アイコン 天皇陛下のご退院に際して

天皇陛下退院心臓の冠動脈バイパス手術を受け東大病院(東京都文京区)に入院していた天皇陛下は4日午後、退院された。写真は花束を手に、皇后さまと東大病院を退院する天皇陛下=東京都文京区(代表撮影)
http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/domestic/imperial_family/?1330860623

天皇陛下のご退院に際して

天皇陛下は,東大病院での冠動脈バイパス手術を無事終わられ,本日ほぼ2週間ぶりに御所にお戻りになりました。手術に至った経過および手術所見についてはすでに報告しておりますので,今日は術後の経過及び今後の課題などについてお話しします。

手術後お入り頂いたICUでは,幸いにも心房細動などの危惧された不整脈が起こることはなく,ほぼ予定通り2日後にICUから病室にお戻りになりました。 ただそれ以後は,手術の後には一般的に起こるとされる37度台の発熱や炎症反応などの他,開胸手術後に一定の頻度で生じるとされる肝機能障害,食欲不振, 低蛋白血症,胸水貯留などが生じてきました。幸いこれらすべての問題は確実に改善に向かってはいますが,お食欲は十分ではなく,低蛋白血症と胸水貯留は今 も満足できる段階ではないので,「術後経過は順調である」と単純には言えず,「術後の様々な出来事があったが想定内であって,それもすべて改善の方向にあ る」と考えるのが適切であると考えます。

一方陛下には,そうした身体的な問題がある中でも,いわゆるリハビリテーションのメニューを順々にこなして頂きました。例えば,手術翌日にベッド脇に立つ ところから始め,介助を受けながらの数歩の歩行,室内での独歩,廊下での歩行,階段の昇降へと進み,今では一日の歩行距離の総和が1km近くにまでに及ぶ ほどになっています。しかしながら,階段の昇降のようなやや大きめな運動負荷がかかる際には,まだ「息があがる」状態になられますし,血中酸素飽和度が多 少低下することもあります。

天皇陛下入院見舞金記帳所この呼吸や酸素飽和度の問題は,胸水貯留が未だ両側に残っていることを反映しているためであると考えています。しかしながら,貯留量は少しずつ減少してい ること,日常のご生活上には胸水の影響はあまりないこと,胸水が消失するにはなお数週間程度は必要であること,などの理由から,胸水のためにご入院を継続 して頂く必要性はないと判断されました。さらに,これからのリハビリテーションメニューが御所においても実行して頂ける内容であること,なども考慮に入れ た総合判断の結果,本日ご退院となった次第です。

以上の経過および胸水貯留の状態などを考えますと,少なくとも3月一杯は御所でのご静養を基本としてお過ごし頂くことが適切であると考えます。その間,引き続き東大と順天堂大の合同チームのご協力を得ながら適切に対応していきたいと思います。

なお,陛下のご入院中,皇后さまが毎日,ほぼ隔日には病院に泊まって,陛下に付き添われ,大勢の人々が記帳のために皇居を訪れていることや,神社やお寺か ら陛下のご快癒を祈る御札が多数寄せられていることなどをお耳にお入れになり,あるいはリハビリテーション中には心を和ませる音楽をお流しになる,など細 やかなお心遣いをされたことは,陛下がご入院生活を心安らかに過ごされる上で,大きな力となったことと思われます。

最後に,この度の天皇陛下のご入院に際して,東京大学と順天堂大学の関係の方々に,言葉に尽くせぬほどのご協力とご厚意を頂きましたことに対して,ここに厚くお礼を申し上げたいと思います。

平成24年3月4日:皇室医務主管

お見舞い記帳の終了について
天皇陛下のご病気ご療養についてのお見舞い記帳は,本日をもって終了となりました。

平成24年3月4日:宮内庁

天皇陛下のご退院について
天皇陛下には,3月4日(日)午後,東京大学医学部附属病院をご退院になりました。

[ 2012年3月 4日 ]
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