アイコン 打ち出の小槌「オリンパス」問題一挙掲載 Axam Axes 佐川肇氏 ジャイラス社

<高山新社長も正当性を主張> 

ウッドワード社長解任劇、ジャイラス社買収の超高額な報酬、過去のM&Aにおける減損処理問題などが、ウッドワード社長更迭により表面化、株価が半減するという大問題に至り、菊川会長兼社長が辞任した。
しかし、新社長に高山専務取締役が就任したものの、高山新社長は27日記者会見で、膨大な損金を発生させた企業買収の正当性及びウッドワード社長の更迭の正当性を主張するのみであった。これでは、菊川会長が辞任しても、菊川体制と変わらず、問題は燃え続ける。

<株価半減>
10月28日の同社株価は、菊川会長退任で一件落着の動きを見せ、前日の終値1,099円から256円(23.29%)高の1,355円と大反発したが、28日にはFBI報道で反落1,217円となっている。一連の騒動以前の株価は2,300円前後で推移していた株価であり、半減している。
 
しかも、菊川会長と副社長は取締役としてまだ在籍しており、高山社長は菊川元会長の傀儡政権ということは明白。当事件はFBIが佐川氏からもウッドワード氏からもヒアリングしており、国際的な問題となりつつある。ウッドワード氏は出身のイギリスのスコットランドヤードにも捜査を依頼している。
 
同社は確かに、東大教授と共同開発した内視鏡が、今では世界シェア75%を持ち、約20%の営業利益率を稼ぎ出す強固なファンダメンタルな事業を有している。しかし、カメラ部門は、競争激しくヒット作も何十年もなく、赤字に苦しんでいるのが実情。そうしたことから、何かわけのわからない日本の会社3社を買収した。
 
<同社の業績、30%以上の自己資本が今では15%まで下落>
業績面だけから見れば、株価がこれほどに落ちる理由はない。(外資系新聞は、同社に対してTOBをかけるチャンスかとも言っている)
しかし、カメラ部門は、昔の画期的なオリンパスペンのような打ち出しのできるデザインには程遠いものばかりであり、今や凋落の一途である。好調なICレコーダー(国内シェア28%で第一位)を入れても映像部門の前期は▲150億円の営業赤字となっている。
また、買収した事業としているその他の売上高は、巨額の特損を09年3月期処理しているにもかかわらず、11/3月期は▲42億円の営業赤字を露呈している。
そうしたことから、自己資本率も30%を超えていたものが、のれん代や減損処理で大きく毀損し15.4%まで下落している。07年3月期3,448億71百万円あった自己資本額も11年3月期には1,637億34百万円と1,811億37百万円も減少している。
この間、これまでの資産の減損処理や株式評価損もあるが、その殆どは買収した企業の減損処理とのれん代の償却によるものである。因みにこの4年間で稼いだ経常利益合計は、1,787億38百万円に及ぶ。
一方、特損は5年間で1,327億47百万円計上され、内のれん代が785億35百万円計上、減損処理等は542億12百万円となっている。
 
同社の有利子負債は5年間で1,860億円増加している。その分、総資産が増加しているはずであるが、自己資本が半減し、総資産さえ減少しており、上記特損の穴埋めになったと思われる。
 
これほどの財務内容の毀損は、本来株主総会で経営責任が問われるものであるが、リーマン・ショックでこんなものであろうという思いと日本特有のシャンシャン会により終了している。日本の株主は事なかれ主義を美徳としており、意見するのは総会屋と位置づけられ、もしくはハゲタカに限られているのが現実である。
しかし、今回は株主の持株価値が半減しており、(不可能に近いが)株価が戻らなければ、株主総会も大荒れに荒れよう。
 
<734億19百万円で買収した日本企業3社の合計売上高がたったの17億円>
 日本はいい国である。オリンパスが08年4月25日までに734億円で買収した3企業をリーマン・ショックにかこつけて09年3月期決算で556億円も減損処理している。これら3社合計の2011年期の売上高は17億円、これでも経営責任が何も問われていなかった。
 
 こうしたことは、会計処理のグローバル化以前の日本の旧態依然の悪しき体質が今もって一流企業にも蔓延っているという事実である。(九州電力の会長+社長の「やらせ」問題や大王製紙会長の賭博資金問題に共通するものであろう)
 
<問題の日本企業3社買収>
同社は、これら3社を『ヘルスケア領域における新事業創生の一環として買収』目的としているが、同社のリリースはこの3社の買収について、一切発表していない。
 
誰かが指南したと思われる方法で買収は行われている。持株比率を徐々に高め、結果、完全買収しているため、通常買収する時に、相手社の業績や資本金・総資産・自己資本の数値が発表されるが、一切そうした発表をこの3社については行っていないのである。
 
この3社に限ってこうした買収方法が採られており、介在した仲介者が指南したと思えてならない疑惑である。仲介したのは、ケイマンに本社を有する実態のない会社とWSJは掲載している。
また、この3社を仲介したコンサルや買収された企業の株主が、その所得をちゃんと申告しているのだろうか脱税もありうる。この3社を仲介した3社も、ケイマンを本社地にしており、オリンパスが買収後、既に解散して登記はないという。
 
(なお、同社の今回のリリースでも、この3社の資本金は、同社が出資する前の資本金は一切記載されていない)
 

オリンパス 買収日本企業3社  単位:百万円
企業名
㈱アルティス
NEWS CHEF
㈱ヒューマラボ
合 計
 
資源リサイクル
電子レンジ調理器具
健康補助食品
 
子会社化時期
06/5~08/4
06/5~08/4
07/9~08/4
 
買収総額
28,812
21,408
23,199
73,419
減損処理
19,614
17,699
18,370
55,683
  同処理率
68.08%
82.67%
79.18%
75.84%
 
 
 
 
 
2008年期の売上高
        600
           2,700
         2,100
           5,400
2011年期の売上高
210
600
900
1,710
当期利益
-700
-2,200
-1,600
-4,500

     2011年期の業績は帝國データバンクの推定値 
買収額の妥当性については、監査法人3社にデューデリ審査を行ったと同社は主張しているが、当該の審査会社の名称については一切明らかにしていない。株主は総会で明らかにさせる必要がある。監査法人がデューデリ審査していたら、行政処分対象になる可能性もある。
 
 
<ジャイラス社買収における法外な報酬>
ジャイラス社買収額は9億3,500万ポンド(当時のレートで約2,100億円)に対し、報酬は6億8,700万ドル(同約660億円)に上る。
 今回、巨額の報酬を受け取ったのは、大手の証券会社やM&A専門会社ではなく、元野村證券マンの佐川肇氏である。 
同氏は、アメリカでAxes社(登録:ケイマン)を経営、ジャイラス社の買収に当り、佐川氏側が実務処理のためリーガルアドバイザーとしてWeil、Gotshal社(Weil、Gotshal&Mangesという会社があるが同一かどうか不明)、ファイナンシャルアドバイザーにPerella Weinberg Partners UK LLPに、仲介や法的な処理を依頼していたという(オリンパスは、その支払をすべてAxes社に支払っている)。
しかし、佐川氏のAxes社は、取得していた優先株を計画通りと思われる方法でオリンパスに引き取らせ、たんまり現生を取得した半年後には、ケイマンの本店の登記が、登録費用の未払いで抹消されており、実質的な事務所であるニューヨーク事務所も警備管理されているものの、実質使用されていないと警備会社が述べているという。佐川氏はたんまり儲かったことから、バカンスで一生過ごすのであろうか。佐川氏には既にFBIが接触している。
<第3の疑惑浮上か?>
 米医療器具会社を買収した際にも、FA会社へ融資を組み、その後まもなくその融資を償却処理していることが判明している。当償却は裏報酬になる可能性がある。
 

打ち出の小槌オリンパスのジャイラス社買収報酬
AXAMとFA契約締結
2007年6月21日
AXAM=ハジメ・ジム・サガワ
優先株発行
2008年9月30日
AXAMがジョイラスの優先株式取得 発行会社:ジョイラス
ジャイラス買収額
93,500万ポンド
当時のレートで約2,100億円
報  酬  額
基本料
500万ドル
 
成功報酬
1,200万ドル
5%、上限1,200万$
ワラント買取
5,000万ドル
 
優先株買取
62,000万ドル
発行原価:17,698万$
合  計
68,700万ドル
 

 

ジャイラス社の2006年12期の業績 (連結)
 
ポンド(千)
円換算(百万円)
売上高
213,342
48,283
営業利益
19,145
4,332
当期利益
13,193
2,985
総資産
460,622
104,247
純資産
286,833
64,916
・2007年11月16日当時1ポンド:226.32円での円換算
・資産には、のれん代が600億円含まれているという ? 。

 
なお、同社は優先株式の買い取りにあたり、買取価格は双方案の中で決定したとしている。ジャイラス社の株価が、オリンパスが買収することで上昇したことは理解できるが、発行価格の3.5倍で買い取っており(同社は、優先株購入価格につき、両社の主張価格を2で割った価格としている)、実質7倍に跳ね上がったことになる(実際の株価がどうであったか、値を吊り上げた手口をすべて検証する必要があろう)。
それもジャイラス社の買収につき、2番目にリリースした分は、一番目のリリースの完全子会社にしたかったためから、2番目には佐川氏側から買取りを要求されたからと記している。
 
<オリンパスの業績ほか>

打ち出の小槌のオリンパスの業績推移
連結/百万円
2007/3期
08/3期
09/3期
10/3期
11/3期
売上高
1,061,786
1,128,875
980,803
883,086
847,105
経常利益
76,226
93,085
18,390
45,115
22,148
特別損失
3,377
2,584
110,382
10,897
5,507
 (のれん償却)
 
 
76,201
2,334
 
当期純利益
47,799
57,969
-114,810
47,763
7,381
 
 
 
 
 
 
総資産
1,091,800
1,358,349
1,106,318
1,152,227
1,063,593
自己資本
344,871
367,876
161,364
209,432
163,734
自己資本率
31.6%
27.1%
14.6%
18.2%
15.4%
有利子負債
462,214
656,756
661,224
661,481
648,787

 

打ち出の小槌のオリンパスの3月期業績の内容(2011)
連結/百万円
具体的事業
売上高
営業利益
営業利益率
医療
内視鏡、医療分析装置
355,322
69,314
19.51%
ライフ産業
電子顕微鏡ほか
114,095
8,553
7.50%
映像
カメラ・ICレコーダー
131,417
-15,019
 
情報通信
携帯端末・データカード・フォトフレーム等
209,520
5,242
2.50%
その他
買収事業等
50,038
-4,258
 
合   計
860,392
63,832
7.42%
・合計数値は、内部売上相殺前の数値であり、決算数値とは若干異なる。

 
<役員構成と株主構成>

2011年6月株主総会後
代表取締役会長
菊川  剛
10/26日取締役に降格
代表取締役社長
マイケル・ウッドフォード
10/14日取締役に降格
取締役副社長
森嶌 治人
 
取締役副社長
森  久志
 
取締役専務
鈴木 正孝
 
取締役専務
柳澤 一向
 
取締役専務
髙山 修一
10/26日新社長に就任
取締役常務
塚谷 隆志
 
取締役常務
渡邉 和弘
 
取締役常務
中塚  誠
 
取締役常務
西垣 晋一
 
取締役
川又 洋伸
 
社外取締役
林田 康男
順天堂大学教授
社外取締役
来間  紘
元日経専務
社外取締役
林  純一
証券関係

 
<オリンパスの株主構成>

オリンパスの主要株主 平成23年3月31日現在
 
株主名
住所
所有株数
割合
1
日本生命
 
22,426,718
8.26
2
三菱東京UFJ銀行
 
13,286,586
4.89
3
日本マスタートラスト信託銀行(信託口)
 
12,875,500
4.74
4
日本トラスティ・サービス信託銀行㈱(信託口)
 
12,036,550
4.43
5
日本トラスティ・サービス信託銀行㈱(信託口)
 
9,004,000
3.31
6
ステート ストリート バンクアンド トラスト カンパニー 505223
ボストン/USA
8,772,820
3.23
7
三井住友銀行
 
8,350,648
3.07
8
ステート ストリート バンクアンド トラスト カンパニー
ボストン/USA
7,622,271
2.8
9
テルモ㈱
 
6,811,000
2.51
10
ガバメント オブ シンガポール インベストメント コーポレーション ピー リミテッド
シンガポール
5,790,100
2.13
 
―――
106,976,193
39.43
9月段階
・現在は、第2位にはサウスイースタンアセット マネージメント インク(USA)19,406,997株保有
・現在は、第4位にハリス・アソシエーツ(USA)。

 現在第2位のサウスイースタンアセットマネージメントインクが大損しており、いきり立っているようだ。
 
 
 
[ 2011年10月31日 ]
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