ビックカメラとコジマ+ベスト電器連合艦隊 第2位の売上規模に
ビックカメラは、コジマの第3者割当増資141億円(普通株式:39百万株×発行価額 362円)を引き受け、発行普通株式の50.3%を所有する筆頭株主になるとともに実質子会社化すると5月11日発表した。ベスト電器を含めたビックカメラ連合艦隊にとって、艦隊売上高は1兆円を超え、ヤマダ電機に続く家電量販業界第2位の売上高に躍進する。
コジマは、過去熾烈を極めた上州戦争で、ヤマダ電機とともに勝ち残ったものの、リーマンショック後の不況及び国の政策による地デジ・エコポイントにおいて、一時的に売上高は上昇したものの、以前から収益性において問題を抱えていた。当3月期においては、エコポイント終了の反動を受け、かろうじて黒字を計上したものの売上高は17.6%の減少を見た。
今回、ビックカメラの軍門に入るのは、同社の構造的な問題があった。それは、ライバルであったヤマダ電機に対抗して、過去、生めや増やせやで戦略なき多店舗展開をしたことに起因している。
ところが、ヤマダ電機に惨敗、リーマンショック前の不動産ミニバブル時代でも、不採算店の続出から利益面で苦しんだ。今回の増資金も不採算店の閉鎖費用に充てるという。
ビックカメラは、郊外型家電量販店をベスト電器とともにコジマも抱えることになるが、早期にグループとしての戦略を打ち出すべきと思われる。
国内の家電市場は、少子化による需要減・高品質化による更新需要の減退・不況による購入意欲の減少と3重苦に直面している。家電量販店でも好調なスマホの需要も普及率が高く、近いうちに頭打ちになる。こうした中で、売上高とともに利益を稼げる市場戦略が求められる。
ベスト電器についても、コジマ同様、ヤマダ電機に対抗した大型店舗拡大策が採られ、ヤマダ電機により敗北させられた結果、その修正の大ナタが、現在ビックカメラ主導により行われている。(ベスト電器もコジマも、惨敗したヤマダ電器に対しては白旗を揚げたくないようだ)
一方、売上高首位独走の戦艦ヤマダ電機は、全国展開も既に満了、住宅メーカーのエス・バイ・エルを子会社化、直近でも住宅設備機器メーカーの中堅ハウステックも買収すると発表、家電業界の再編より、家電が入る器の住宅産業へ参入することにより、今後の住宅市場がスマートハウス時代へ突入する動きを先取りした戦略を打ち出している。
ただ、足元の業績は、売上高が、家電量販店に共通したエコポイント効果の反動により、今3月期は前期比▲14.8%減の1兆8,354億円(前期2兆1,532億円)となり、2兆円の大台から滑落した。
しかし、当期利益は、前期比17.7%減の582億円(前期707億円)となったものの、利益額はライバル会社を大きく引き離し、自己資本も5,196億円(同率55.4%)まで貯め込み、磐石な経営ぶりに変わりない。(なお、ベスト電器の株は、まだ持ったまま。山田会長は九州宮崎県出身)
ビックカメラの業績推移
|
||||
連結/百万円
|
売上高
|
営業利益
|
経常利益
|
当期利益
|
07年8月期
|
542,294
|
16,002
|
17,448
|
8,146
|
08年8月期
|
604,804
|
15,496
|
16,164
|
4,112
|
09年8月期
|
589,177
|
8,854
|
9,367
|
5,094
|
10年8月期
|
608,274
|
14,764
|
11,759
|
5,965
|
11年8月期
|
612,114
|
19,929
|
22,329
|
9,049
|
12月8月期予想
|
530,000
|
9,000
|
11,000
|
7,000
|
12期予/11期比
|
86.6%
|
45.2%
|
49.3%
|
77.4%
|
11年8月期
|
総資産
|
純資産
|
自己資本
|
自己資本率
|
|
219,837
|
72,240
|
71,444
|
32.5%
|
コジマの業績推移
|
||||
連結/百万円
|
売上高
|
営業利益
|
経常利益
|
当期利益
|
07年3月期
|
501,335
|
-5,547
|
4,354
|
1,917
|
08年3月期
|
500,250
|
-7,728
|
3,277
|
-2,411
|
09年3月期
|
459,840
|
-10,853
|
-5,130
|
-12,676
|
10年3月期
|
438,255
|
6,335
|
6,103
|
3,165
|
11年3月期
|
449,499
|
11,727
|
11,690
|
2,014
|
12年3月期
|
370,380
|
3,660
|
4,200
|
508
|
前期比
|
82.4%
|
31.2%
|
35.9%
|
25.2%
|
13年3月期予想
|
340,550
|
4,334
|
4,040
|
-3,394
|
13期予/12期比
|
91.9%
|
118.4%
|
96.2%
|
|
12年3月期
|
総資産
|
純資産
|
自己資本
|
自己資本率
|
|
164,814
|
51,381
|
51,331
|
31.2%
|
ベスト電器の業績推移
|
||||
連結/百万円
|
売上高
|
営業利益
|
経常利益
|
当期利益
|
07年2月期
|
368,979
|
2,081
|
2,340
|
1,497
|
08年2月期
|
413,530
|
508
|
361
|
-5,640
|
09年2月期
|
371,900
|
-894
|
-937
|
-3,010
|
10年2月期
|
345,619
|
-5,230
|
-5,698
|
-37,448
|
11年2月期
|
340,969
|
6,862
|
5,854
|
1,057
|
12年2月期
|
261,705
|
2,535
|
2,009
|
589
|
前期比
|
76.8%
|
36.9%
|
34.3%
|
55.7%
|
13年2月期予想
|
238,300
|
3,551
|
3,309
|
2,746
|
13期予/12期比
|
91.1%
|
140.1%
|
164.7%
|
466.2%
|
12年2月期
|
総資産
|
純資産
|
自己資本
|
自己資本率
|
|
125,567
|
45,105
|
44,351
|
35.3%
|
連合艦隊ビックカメラ+コジマ+ベスト電器の実績
|
|||||
連結/百万円
|
直近決算
|
売上高
|
営業利益
|
経常利益
|
当期利益
|
ビックカメラ
|
11月8月期
|
612,114
|
19,929
|
22,329
|
9,049
|
コジマ
|
12年3月期
|
370,380
|
3,660
|
4,200
|
508
|
ベスト電器
|
12年2月期
|
261,705
|
2,535
|
2,009
|
589
|
合 計
|
|
1,244,199
|
26,124
|
28,538
|
10,146
|
・ビックカメラの計上分にはベスト電器の持分数値(持株比率15.3%)が入っている。
|
連合艦隊ビックカメラ+コジマ+ベスト電器の予想
|
|||||
連結/百万円
|
直近決算
|
売上高
|
営業利益
|
経常利益
|
当期利益
|
ビックカメラ
|
12月8月期予
|
530,000
|
9,000
|
11,000
|
7,000
|
コジマ
|
13年3月期予
|
340,550
|
4,334
|
4,040
|
-3,394
|
ベスト電器
|
13年2月期予
|
238,300
|
3,551
|
3,309
|
2,746
|
合 計
|
|
1,108,850
|
16,885
|
18,349
|
6,352
|
・ビックカメラの計上分にはベスト電器の持分数値(持株比率15.3%)が入っている。
|
参考
<ヤマダ電機の3月決算> 減収減益
連結/百万円
|
売上高
|
営業利益
|
経常利益
|
当期利益
|
09年3月期
|
1,871,828
|
49,522
|
64,604
|
33,207
|
10年3月期
|
2,016,140
|
87,303
|
101,586
|
55,947
|
11年3月期
|
2,153,259
|
122,764
|
137,847
|
70,754
|
12年3月期
|
1,835,454
|
88,979
|
102,225
|
58,235
|
前期比
|
85.2%
|
72.5%
|
74.2%
|
82.3%
|
13年3月期予想
|
1,827,000
|
92,520
|
102,000
|
56,200
|
13年期予/12年期比
|
99.5%
|
104.0%
|
99.8%
|
96.5%
|
12年3月期
|
総資産
|
純資産
|
自己資本
|
自己資本率
|
|
937,841
|
526,743
|
519,677
|
55.4%
|
[ 2012年5月12日 ]
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