アイコン 長崎県の経済状況と住宅着工戸数

今回は、長崎県の鉱工業生産指数と住宅着工戸数を見てみる。
平成22年10月の長崎県における鉱工業生産は、平成17年を100とした製造業全体の指数では、148.6と好調そのものである。しかし、実態経済とはかけ離れており、内容を見ると、一般機械工業が、244.7と絶好調、電子部品デバイスもリーマンショックで落ち込んだものの回復してきており好調である。
しかしながら、化学工業15.6、金属製品工業は29.0、木材木製品工業52.4、電気機械工業(工業計器、交流電動機、交流発電機等)54.3、窯業土石製品工業(和飲食器)55.9、プラスチック工業56.9、繊維工業62.9と大幅な落ち込みを見せている。
 
好調である電子部品デバイスは、ソニーなど大手の工場生産高に左右され、残念ながら経済波及効果は限られたものである。一般機械工業(ボイラー、冷凍機応用製品、タービン )は、三菱重工など絶好調のようであり、下請けなどへの波及効果は電子デバイスよりは高い。
 生産額が記載されていないため、電子デバイスを外したところでの総合指数は判明しないが、企業数の多さから見れば、落ち込んでいる業種の経済的な影響が、長崎市や長崎県の経済に大きく影響しているものと思われる。

 
 
製造工業内訳
年月
総合
製造工業
鉄鋼業
金属製品工業
一般機械工業
電気機械工業
電子
輸送機械工業
部品デバイス工業
14
94.3
94.2
74.6
157.5
75.2
228.5
71.2
76.3
15
89.3
89.3
77.4
146.8
71.3
134.6
79.1
79.0
16
103.7
103.7
92.7
144.5
133.6
144.1
72.3
100.1
17
100.0
100.0
100.0
100.0
100.0
100.0
100.0
100.0
18
120.3
120.2
97.5
78.5
120.0
108.4
167.7
100.8
19
134.0
134.0
106.1
81.1
103.5
133.4
228.6
98.7
20
152.5
152.5
115.5
94.4
154.2
110.4
255.5
119.0
21
125.9
125.8
93.6
59.3
123.0
100.7
190.3
110.8
22年/1
123.4
123.4
96.3
36.4
150.0
75.1
174.1
99.9
2
130.9
131.0
101.5
56.6
158.7
88.0
197.4
101.7
3
135.6
135.6
88.0
54.7
152.7
104.3
176.6
129.8
4
138.1
138.1
91.0
59.9
265.1
84.4
193.1
49.1
5
163.0
163.1
94.5
99.3
207.1
77.1
266.4
123.2
6
147.1
147.1
82.6
21.4
194.7
105.7
216.3
110.6
7
142.0
141.9
106.0
44.1
153.0
93.8
221.5
118.3
8
150.9
150.9
96.6
66.9
216.1
69.9
225.4
107.1
9
134.6
134.7
106.7
64.8
189.6
83.0
186.5
 121.3
10 
148.6
148.7
90.4
29.0
244.7
54.3
218.9
106.0

 

製造工業内訳

 

年月

窯業土石製品工業

化学工業

プラスチック製品工業

繊維工業

食料品工業

木材木製品工業

鉱業

14

126.9

89.9

104.3

189.6

103.3

111.6

202.6

15

115.2

91.8

115.0

156.2

101.6

109.3

197.1

16

110.4

83.2

118.0

117.0

100.8

111.6

124.0

17

100.0

100.0

100.0

100.0

100.0

100.0

100.0

18

92.4

90.3

90.4

87.0

100.5

86.0

119.0

19

86.4

95.9

86.1

84.7

104.9

83.7

106.6

20

71.6

88.9

80.8

82.3

101.8

58.1

180.9

21

62.6

71.8

48.1

72.8

101.0

53.5

142.7

22年/1

59.2

70.9

53.8

67.2

103.4

55.9

276.9

2

59.2

89.2

57.5

72.0

109.4

58.3

85.5

3

55.7

106.2

53.3

72.6

103.5

60.0

117.6

4

54.1

89.2

62.2

73.1

103.2

29.2

140.0

5

58.3

94.2

58.1

64.6

107.8

55.5

146.0

6

54.3

93.5

69.6

65.1

104.0

56.9

248.5

7

56.3

84.7

67.0

68.1

109.6

56.4

149.9

8

55.3

83.1

58.6

71.7

108.8

27.4

124.9

9

58.0

81.2

55.2

67.2

94.0

54.8

86.4

10 

55.9

15.6

56.9

62.9

105.7

52.4

85.6

 

長崎県の経済状況

一方、長崎県の住宅着工件数は、平成17年の10,230戸でピークを迎え、平成21年は5,767戸と直近のピークの半分近くまで落ち込んでいる。

これは、鉱工業生産指数と住宅着工件数は短期的には必ずしも連動せず、またその影響度も全産業に占める割合が少ないことから生じている。
特にこの間の住宅着工件数は、鉱工業に入らない農業・水産業・建設業・商業・サービス業が落ち込んでおり、占める割合も大きく影響が大きくなっている。
 

長崎県の総生産高・県民所得等2010
産業別
/億円
2007
2008
増減比
2008構成比
 
名目県内総生産高
43,792
43,109
-1.6
100.0%
第一次
 農業
691
698
1.0
1.6%
 水産
519
494
-4.9
1.1%
第二次
 製造
8,501
7,965
-6.3
18.5%
   電気機械等
6,361
5,814
-8.6
13.5%
   建設業
2,092
2,099
0.4
4.9%
第三次
サービス産業
37,110
35,152
-0.7
81.5%
   金融保険
2,391
1,958
-18.2
4.5%
   卸小売
4,777
5,043
5.6
11.7%
   サービス業
10,870
10,729
-1.3
24.9%

 

 
2007
2008
前年比
県民所得
33,227
31,070
-0.3
一人当たり県民所得
2,224
2,157
-3.1
全国平均@
2,963
2,754
-7.1

 
2008年での長崎県と全国平均との差は、597千円、21.7%一人当たりの取得が、低いのが現実である。建物価格は都会でも田舎でもそれほど変わらず、この所得の違いも何らか住宅着工件数に影響しているものと思われる。
 

県内総生産(支出側) 
 
2007
2008
 
民間最終消費支出
23,628
23,807
0.8
政府最終支出
13,071
13,240
1.3
在庫増等
9,909
9,964
0.6
財力+サービスの移出入
-2,817
-3,902
-38.5
以上=県内総生産(支出側)
43,792
43,109
-1.6

 
また、住宅着工件数は市町民税の増税や年金・健康保険料増による可処分所得の減少にも左右されていたものと推定される。 
2007年7月から日本でも米国のサブプライムローン問題が、外資による資金引き揚げにより顕在化し始め、08年9月のリーマンショックで不動産業界の多くのデベロッパーも日本経済も行き詰まり、まだその惨禍から脱していないのが実情と見られる。鉱工業生産指数でも08年152.5の山から、09年は125.9まで大幅に落ち込み、2010年は回復途上となっている。
長崎県では、住宅着工戸数のピークは2005年であり、2008年9月のリーマンショックはその後それなりに影響は出ているものの、サブプライムローン問題が発生した2007年7月より1年前の2006年にピークアウトしていたのであった。
それは、2002年から2005年までの4年間毎年9000戸以上が着工され、その着工が長崎の市場キャパを超えていたものと思われる。特に分譲マンションが、各地で売れ残り、急激に開発がストップもした。
 
長崎県の経済状況

着工戸数
前年比
2002
9,149
2.6
2003
9,603
5.0
2004
9,681
0.8
2005
10,230
5.7
2006
8,940
-12.6
2007
6,901
-22.8
2008
6,942
0.6
2009
5,767
-16.9
 
 
 
着工戸数
前年比
2010/1
487
3.2
2010/2
424
-16.0
2010/3
346
18.5
2010/4
377
-18.9
2010/5
321
-24.3
2010/6
383
-25.0
2010/7
497
37.7
2010/8
431
15.5
2010/9
595
36.2
2010/10
504
-17.0
2010/11
426
-34.7

 

 

[ 2011年1月14日 ]
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