今流行の「クラウド」の利用状況/NTTデータ研
NTTデータ経営研究所は、NTTレゾナントが提供する「goo リサーチ」登録モニターを対象に、このたび「クラウド利用動向に関するアンケート調査」を実施した。
クラウドコンピューティングの利用は年々増加しており、今後もこの流れは続くものと思われる。クラウドを効果的に活用するためには、保有するシステムが、クラウドの利用に適しているのか、効果とリスクを適切に捉えて判断することが重要であると考える。
そこで、今回は、システムの種別単位にクラウドに対する期待やリスク(懸念事項)を捉えることをテーマに調査を行った。
【主な調査結果】
1. クラウドの利用状況
クラウドは、基幹系(事業活動)システムの利用が最も多い。
2. クラウドに期待する効果
クラウドに期待する効果は、「コスト削減・可視化」が最も多い。次いで、「業務継続性やシステム信頼性の向上」、「利便性・機能向上」に対する期待が上位となっている。
SaaS(※)(パブリッククラウド)に対する期待は、基幹系(共通業務)システムでは「業務継続性やシステム信頼性の向上」を期待するのに対し、情報系システム全般では「利便性・機能向上」に対する期待が大きい。また、基盤系システムでは「システム管理負荷の軽減」への期待が大きい等、システム種別による違いが存在した。
PaaS/IaaS(※)(プライベートクラウド)に対する期待は、基幹系(共通業務)システムでは「業務継続性やシステム信頼性の向上」を期待するのに対し、基幹系(事業活動)システムや情報系システム全般では「利便性・機能向上」と「システム管理負荷の軽減」に対する期待が大きい等、システム種別による違いが存在した。
公共分野では、基盤系(インフラ関連)のクラウド化に「セキュリティレベルの向上」を期待する傾向にあり、金融分野では、基幹系(事業活動)システムのクラウド化に「業務継続性やシステム信頼性の向上」を期待する傾向にある等、クラウドへの期待に関して、業種による捉え方の違いが存在した。
3.クラウド利用時に想定されるリスク
クラウド利用時に想定されるリスクは
「セキュリティに対する不安」が最も多い。
次いで「個人情報・機密情報の所在が不明」、
「クラウド事業者の事業継続性への不安」、
「レスポンスの低下」等
のリスクが上位となっており、システム種別による違いはあまり見られなかった。
公共分野では、情報系(データ分析・管理)システムのクラウド化に「個人情報・機密情報の所在が不明」であるリスクを重要視し、金融分野では、基幹系(事業活動)システムのクラウド化に「サービスレベル・柔軟性の低下」に対するリスクを重要視する等、クラウドへの期待に関して業種による捉え方の違いが存在した。
4. クラウドの利用に至った理由
・クラウド利用に至った理由は「クラウドによりコスト削減できることが明らかになったため」が最も多い。
・システム種別によっては、コスト以外の要因が、クラウドの利用可否の判断に大きく影響している場合もある。
・基幹系(事業活動)システムのクラウド化においては、コスト以外の判断要素として、金融分野は他社事例を重視し、製造分野は機能を重視する等、クラウド利用可否の判断に関して業種による捉え方の違いが存在した。
・SaaS(パブリッククラウド)利用の判断理由として、大企業はコストを重視し、中堅・中小企業は事業への貢献を重視する傾向が強い。
※SaaS/PaaS/IaaSとは(出典:総務省・スマートクラウド研究会報告書)
・SaaS(サース:Software as a Service):アプリケーション(ソフトウエア)をサービスとして提供する
・PaaS(パース:Platform as a Service):アプリケーションを稼働させるための基盤(プラットフォーム)をサービスとして提供する
・IaaS(イアース:Infrastructure as a Service):サーバー、CPU、ストレージなどのインフラをサービスとして提供する。
モバイル向けURL http://n-seikei.jp/mobile/
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