韓国では65歳未満の高齢者から新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が始まっている。COVAX経由で入手したアストラゼネカ製(AZ製)ワクチン、27日からは医療従事者向けに米ファイザー製ワクチンの接種も始まっている。26日から接種が始まり5日までの8日間に7人が亡くなった。
この間、1,578件の軽微な副作用が生じ、13件がアナフラキシー症状(重症全身アレルギー反応)、痙攣1件も生じている。
今回のワクチンは2社製とも未知のワクチン、欧米での臨床データはあるものの、アジア人の臨床治験データはない(日本でも臨床試験をしていたはずだが・・・)。
これに対して日本政府は、12月14日から接種が始まった米国での副作用が明らかになっている米ファイザー製でも、アジア人の臨床データはなく、日本政府は慎重を期し国内で1ヶ月あまりの臨床治験を行わせた上で承認した。
日本政府は、治験データはあるものの未知のワクチン、感染患者からの・患者への感染予防にもなり、やはり医学的に副作用に対する対処法に精通した医療関係者からの接種が正解だと見られる。
韓国の場合は、政府が感染者数も少なかったこともあり、大統領自らK防疫の自己自慢と世界宣伝に明け暮れ、購入契約が12月からと大幅に出遅れ、承認も先進国やWHOの承認を根拠にしている点が大きく日本と異なる。
遅れたことにより、ワクチンは本来、中・後進国向けの共同購入機構であるCOVAXに調達用の資金を拠出しての入手となっており、COVAXではWHOが承認したワクチンを各国に手当てすることから、受入国に選択権はなく、それがたまたま韓国のSKが受託製造するAZ製ワクチンが最初だった。
脆弱な基礎疾患者に対して、いきなり接種開始、65歳以上の高齢者は免疫力が衰えているが、基礎疾患で療養病院の入院患者も免疫力は弱くなっており、さらにワクチンがそうした基礎疾患を悪化させるトリガーになる可能性は十分考えられることではなかったろうか。
米ファイザー製でもノルウェーでの基礎疾患の高齢者の大量死(33人)により、基礎疾患者に対する接種は最大限の注意が必要であった。
韓国では、AZ製ワクチンの採取の接種対象者が、独などでの高齢者接種問題から、短絡的に?65歳未満の基礎疾患入院患者に切り替わっていた。
3月入荷予定の米ファイザー製ワクチンは医療関係者に接種してから、高齢者の順になるという。
スクロール→
韓国 2/26~3/5 7人死亡の対象者数
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基礎疾患等療養病院・施設、精神病院、精神療養・リハビリ施設
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65歳未満の上記の患者とその医療関係者
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療養者+医療関係者総数
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648,855
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うち医療関係者・AZ製
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-228,828
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うち65歳以上高齢者・米ファイザー製(今後)
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-370,700
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差し引き接種対象療養者数 AZ製
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49,327
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・療養病院患者の何人が5日までに接種して死亡やアナフラキー様・中等症に陥ったのか分析する必要がある。/数値は中央日報掲載数値から。
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韓国での7人の死亡(3月5日現在)は、全員がAZ製ワクチンでの死亡だが、AZ製ワクチンはリボ核酸mRNA型の米ファイザー製やモデルナ製と異なり、ベクター型のワクチン、AZ社が11月までに臨床治験を行い、結果を次のとおり公表していた。
有効性は平均70%。さらに公表では手違いでワクチンを50%希薄化させたワクチンを接種した人たちの有効性は90%だったと報告した。
それに対し、希薄化ワクチンなど臨床が杜撰だとか、高齢者の臨床治験データが少ないとか指摘され、11月末には追加臨床に入ると発表していた。それでも高齢者のデータは取得できなかったようだ(臨床を担当したところが悪すぎる)。
12月29日に英国がAZ製ワクチン承認
1月29日にEU-EMAがAZ製ワクチンを加盟27ヶ国に対して承認勧告、
2月15日にはWHOもAZ製ワクチン承認。
2月26日、韓国、COVAX経由でAZ製ワクチン接種開始・65歳未満の基礎疾患の療養病院入院患者とその医療関係者から接種をスタートさせた。
2月27日、韓国、COVAX経由で米ファイザー製ワクチン接種開始・一般医療関係者を対象に接種を開始した。
3月、購入契約した米ファイザー製ワクチン入荷予定
しかし、依然として高齢者の臨床データが少なかったようで、独仏政府は当初、高齢者に対する治験データが少なく高齢者に対する接種をしない方針を打ち出した。
その後、英国での接種が年齢問わず行われ、英国から高齢者に対しての有効性は、感染減のほか、感染しても重症化リスクが大幅に改善され、死亡者も極めて少ないと発表がなされ、現在は65歳以上の高齢者に対しても解禁している。
英国は、米ファイザー社製とAZ製を最初に承認した国。2月25日の感染状況はピークの1月8日より1/6に減ったものの9,985人感染者/323人の死亡者と、ワクチン接種により、副作用等でのある程度の死者の発生より、感染者数を減らすことに最大の目的を置いている国でもある。
韓国のAZ製ワクチンによる死亡例(韓国紙から判明分)
1、心臓病や糖尿病、脳卒中などの基礎疾患があった療養型病院に入院中の50代の男性がワクチンを接種後、心臓発作や呼吸困難を繰り返し接種3日後死亡。
2、脳血管障害で療養型病院に入院していた60代の男性が高熱と痛みが続き接種4日後死亡。
3、心疾患と糖尿病を持つ50代男性が接種後、何度も心臓発作を繰り返して翌日死亡。
4、脳血管疾患を持つ63歳の高齢者施設入居者が、接種後に高熱などの症状が出、敗血症や肺炎を発症して死亡。
5、重症障害者施設にいた20代の女性Cさんは接種42時間後に死亡。
米ファイザーとモデルナ製はリボ核酸・mRNA技術を使用。これは、ウイルスの遺伝子であるメッセンジャーRNA(mRNA)を用いて体内の細胞にウイルスの断片を生成させ、それが免疫系の反応を誘発させ抗体を作るというもの。
英アストラゼネカのワクチンは、チンパンジーに感染する風邪ウイルス(アデノウイルス)を無害化し、新型コロナの遺伝子を組み込んだウイルスをベクター(運び屋)として働かせ、接種を受けた人の細胞に遺伝子情報を伝達、指示を受けた細胞がmRNAの役割を果たし、免疫反応を促すもの。
↓開発ワクチン種類
未知のワクチンも多く、抗体有効率の期限は定かではなく、これまででは1年とされているものが多い。
政府御用達の尾身氏が言うように終息するには3~4年かかるとした場合、毎年ワクチンを打つ必要が出てくる。そのため、来年用の2番手争いで日本勢は開発している。それでも有効性が低ければ採用されない。
スクロール→
SARS-CoV2 ワクチン
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米ファイザー/独ビオンテック
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mRNA型
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95.0%
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米モデルナ
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mRNA型
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94.5%
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英アストラゼネカ
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ベクター型
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70.0%
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米J&J=ヤンセン
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ベクター型
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66.0%
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露ガマレア
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ベクター型
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接種中
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中シノバック
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不活性化型
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接種中
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中シノファーム
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不活性化型
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接種中
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開発中の日本勢(ワクチン後進国)
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アンジェス
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DNA型
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KMバイオロジクス
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不活性化型
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塩野義
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組換蛋白質
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第一三共
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RNA型
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IDファーマ
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ベクター型
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追、米申請5月頃予想
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米ノババックス
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組換蛋白質
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96.0%
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1回接種型(唯一となる)
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スクロール→
日本の購入ワクチン
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米ファイザー製
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1億4400万回分
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英アストラゼネカ製
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1億2000万回分
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米モデルナ製
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5000万回分
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何れも2回接種必要分
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韓国の購入ワクチン
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COVAX
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1000万人分
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英アストラゼネカ製
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1000万人分
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米ファイザー
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2300万人分
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米J&Jヤンセン
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600万人分
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米ノババックス(1回)
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2000万人分
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備考
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・武田薬品はモデルナとノババックスの国内臨床と製造を手がけている。
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※「人の振り見て我が振り直せ」