アイコン オリックス不動産投資法人/2月決算 不動産市況分析

同社は、全国の不動産市況を分析しているので、以下の通り2月決算とともに掲載した。

<売買市場>
平成22年は、前年後半から動き始めた不動産売買市場が引き続き活発な動きを見せ、特に小型の不動産売買が活発であった。この背景としては、平成21年後半より再開されたJ-REITの公募増資による物件取得、海外資金による国内不動産投資、J-REITのスポンサー交代・合併、J-REIT間の物件売買、投資法人債の相次ぐ発行などにより、市場心理の悪化が払拭されたことがあげられる。
また、平成22年10月には日本銀行が追加金融緩和策として創設した「資産買入等基金」の対象資産にJREIT投資口が含まれたことで、J-REITの投資口価格が上昇し、物件取得につながる公募増資が一段と活発化するきっかけとなった。
更に、デット面では、国内銀行の不動産業(賃貸)向け新規貸出額が、平成22年3月期から4四半期連続して前年同期を上回っており、デット資金調達環境の改善も窺えた。
これらをふまえ、東京都心の不動産売買件数の推移を見ると、平成21年後半からの増加基調より、平成22年後半も一定の取引量が継続している。売主・買主ともに、プロ(私募ファンド、J-REIT、建設・不動産)が主体となっており、50億円以上の取引も増加してきている。売買件数が増加してきたことで、キャップレート(利回り)の上昇にも歯止めがかかっており、オフィスの期待利回りは横ばいで推移している。

<賃貸市場>
事務所(オフィス)・東京
平成23年、平成24年の都心5区への供給床面積は、2003年問題の時期程ではないが、大量供給が継続している。それに従い空室率は、平成19年以降上昇を続け底入れ感が見られない状況。一方で、賃料の下落にも歯止めがかからない状況だが、オフィス移転の動きは停滞しておらずむしろ活発との判断も見られる。
これは、オフィス移転動機が好業績による拡張移転ではなく、割安な賃料に刺激された統合移転であることを示唆している。これら動向は空室率を底入れさせるには至らず、空室率が明確に反転するにはもう暫く時間を要すると予想される。
・大阪
平成22年は大型ビルが空室を抱えて竣工したこと、既存自社ビルへの移転等で1,000坪を超えるまとまった空室が複数顕在化したことで、10%を超える空室率は改善されていない。平成23年以降も大型新築ビルの竣工が断続的になされることから、空室率の改善には、業績好調企業による増床、拡張等の前向きな需要がどこまで伸長するかが、大阪地区の改善の鍵になるが、暫く時間を要するものと予想される。
・名古屋
平成22年においては、空室率の改善の兆しが見られた。テナントの移転目的は引き続き経費削減が中心ではあるが、一部では新設や館内増床といった事象も見られた。名古屋地区においては、平成23年、平成24年と新規供給予定が少ないことから、需給バランスが大幅に悪化する可能性は少ないと考えられる。
賃料が回復するには、供給が抑制されている間に、どこまでマーケットの需給ギャップが改善するかによるが、暫く時間を要すると想定される。
・仙台
新築ビルの竣工ラッシュが一段落し、テナント企業の動きが顕在化し始めた。それら動きにより空室消化の進んだビルと新規空室の増加に苦戦するビルといった二極化が鮮明となった。現在マーケット全体としては、20%近い空室率という借り手市場であり、平成23年にも3棟の供給が予定されていることから、空室過多の状況は継続するものと予想される。

<物流施設>
物流需要は、企業活動の活発化や輸出入の拡大に支えられ緩やかな拡大が続いている。貨物トラック輸送量は、平成22年前半に回復が続いたものの後半には一旦弱含み、航空輸送貨物も回復の勢いは鈍化した。ただ足元では、周辺アジア諸国の好調な経済を背景に輸出が持ち直してきており、企業業績の改善も続いているため、これを受けて物流需要は当面底堅い推移が続くと見込まれる。
今後は、企業は物流の効率化を進めており、拠点集約に伴う移転需要が見込まれ、物流需要の回復基調が続く一方で、新規開設による物流施設の供給増も見込まれるため、需給バランスの改善は緩やかなものになると想定される。

<商業施設>
平成22年の大型小売店販売額は低迷を続けてきたものの、下げ止まりの兆しが見られる。平成22年10月には米国発金融危機以降初めて前年同月比でプラスに転じた。依然として厳しい状況が続くものの、販売が低迷する中で新規のテナント出店も抑制されており、売場効率は改善の方向へと向かっている。
また、人件費の抑制やPB商品の展開による仕入れコストの削減は、引き続き実施されている。かかる環境下において販売が維持できればコスト削減により賃料負担力が高まってくるテナントも出てくると考えられ、大幅な販売増が見込みにくい状況下で、不動産事業者にとっては、テナントの賃料負担力の見極めが重要となってきている。

<住 宅>
東京23区の賃貸マンションは、新規供給が限定的なことや賃料調整が行われたことによって、目先の需給バランスが改善しており、賃料が横ばいで推移するエリアも見られる。景気悪化により、賃貸マンション需要が都心部から周辺部へと移ることによって、都心部の稼働率が低下してきた。それを受けて平成21年以降、都心部では賃料調整が行われ、周辺部との賃料格差が縮まってきたことによって、まず稼働率が下げ止まり始め、続いて賃料も下げ止まりつつある。しかし、需要者の賃料負担力が向上しない限りは、賃料水準の回復までは見込みづらい状況である。
以上であるが、本年は3月11日の震災の影響を、製造業を中心に大きく受けており、企業業績は悪化するものと思われ、不動産市況は需要家が新たな設備投資を更に控えることにより、低水準に推移するものと思われる。震災特需により来年以降は外需内需とも県庁に推移するものと思われる。震災特需は、早期に災害の復旧・復興の青写真が見えてくることが前提である。
 

連結/百万円
売上高
営業利益
経常利益
当期利益
10年8月期
11,701
5,887
4,482
4,308
11年2月期
10,741
4,790
3,292
3,291
前期比
91.8%
81.4%
73.4%
76.4%
11年8月期予想
10,995
4,733
3,101
3,094
11年8月期予想/11年2月期
102.4%
98.8%
94.2%
94.0%

 
[ 2011年4月25日 ]
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