アイコン 国内銀行112行のリスク管理債権状況/東京商工リサーチ

東京商工リサーチは、国内銀行112行の2012年3月期決算がまとまり、国内銀行112行のリスク管理債権状況を次のとおり発表した。
当期は、東日本大震災や円高、タイ洪水など経営リスクはあったが、大手行を中心に貸出金を伸ばし、中小企業金融円滑化法など政策支援で企業倒産も抑制され 信用コストは大幅に減少した。しかし、業績改善が遅れた企業に対し債務者区分を引き下げた金融機関も多く、リスク管理債権は3年ぶりに11兆円台に膨らん だ。

 

112行のリスク管理債権合計は11兆471億円と、前年同期より2.7%(2,903億円)増加した。

リスク管理債権が11兆円台に膨らんだのは、3月期ベースでは09年3月期以来、3年ぶり。
貸出金合計は421兆1,736億円(前年同期比2.8%増)で、09年3月期以来、3年ぶりに420兆円台に戻した。一方、貸倒引当金は4兆8,372億円(同6.0%減)で、3年連続で減少した。

リスク管理債権は、大手行、地方銀行、第二地銀がそろって増加した。特に、第二地銀で「延滞債権」が前年同期比7.7%増加した。
金融円滑化法を活用した企業の再建計画の進捗度に応じ、債務者区分の見直しを進めているようだ。
地区別では、九州(前年同期比13.7%増)が最も増加率が高く、東北(同10.1%増)、四国(同8.3%増)も高水準だった。

貸倒引当金は全業態で減少した。大手行8行中5行(構成比62.5%)、地方銀行は63行中48行(同76.1%)、第二地銀は41行中33行(同80.4%%)で減少した。
ただ、北海道1行、東北4行、関東6行、中部3行、近畿3行、四国3行、九州5行の計25行で貸倒引当金が増え、増加率上位10行のうち7行が、西日本に本店が所在していた。

※本調査は国内銀行114行のうち、5月15日までに決算が確認された112行(東京スター銀行・但馬銀行の2行を除く)を対象に、2012年3月期単独決算ベースのリスク管理債権(破綻債権、延滞債権、3ヶ月以上延滞債権、貸出条件緩和債権)を分析した。
※銀行業態は、1.埼玉りそなを含む大手行(8行)、2.地方銀行は全国地銀協加盟行、3.第二地銀は第二地銀協加盟行。

<リスク管理債権前年同期比2.7%増>
 2012年3月期のリスク管理債権は11兆471億円で、前年同期(10兆7,567億円)より2,903億円(2.7%)増加した。
貸出金に占めるリスク管理債権は、2.62%で前年同期より0.01ポイント圧縮された。
リスク管理債権の内訳をみると、「破綻先債権」が前年同期(6,968億円)より1,907億円(27.3%)減少した一方、「貸倒条件緩和債権」は2兆3,768億円と前年同期(2兆1,332億円)より2,436億円(11.4%)増加した。
金融円滑化法の活用で再建を目指しながら経営改善の進捗遅れや再建見通しが厳しい企業に対し、債務者区分の引き下げに動いたことがうかがわれる。

業態別リスク管理債権は、全業態とも増加した。特に、第二地銀は1兆6,136億円(前年同期比4.6%増)と、増加率が最も高かった。以上。

九州のリスク管理債権が増加しているのは、九州の倒産件数が九州の経済状況に比して少なく、倒産予備軍としてリスク管理債権先が増加しているものと推量される。

[ 2012年5月25日 ]
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