本も重篤者に対して用いると見られているが、重症者での効果はなかったと中国の臨床チームはランセット誌に発表している。レムデシビルにしても米国では政治的に承認された薬剤、日本は100%のメクラ判で承認している。日本の致死率は、アジアでは医療崩壊に至った中国に肉薄してきている。日本は確か、医療後進国ではなく、高齢者の感染検査さえ渋り、重症化させてから入院させ、手が付けられなり、致死率が高くなっている。すべての原因は厚労省と専門家会議の合作品である高い高い感染検査基準にある(5月8日になりやっと緩和した)。
スクロール→
COV-19ワクチン開発中
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種類
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開発企業
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組換え蛋白質ワクチン (英GSK社アジュバント)
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中Clover Biopharmaceuticals社
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英GlaxoSmithKline(GSK)社
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組換え蛋白質ワクチン
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フランスSanofi社
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組換え蛋白質ワクチン
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米Baylor College of Medicine
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米University of Texas
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米New York Blood Center
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中Fudan University
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組換え蛋白質ワクチン(植物で製造)
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米iBio社、中・北京CC-Pharming社
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組換え蛋白質ワクチン/J&Jの医薬開発部門会社/臨床開始
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米Janssen Pharmaceuticals社
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組換え蛋白質ワクチン(ナノ粒子)
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米Novavax社
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組換え蛋白質ワクチン(経口投与)
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米Vaxart社
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組換え蛋白質ワクチン
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日・国立感染症研究所・アイロム
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ウイルス様粒子(VLP)ワクチン
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デンマークExpreS2ion Biotechnologies社
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ペプチドワクチン
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イスラエルVaxil Bio社
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ペプチドワクチン
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豪Queensland大学、英GSK社
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ペプチドワクチン
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米VaxHit bioinformatics社
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ペプチドワクチン
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米Generex Biotechnology社
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ウイルスベクター(トリ伝染性気管支炎ウイルス)
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イスラエルMIGAL Galilee-Research Institute
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ウイルスベクター(麻疹ウイルス)
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インドZydus Cadila社
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ウイルスベクター(アデノウイルス)
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英University of Oxford
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ウイルスベクター
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中国CanSino Biologics社
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ウイルスベクター(麻疹ウイルス)
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仏Institute Pasteur
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ウイルスベクター(アデノウイルス、経鼻投与)
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米Altimmune社
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ウイルスベクター(ワクシニアウイルス/VLPワクチン)
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米GeoVax Labs社、中BravoVax社
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ウイルスベクター(アデノウイルス)
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米Greffex社
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ウイルスベクター(アデノウイルス)細胞培養ワクチン
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米Janssen Pharmaceuticals社
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ウイルスベクター(馬痘ウイルス)
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米Tonix Pharmaceuticals社
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プラスミドベクター(DNAワクチン)
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インドZydus Cadila社
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プラスミドベクター(DNAワクチン)
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米Applied DNA Sciences社
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伊Takis Biotech社
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伊Evvivax社
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プラスミドベクター(DNAワクチン)
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米Inovio Pharmaceuticals社
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プラスミドベクター(DNAワクチン)
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日・アンジェス
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mRNAワクチン
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日・東京大学医科学研究所
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mRNAワクチン
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英Imperial College London
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mRNAワクチン(リン脂質粒子)
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中Stemirna Therapeutics社
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中Tongji University
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中Center for Disease Control-and Prevention
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mRNAワクチン
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独CureVac社
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mRNAワクチン
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独BioNTech社 米Pfizer社、
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mRNAワクチン/臨床開始
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米Moderna社、米NIAID
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弱毒生ワクチン
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米Codagenix社インドSerum Institute of India
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カクテル抗体
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米リジェネロン・ファーマシューティカルズ
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治療薬
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抗体治療薬、自ら一番早いと自慢、動物実験もまだ。臨床7月開始と発表/勢いがあり何が飛び出すかわからない
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韓・セルトリオン
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抗体治療薬
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イーライリリー
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抗体治療薬
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ジェネンテック
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抗寄生虫薬「イベルメクチン」/増殖抑制効果
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北里大・大村智教授+メルク社+豪モナシュ大チーム
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抗体治療薬、開発コードGS-5734「レムデシビル」、臨床中
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ギリアド・サイエンス
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抗体治療薬、アビガン
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富士フイルム
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