＜長崎県土木部　追い討ちかける＞
長崎県土木部は、第一工区の独自の見積価格（予定価格）を3,805,293,000円とした。その上で、低入札調査基準価格は3,237,786,000円と設定、85.08％である。

全国オンブズマンの調査では、長崎県発注の1億円以上の官庁工事の落札率は、予定価格の93％に達し、ダントツの全国一位である。

長崎県土木部の積算係も、今回の応札価格にびっくりしたのであろうか。入札に参加した６社全社が、低入札調査基準価格を下回ったのであった。こうしたことからも県土木部の予定価格や低入札調査基準価格がいかに杜撰に設定されているかも見て取れる。入札価格が、長崎県が設定した低入札調査基準価格を全社下回ったため、馬鹿にするのかと激怒したのかもしれない。

長崎県土木部は、その全社に対して指名停止の可能性を匂わせながら、約５５項目にのぼる低入札の調書を出すよう命令した。当然、落札した清水建設ＪＶは、痛くも痒くもなかろうが、失格となった４ＪＶは、入札の壇にも上がることも許されなかったにも関わらず、1週間で５５項目にわたる調書を作成させられたのである。
さすが長崎県というお上は雲の上の存在であり、強いとしか言いようがない。

ゼネコンがこうした案件を見積る場合、図面に基づき細分化した建築区分に基づき、多くの協力企業に見積ってもらい、集めて入札の提出価格を決定する。今回のような提出価格の根拠を問われた場合、見積もってもらった協力企業に、問い合わせる必要があり、膨大な作業となる。断られた・失格となった案件ならば尚更のことである。

＜異常な低入札だったのか＞
これらの４ＪＶは、いったい調書を取られるほどの入札価格を提示したというのであろうか。先述のＭ社ＪＶでも75％前後である。そもそも、長崎県土木部の予定価格が意図的に高いものならば、単なる難クセでしかなくなる。
松尾建設の場合、２度にわたる指名停止を受け、官庁工事の受注がそれだけでも減少することから、落札に必死になっている。そうしたことからも競争力ある入札価格を提示したと思われる。

＜総合評価方式は官製談合のためにあるのか＞
総合評価方式の導入は、そもそも、公共工事の減少と規制緩和で、ゼネコンが競争激化から最低基準価格の７×入札を多発させたことにある。このままではゼネコンが疲弊してしまう、また、粗雑工事にならないように導入されたものだった。それまで暫く７×落札が多発した。
低入札価格でも、受注残がなく従業員や作業者を遊ばせておくぐらいならば７×で受注した方が、赤字が少なくて済むという考え方を持つ企業も多いほどである。
しかし、国交省による総合評価方式が導入され、7×での落札は殆どなくなった。こうした方式を地方公共団体にも導入させたことにより、今度は官製談合の疑いがもたれる案件が全国で多発、それも田舎に行くほど多発しているのが現状である。

国交省は、大手ゼネコン参加の土工協が、談合廃止宣言を出したこともあり、官製談合などというのは、お役所仲間であり、ありえないという立場を取ったままである。

＜不透明な失格＞
今回、諫早市に建設される長崎国体新陸上競技場の発注において、失格となった各社ＪＶは、多くの実績に基づき信用ある企業群であり、粗雑工事などをするとは思われず、いかに鼻薬が効いたものか疑わずにはおられない。

中村県政も田上市政も猫谷やんのご加護の下に成立していることがチラついてならない。