シノケングループ研究①/日本振興銀行破綻に見る
9月10日の日本振興銀行の破綻により、同社は即日、同行株式の有価証券評価損が3億35百万円発生するとし、同行からの借入残が63億75百万円あると発表した。また同日には、今12月期の業績予想も発表、売上高185億00百万円、 営業利益12億50百万円、 経常利益8億00百万円、当期利益4億20百万円となるとこれまでの業績予想を上方修正している。但し、当業績予想には日本振興銀行株の3億35百万円の特損は含まれておらず、それを加味すれば当期利益は85百万円に減少する。しかし赤字にはならない予想数値となっている。
同社は、08年9月のリーマンショック後、売却予定の投資用マンションの数々が、購入予定のファンドが購入せず逃げたことから、窮地に立たされていた。金融機関は不動産関係会社への融資をことごとく凍てつかせ、幾多の不動産会社が破綻していった。そうした状況下、同社に愛の手を差し伸べたのが日本振興銀行であった。それらの投資用マンションを担保に資金調達して同社は難を逃れた。姉歯事件の時に次ぐ経営危機であった。しかし、日本振興銀行の融資には、それなりのリスクもあった。篠原社長はどんなリスクより会社を永らえさせる方法を採り、日本振興銀行グループの求めに応じた。
① 融資条件に付けられた第三者割当増資の実行。過半数の株が日本振興銀行系のNIS系
に握られることになった。
② 取締役及び監査役を日本振興グループから派遣。それも過半の取締役が送り込まれ、
経営権の危機となった。
③ 融資を受けるため決算期を3月から12月に変更。
以上の3点が要求され、それを呑むことで融資を受け難を乗り切った。日本振興銀行の株の購入とか、09年8月の中小企業振興ネットワーク加盟などは大した問題ではなかった。当時ADR申請による延命策もあったが、そうした場合、金融機関のその後の取引への影響は計り知れず、日本振興銀行からの要請を融資条件に受け入れた。
連結/百万円 | 07/3期 | 08/3期 | 09/3期 | 2010/12期 | 11/12期予 |
売上高 | 19,615 | 29,779 | 15,102 | 11,982 | 18,500 |
営業利益 | 1,240 | 1,131 | -1,826 | -324 | 1,250 |
経常利益 | 1,068 | 910 | -2,191 | -848 | 800 |
当期利益 | 733 | 446 | -4,145 | -953 | 420 |
総資産 | 25,690 | 26,791 | 18,608 | 14,102 | |
自己資本 | 4,909 | 5,240 | 1,032 | 696 | |
資本金 | 1,922 | 1,922 | 1,922 | 2,222 | |
有利子負債 | 18,007 | 16,347 | 12,609 | 11,860 | |
自己資本率 | 16.30% | 19.60% | 5.50% | 4.90% |
前期より複数の金融機関からの融資により土地および完成物件の仕入を再開、販売面において、投資用マンション販売事業が計画を大きく上回る販売実績を上げたほか、投資用アパート販売事業においても当初計画を上回る受注状況となるなど、主力の不動産販売事業において、計画を大幅に上回る業績が見込まれるほか、不動産賃貸管理事業、ファイナンス事業及びその他の事業のストック型事業においても計画通りに推移しているとしている。不動産も首都圏では場所によっては既に動き出している。
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