アイコン 中国経済事情 「利幅縮小」「過剰生産能力」「資金調達難」「従業員の獲得困難」

中国国家統計局が、4月27日に発表した今年第1四半期(1~3月期)の、一定規模以上の工業関係企業による収益は、前年同期比で1.3%減少した。収益減少の原因として、原材料の仕入価格高騰、製品販売の低迷、製造・生産コストの増加などが挙げられている。

 また、国家統計局が5月11日に発表した統計によると、4月の工業生産は前年同月比で9.3%増だが、前月の3月と比べて2.6ポイント減速。工業生産の伸び率が10%台を下回ったのは、リーマン・ショック以来約3年ぶりとなっている。

 一方、業界関係者によると、現在の販売状況から見た中国企業の経営状態は、統計局の発表した数値よりも深刻だと指摘する。

 山東省のアナリストは、次のような企業販売統計データを示している。
 それによると、今年第1四半期の鋳造業の販売は前年同期比で69%減少。自動車部品製造業は同46%減少。また、建築業(鉄筋構造)は同31%、化学装置製造業は同33%、風力発電基本設備製造は同90%、造船補助装置製造は同50%、それぞれ減少したという。(広い中国にあって、地域によっては以上のことが現実のようである)

<輸出不振と内需鈍化、中国経済に迫る2つのピンチ>
 長い間、中国の経済成長のけん引力の一つであった輸出セクターが、欧州債務危機や米国経済の停滞で大幅に低迷していること、および内需の鈍化も、多くの中国企業が経営難を生じた主な原因だとされている。
 
中国税関総署が10日に発表した4月の貿易統計によると、輸出は前年同月比で4.9%増(3月8.9%増)の1632億5000万ドル。
輸入は、前年同月比でほぼ横ばいの0.3%増(3月5.2%増)の1448億3000万ドル。当月の貿易黒字は184億2000万ドル。4月の輸出入の伸率低下は、中国の外需と内需の鈍化を改めて示している。

国内外のエコノミストは、今回の輸入の急激な鈍化に注目し、中国内需不振の深刻さを懸念する。
内需は、投資と消費から成り立つが、中国経済は特に投資に依存しており、不動産価格抑制政策による不動産市場の減速、および株式市場の低迷により、人々の投資意欲が、後退しているのが現状である。
一方、個人消費は長い間不振のままだ。都市部と農村部との間の所得格差や国民の社会保障への不安などが、個人消費の拡大を阻んでいる。
中国政府は近年、内需主導型経済に転換することを何度も表明してきたが、いまだに所得格差の問題や社会保障に関する改善策を出していない。

<利下げできる幅は残ってない>
4月の工業生産や輸出入などの経済指数が悪材料(株価を下げるマイナス情報)となり、中国経済の行方がますます不透明になっている中、中国人民銀行(中央銀行)は12日、市中銀行が、預金総額のうち中央銀行に預け入れる額の比率である預金準備率を18日から0.5%引き下げるという追加緩和策を打ち出した。今年2月以来の利下げとなる。

これについて、在米エコノミストは「中国経済成長の鈍化や企業の経営難などの問題を解決し、経済を刺激するために、中国政府は流動性供給拡大を目的に利下げをはじめとする追加金融緩和を行っていくだろう。しかし現在、中国ではインフレ圧力がいまだに大きいため、利下げできる幅はそれほど残っていない」と指摘する。
また、多くの業界関係者は、中国政府が投資を促進するための新たな景気刺激策を打ち出す可能性はないとの認識を示している。
その理由として、2008年末に中国政府が打ち出した4兆元規模の景気刺激策によって生じた不動産バブルで、さんざんに頭を悩まされてきた指導者たちが、同じ轍を踏むことはないと見られるからだ。以上、中国誌より。

中国は、世界経済を崩壊させたリーマン・ショックにより、内需政策に大きく舵を取った。その目論見は、内需で踏ん張っている間に、世界経済も回復するだろうとの大きな読みがあった。しかし、米経済が活況を示す中国経済なども取り入れ、やっと立ち直りかけているものの、欧州経済は深みに嵌るばかりで、一向に改善の光すら見えてこない。
この間、中国政府は巨額の内需振興策を取り、一機に不動産市場がバブル化、投機市場に化かしてしまった。貧富の差はますます拡大、国民の不満は募る一方。
欧米経済は一向に改善せず、外患内憂の状態にある。この間、政府は過熱化した不動産市場を沈静化させるため、引き締め政策を取ったものの、内需全般にわたり不振に陥っている。
貧富格差を是正させるために賃金が大幅上昇、外国からの投資も大幅に鈍化している。政治は、胡錦涛体制が秋に予定されている習近平体制への移行が、江沢民の流れを組む
周・薄一派に翻弄され、いまだ政治的安定にはほど遠い状態、なにもかも八方塞の様相を示しているのがマクロから見た中国の現実のようだ。
 
 

[ 2012年5月29日 ]
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