アイコン ゲノム編集技術で新コロナ感染検査「CRISPR-Cas3」/東大・真下教授ら

Posted:[ 2020年6月 5日 ]

東大などのチームは6月5日までに、ゲノム編集技術を用いて新型コロナウイルスの感染を調べる新たな迅速検査法を開発した。
PCR検査と同程度の高い感度を持つ上、安価で検査できるとして実用化を急いでいる。

検査では、患者の鼻腔を拭って取った液や唾液を培養液に加え、新型ウイルスの遺伝子を増幅。さらに人工のたんぱく質とリボ核酸(RNA)を組み合わせた「クリスパー・キャス3」を投入し、新型ウイルスに特有の遺伝子配列を見つけ出す仕組み。

チームの真下知士・東大医科学研究所教授によると、PCR検査との一致率は陽性の場合で90%、陰性の場合95.3%だった。

PCR検査は高度な機器が必要で検査に数時間以上かかるが、開発した検査法は特別な装置が必要なく、所要時間は約40~60分。

簡便だがウイルス量が多くなければ検出が難しい抗原検査に比べ、今回の方法だと数十個のウイルスのRNAも検出できるという。

真下教授は「国内ベンチャー企業と連携し、早ければ今冬までに実用化したい」と話している。「キャス3」は真下教授らが開発した国産のゲノム編集技術。

 



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英国科学誌「Nature Communications」に2019年12月6日に公開された新しいゲノム編集ツール「CRISPR-Cas3」
ヒトiPS細胞においてDMD遺伝子の修復に成功

ポイント
真核細胞で利用できる新しいゲノム編集ツールCRISPR-Cas3を開発し、実際にヒトiPS細胞の遺伝子修復に利用できることを確認。
CRISPR-Cas3は、世界中で利用されているCRISPR-Cas9とは異なり大きくゲノムを削る特徴を持ち、さらに認識標的配列が長いためオフターゲットへの影響も極めて低いことを明らかにした。
従来よりも安全性の高い新しい日本発ゲノム編集基盤ツールとして、新たな創薬や遺伝子治療などへの利用、農水産物への利用など、さまざまな分野への応用が期待される。

概要
東京大学医科学研究所の真下知士教授、
大阪大学医学部附属動物実験施設
大阪大学微生物病研究所の竹田潤二招へい教授、
京都大学iPS細胞研究所(CiRA)の堀田秋津講師
らの研究チームは、新たに大腸菌由来Type I-E CRISPRシステム(CRISPR-Cas3)を開発し、ヒト細胞でゲノム編集ツールとして利用できることを見い出した。

CRISPR-Cas9を代表とするゲノム編集ツールは、さまざまなライフサイエンス分野に応用されている。
一方で、これまでのゲノム編集技術は、狙っていない場所に変異が入るオフターゲット変異といった安全性への懸念や、知的財産の問題があり、新しいゲノム編集ツールの開発が求められていた。
今回、開発したCRISPR-Cas3は、狙ったゲノム配列の上流側を大きく削る性質を持ち、オフターゲットへの影響も極めて低いことを明らかにした。
さらに、CRISPR-Cas3を使ってデュシェンヌ型筋ジストロフィー(Duchenne muscular dystrophy: DMD)遺伝子に変異を持つヒトiPS細胞の遺伝子修復にも成功した。

今回開発した日本発の新しいゲノム編集ツールCRISPR-Cas3システムは、従来よりも安全性が高く新たな創薬や遺伝子治療などへの利用、農水産物への利用などさまざまな分野で応用されることが期待される。
以上、

国がこの研究に関与し予算を付け、感染機器の開発に当たらせていたら,さらに早く開発されていたかもしれない。今冬市場投入では・・・。
すでに超短時間の唾液PCR感染検査機も投入され、国内に35台所有のロシュ製の全自動PCR検査機器もある。「キャス3」にはこうした検査機器との差別化はあるだろうが、タイムリーに市場投入しなければ、新コロナウイルスにおいては商品価値が限られよう。

 

 


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