アイコン 中国事情  中国経済の減速 本格化  2012年

中国経済成長の減速が本格化している。国家統計局の1月17日の発表によると、2011年第4四半期(10~12月期)の国内総生産(GDP)成長率は8.9%、4四半期連続で鈍化した。
また、2011年通年のGDP成長率は、前年の10.4%から9.2%に低下し、1桁成長に止まった。この減速傾向は2012年でさらに顕著になると市場はみている。

17日に発表されたデータでは、2011年のGDP成長率は第1四半期の9.7%に続き、第2四半期の9.5%、第3四半期の9、1%、そして今回発表された8.9%と、減速傾向が明らかに示された。
2012年の中国経済の成長率について、中国国務院発展研究センターは8.5%と予測しているに対し、市場では7%近くまで落ち込むとの見方が大勢である。
 17日に記者会見した中国国家統計局の馬建堂局長「2012年は、欧州債務危機は膨らみ続け拡散していると、国際経済環境を分析、国内状況にしても、極めて複雑で挑戦的である。強い危機感を持たなければならない」と述べている。

中国の輸出全体に占めるEU向けのシェアは20%と大きい、しかしながら、欧州経済の不振から、その伸び率は昨年9月以降10%以下に急減速している。昨年12月の調査でも、中国の輸出企業の66%は、欧州危機後、欧州向け輸出が減少していると答えている。
中国国内の金融引き締め策で、企業資金の動きが鈍っているところを欧州危機が直撃している。
 国内状況の厳しさについて、米ワシントン・ポスト紙は、中国経済を牽引してきた不動産市場と政府投資に懸念を示している。不動産市場は、中国経済の13%を占めており、近年では年間28%の成長を遂げている。多くのアナリストは、この成長持続は、不可能と見ている。不動産価格の高騰で、地方政府は土地を抵当として、あるいは土地売却で得た資金を大規模な投資を行ってきた。これは米国や欧州の債務危機の仕組みに似ていると同紙は指摘している。インフラやビル建設に巨額投資をした地方政府は、その資金を回収できない恐れが高く、長期的には息切れしてしまうと悲観視している。

中国当局が、不動産をはじめ過度の物価上昇に対して金融引き締めを行った結果、中国の大都市部では、既に不動産価格の下落が始まっており、地方都市へ波及している。
リーマン・ショック下、内需拡大のために巨額の国家投資により経済成長を持続させた中国経済も、今や不動産価格の下落により、それを基盤とする経済が、損なわれようとしており、早期に欧米諸国の景気が浮上しなければ、砂上の楼閣に帰する可能性すら生じている。
(世界の工場を自負する中国当局は、リーマン・ショックにより、外需が激減するなか、国家投資による内需拡大により景気を持続させてきた。そのうち、世界経済も浮揚して、景気が外需に再び移行していくと踏んだのであろう。しかし、大輸出国である欧米経済が、今だもたついたままである)
 また、今回の国家統計局の発表では、2011年の年間消費者物価指数(CPI)上昇率は5.4%で、政府目標の4%を大きく上回っている。
この中、生活に直に響く食品価格の上昇は一段と顕著で、前年比11.8%上昇している。

成長確保とインフレ抑制というジレンマ。中国政府が突き付けられた難しい舵取りについて、国家統計局の馬局長も17日の記者会見の後、最大の課題は「成長の維持と物価の安定、経済改革の継続の間でバランスを図っていくこと」との認識を示している。
温家宝首相は1月初めの地方視察でも、「市場はかなり冷え込んでいる」とし、「経済の下振れ圧力と物価の高止まりが並存している」と認めている。

経済成長の鈍化は、すでに社会不安を引き起こしている。昨年末、広東省では賃金不払いやリストラ(人員削減)などに対する抗議活動が頻発し、労使紛争が点から線への広がりを見せている。
経済の低迷に触発されるこれらの問題は、今秋交代する中国の指導部にとっても、権力闘争の火種にもなりうる。
当然、こうした問題を控えることから、当局は金融緩和措置を取ったが、賃金及びリストラ等労働問題、格差是正の社会問題、インフレ退治、経済成長といういくつもの難問を抱えている。
(ソース:ネット)
 

[ 2012年1月31日 ]
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