シノケングループ研究②/日本振興銀行破綻に見る
昨年春、販売目的の投資用マンションが、購入予定のファンド等が購入せず危機に陥っていた同社に対して、昨夏、日本振興銀行から、それらの物件を担保に融資が行われた。
しかし、日本振興銀行の融資条件により、NISグループに対して過半の株の割当増資と過半数の役員が送り込まれることになった。完全に乗っ取りであるが、融資を受ける必須条件として提示されたものであり、同社は会社存亡の危機下にあり受け入れるしかなかった。
その結果の株主構成は次の通りと変遷している。
2009/3月末 主要株主 | 持株数 |
篠原 英明 | 18.25 |
㈱SAI | 16.03 |
アセット・マネジャーズ㈱ | 4.96 |
㈱USEN | 2.98 |
日本駐車場開発㈱ | 2.7 |
朝日火災海上保険 | 2.48 |
シノケングループ取引先持株会 | 1.91 |
渡辺 剛道 | 1.36 |
シノケングループ従業員持株会 | 1.24 |
東京海上日動火災保険 | 1.14 |
計 | 53.06 |
09/12月末 主要株主 | 持株数 |
NISバューアップ・ファンド2号投資事業組合 | 53.76 |
篠原 英明 | 8.43 |
㈱SAI | 7.41 |
アセット・マネジャーズ・ホールディングス㈱ | 2.29 |
シノケングループ取引先持株会 | 1.25 |
朝日火災海上保険 | 1.14 |
渡辺 剛道 | 0.87 |
シノケングループ従業員持株会 | 0.54 |
東京海上日動火災保険 | 0.52 |
野村證券 | 0.50 |
計 | 76.76 |
※NISバューアップ・ファンド2号投資事業組合の議決権割合54.1%
<現在>
2010/6月末 主要株主 | 持株数 |
NISバューアップ・ファンド2号投資事業組合 | 49.63 |
篠原 英明 | 18.19 |
アセット・マネジャーズ・H㈱ | 2.29 |
原田 透 | 1.83 |
シノケングループ取引先持株会 | 1.44 |
渡辺 剛道 | 1.14 |
朝日火災海上保険㈱ | 1.14 |
野村證券 | 0.71 |
東京海上日動火災保険 | 0.52 |
シノケングループ従業員持株会 | 0.5 |
計 | 77.44 |
日本振興銀行が本年になり、昨夏の金融庁検査で検査妨害した情報が流れるとともに、5月10日には木村剛代表の更迭、5月27日には金融庁より業務停止命令を受けるに至り、日本振興銀行そのものが慌しくなった。そうした過程で銀行法に抵触するおそれのある融資条件で、乗っ取りとも見られる日本振興銀行傘下のNISグループ系による過半数の株取得は、6月30日修正がはかられ、現在では53.76%から49.63%まで落ち過半数を割り込んでいる。しかしながらそれでも異常な持株比率の高さである。
つづく
[ 2010年9月27日 ]
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