アイコン 福島原発 浪江町民は帰れるか

福島原発事故の今後は、スリーマイル島の原発事故やチェルノブイリ原発事故後しか参考事例がない。
チェルノブイリ原子力発電所4号基(黒鉛減速沸騰軽水圧力管型原子炉)は、1986年4月26日原発事故は、炉心溶融(メルトダウン)から爆発引き起こした。当時、赤だったソ連が、事故を隠蔽したことから、地元住民や近隣諸国に多大な放射能被害を及ぼした。
当原発事故は、国際原子力事象評価尺度(INES)において最悪のレベル7とされている。
4号炉の炉心溶融による爆発は、ウクライナ・ベラルーシ・ロシアなどを放射能で汚染した。
廃炉となっている現在、独立国営事業体チェルノブイリ原子力事業所として国家管理されている。
事故後25年を経過した現在も、立入禁止区域は、発電所を中心に「10kmゾーン」「30kmゾーン」が設定されている。永久居住禁止区域である。

福島原発事故は、チェルノブイリ事故の放射能飛散量とは比べものにならないくらい少なく、土壌の入れ替えで対応する予定とされている。どの地域まで土壌の入れ替えをするかは、まだ原発事故の最中であり、放射能汚染濃度を調べなければ結論は出せない。

福島原発は、水素爆発はあったものの、炉心爆発は起きておらず(起きたら大変であるが)、炉心溶融状態に陥り、炉心溶融時に発生する水素が上棟に溜まり水素爆発を引き起こし、建屋内の放射能が外部に飛散した。しかし、炉心そのものは爆発しておらず、チェルノブイリ事故の放射能汚染に比べれば、比較にならないほど少ない。

しかし、現在でも少ないながら飛散している。炉心溶融を喰い止める為、海水を放水車などにより放水して炉心溶融が進まない程度まで冷却させている。ただ、放水により、放射能に汚染された水等が、建屋から漏れ出し海水も汚染している。

福島原発の原発事故が問題なのは、原子炉が4基も事故に陥っていることにある。その各々の状況が異なるため、その対応を難しくさせているのは歪めない。3号基は特に危険とされるプルサーマル発電基である。

国は放射能による土壌汚染につき、土壌の入れ替えを行うため、立入禁止区域や自主避難地区の野菜は、そのまま放置するように指導している。野菜に放射能を付着させたまま撤去する方針、更なる土壌汚染を食い止めるためである。

心配なのは、IAEAが発表しているように、立入禁止区域や自主避難指定区域外でも地形や風向きにより放射能の吹き溜まり地域が見られ、そうした地域は、部分的にも立入禁止区域にする必要がある。

原発周辺の風向き
http://tenki.jp/amedas/pref-10.html?amedas_type=wind 

一定時間における放射能汚染量
http://www.mext.go.jp/a_menu/saigaijohou/syousai/1303747.htm 

何れにしろ、福島原発事故がある程度収束しても、完全廃炉には数十年以上(完全廃炉には数百年)を要することから、福島原発地周辺地への帰還は現状望みようもない。
セシウムの場合、半減率年数は30年とされるが、30年経っても半分の汚染濃度になるだけ、福島原発が落ち着いたあとの汚染濃度次第である。また、福島原発の炉心溶融による放射能物質(核種)の飛散は、ヨウ素やセシウムだけではない。他の放射能物質の完全除去(安全値まで)も必要となる。

福島原発がある程度落ちついた場合、まずしなくてならないのは、立入禁止区域となっている地において、地震や津波で亡くなられ、そのまま海岸や瓦礫の中に放置されている何百人かの遺体の収容作業。ご遺族の方を思うと無念である。

それに、原子力発電における国民の安全を司る行政機関である原子力安全委員会や原子力安全・保安院を特別法廷にかける必要がある。想定外では許されない。浜岡原子力発電所は、想定されている東海巨大地震の断層の上にある。これらの機関がそうして地震への安全神話を作り上げた結末が福島原発事故である。
 

[ 2011年3月31日 ]
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