アイコン 「震災1年後の消費と旅行」の意向調査結果/ツーリズム・マーケティング研究所

○最近、消費や旅行を控えたりする人は34% 「震災の影響」は少数派
20代は「収入の心配」、40代、50代は「日本の経済状況が不安」
○20代、60代は、消費や娯楽に最も肯定的、特に旅行消費に積極的なのは60代
○2012年のゴールデンウィークに旅行した人の9割が、今年10月までに再び旅行に行きたい
ツーリズム・マーケティング研究所は、消費および旅行に対する意向についてインターネットアンケート調査を実施した。

3年ほど前、外出せずに家の中での生活をたのしむ消費傾向を指す「巣ごもり消費」という言葉が巷に溢れた。
英語でもcocooningという同義の言葉があることから、この消費傾向は、決して日本国内だけの話とはいえない。
「旅行をしない若者・消費をしない若者」という言葉もよく耳にする。その一方、「アクティブシニア」といわれる世代は活動的で消費をけん引していると言われ、多くの産業界が期待を寄せている。

東日本大震災から1年が経ち、2011年に業務出張以外の旅行をした人を対象に、消費や旅行に関する「今の気持ち」について、調査を実施した。
1. 34%の人が、最近、買物や外食、お出掛け、旅行などの消費をためらったり、控えたりすることがある
「最近、買物や外食、お出掛け、旅行など(の消費)をためらったり、控えたりすることがあるか」という問いについて、「よくある」「すこしある」の合計が34%と、全体の約三分の一を占めた。
世代別では、40代が38.5%と最も高く、最も低い世代は60代の28%で、差が約10%あった。
20代が33%と60代に続いて低い結果となり、決して消費に関して消極的な気持ちではないということがわかった。

2. 消費や旅行をためらったり控えたりする理由は、震災の影響や不安より、収入や経済状況
 前述の設問で、「よくある」「少しある」と回答した人のみに対し、その主要な理由を聞いた結果、いずれの世代においても「収入が増えない・減っているから」が最も多い結果となった。
特に20代ではこの理由が34.8%と他の世代よりも高く、「自分や家族が、将来的に安定した収入を得られるかが不安」との合計が48.4%とほぼ半数になった。
若い世代の消費や旅行を控える要因は収入にあるといえる。
40~60代に顕著なのが、「日本の経済状況(企業業績、物価、雇用など)に不安を感じる」で、50代ではこれが20%と最高だった。また、「地震・余震が不安」「食の安全性が不安」「放射性物質の飛散が不安」などの、東日本大震災に関わる影響を挙げる人は20~30代および60代で比較的多い傾向があった。

3. 「娯楽」や「楽しいこと」への意欲は20代が最も肯定的
 「娯楽を控えようと思っているか」という設問を全員に対して行ったところ、若い層ほど「あてはまらない」と回答した。とくに20代では42.5%と極めて高い結果になった。これと同様に、「なんとなく楽しいことをする気にならない」に対して「あてはまらない」とした人も、20~30代が31.5%と多数であった。若年層ほど、気分の落ち込みが少なく、娯楽にも肯定的という結果となっている。

一方、各世代の中で、50代は「娯楽を控えようと思っているか」という設問に「あてはまらない」と回答した人が22%と、20代の半分以下でした。また、「なんとなく楽しいことをする気にならない」に「あてはまる」「ややあてはまる」と回答した人が最も多く、近い将来における自身の生活や社会に対する漠然とした不安を抱いていることが窺える。

4. 過去1年の旅行経験者 最近の旅行頻度は、60代の約4割が年3回以上
 旅行に対しては、「最近の旅行頻度」は60代が突出して多く、「1年に3回以上」とする層が約40%にのぼった(※調査対象者は、2011年に業務出張を除く旅行をした人に限る)。それ以外の世代ではあまり大きな差はみられず、1年に1回以上の旅行をする人は80%前後になった。「旅行はたまにしかしない」が最も多かったのは20代の15%。

20代は娯楽や楽しいことに肯定的であっても、旅行に関しては他の世代より関心が低い。しかしながら、年2回以上の頻度で旅行する人は、他の世代と同様の結果となった。

5.今年のGWに、旅行をした世代は、国内、海外ともに20代が最も多くGWの旅行経験者のうち9割以上が今年の10月までに次の旅行する意欲が強い。
 今年のゴールデンウィークの旅行経験について、「旅行や帰省はしなかった」が半数以上だった。なお、海外旅行に行った人は3.6%、国内宿泊旅行が16.6%、国内日帰り旅行が18.5%、帰省は14.1%であった。
 これを世代別にみると、20代の「海外旅行」は8.0%と他の世代と比べて最も高いほか、「国内宿泊旅行」も30代と並ぶ約20%と40代以上の世代と比べて高い結果となった。
これについては、前述の最近の旅行頻度の結果と矛盾するようだが、ゴールデンウィークしか仕事を休めず、通常期より高い旅行代金を支払わざるを得ない分、頻度を少なくして旅行に出るケースもあると考えられ、特に20代に関しては、旅行に行きたい気持ちと頻度は休みや収入の関係で合致しないと推察できる。

次に旅行に行きたい時期の設問に対して、いわゆる“働き盛り”の20~40代は、旅行代金が高くなる「夏休み」に集中する一方で、時間の融通がききやすい50~60代は、夏休み前の「5月~7月中旬」が41%と最も高くなっている。50~60代の次回の旅行は「夏休み」や「年末年始」は低くなり、ピークを外して旅行をする傾向が顕著である。

なお、今年のゴールデンウィークに海外旅行や国内旅行をした人については、90%以上が、今年の10月までに次の旅行をしたいと回答している。とくに海外旅行経験者については、全員が今年中に次の旅行をする意向があり、旅行に積極的な層ほど、次の旅行を検討するまでの期間が短いことがわかる。

◆調査概要
 調査対象者:2011年の1年間(1月~12月)に業務出張以外の旅行をした人1,000サンプル(年齢層別、男女別1セル100。関東圏500、関西圏300、中京圏200)
 調査方法:インターネットアンケート調査
 調査時期:2012年5月7日~5月9日
以上

[ 2012年5月25日 ]
モバイル
モバイル向けURL http://n-seikei.jp/mobile/
スポンサード リンク

コメント

関連記事

  • この記事を見た人は以下も見ています
  •  
  • 同じカテゴリーの記事です。
  •   

↑トップページへ

サイト内検索