アイコン 長崎駅区画整理事業(5)長崎市の見解は経済的合理性が欠落

長崎駅区画整理事業は、不思議なことばかり発生しており、いくつか記載してみる。
 
 <容積率について>
駅一等地が、容積率600%⇒400%
長崎市は、長崎駅の表通りの土地(ホテルニュー長崎の並び)に対して、容積率を600%から400%に変更するとしている。その変更について長崎市は「変更しても不利益は発生しない」と見解している。
当見解は、経済的な不動産価値をどう理解しているのだろうかと疑いたくなる見解である。
不動産価値とは、その不動産から生じる価値であり、一般的に収益還元方式によるものとされる。4階建ての建物からの収益と6階建ての収益では、どちらが収益が上がるかという価値により不動産価格が決定している。長崎市は、こうした当たり前の判断もできないのだろうか。
600%⇒400%にして、希少価値として付加価値が付くのかと計算しても、国道沿いの道路隔てた南隣の五島町600%、駅前の大黒町も600%であり、当該地が特別希少価値の家賃が取れるわけもないことは明らかとなる。付加価値が付くどころか価値は、収益還元方式により下落してしまうのである。
ましてや、当区画整理事業地にはホテルニュー長崎のビルが、容積率600%で建設されており、当ビルは既得権として600%のままである。それにJRホテルも相当な高さがある。
事業主の長崎市は、長崎駅区画整理事業地全体を400%にするというが、一番喜ぶのは、操車場跡地など広大な土地が、既存の200%から400%になるJR九州のみであろう。
 
<保留地について>
長崎市が事業主として動かしている当区画整理事業の計画では、現行の駅の表玄関側の一等地に保留地を持って来る計画となっている。保留地とは当区画整理事業による費用等を賄うために、最終的に処分して、かかる経費を捻出するための処分用土地である。
長崎市では他都市では殆どない駅構内の一等地に保留地を計画していることからも驚かされてしまう。
なお、長崎市は、「保留地を公共公益施設の目的で使用する」としているが、長崎市は自らは保留地を購入しないと言明しており、あくまで第3者に売却される土地となっている。公共的な施設を作る、そんな奇特な方がいるのだろうかと疑いたくなる。
また、公共公益施設を拡大解釈すれば、市役所の外郭団体を1ヶ所入れた商業施設のテナントビルもよいことになる。
 
こんな噂話もある。長崎市はある人に保留地を売却して、その人が公共的な建物を建て、長崎市が一括借り上げするという話である。そんな噂は単なる噂だろうが、可能なことから、なお心配になってくる。
もしも、そうした計画があるならば、事前に市議会に諮り、公表して進めるべきではなかろうか。

長崎駅区画整理 

[ 2011年2月14日 ]
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