厚労省/印刷会社の胆管がん緊急調査結果発表 新たに石川・静岡でも
大阪や宮城の印刷会社で胆管がんが多発した問題で、厚労省は10日、新たに東京都と石川、静岡両県の印刷所各1ヶ所(計3ヶ所)で、従業員男性各1人(計3人)が発症し、うち2人が死亡していたとする緊急調査の結果を発表した。
12人が発症し、うち7人が死亡した大阪市の印刷会社と2人が労災申請した宮城県と合わせ、発症事例は5都府県17人に拡大した。
有害性の高い化学物質の扱いを定めた厚労省規則に違反する印刷所が8割近くになることも分かり、同省は規制強化を検討する。
同省労働基準局によると、6月から調査していた全国561ヶ所の印刷所のうち、東京、石川の60歳以上の従業員が胆管がんで死亡、静岡の40代従業員が一時入院していた(現在は退院)。事業者名は公表していない。
厚労省は、印刷インキの洗浄などに使われる有機溶剤について、中毒予防規則で、排気装置の設置などを義務づけている。今回の調査で、規制対象の化学物質を使っていたのは494ヶ所、8割近くの383ヶ所が規則に違反していた。以上、毎日新聞参照。
中毒予防規則違反をしていたとしても、胆管がんの発がん性物質含有の溶剤を規制せず、売らせていた責任はどこにあるのだろうか。
厚労省がいうところの中毒予防規則を遵守したところで、発がん性物質含有の溶剤をこれまで現場で使用することを認めてきた厚労省の責任は、決して転嫁できるものではない。
化学物質を多用する印刷所であり、何故、こうした事態に至るまで、厚労省が何故指導してこなかったのか疑問に思えてならない。産業界の利益を優先してきたとしか思えないのである。
今回、中毒予防規則違反がいっぱいあると調査結果に至るまでの長年、指導の一回でもしてきたのであろうか。
インク業界最大手の東洋インキは、印刷業界ではインク製造において使用する化学物質等については自主規制を設けており、これまでも一切発がん性物質などは製造原料に使用してきていないとしている。
また、同社では、溶剤として、顧客から要望があったときに限り、今回、発がん性物質とされているジクロロメタン(=塩化メチレン)入りの仕入商品を販売していたが、今回の問題が発生した時点で、そうした商品も取り扱わなくしたと述べている。
ということは、自主規制をしている印刷業界以外の業界の溶剤品であることも考えられる。
国際がん研究機関=IARCの発がん性リスク一覧には、ジクロロメタン(=塩化メチレン)は、動物実験では発がん性物質として認められているが、人に対しては、第3グループとして、人に対する発がん性物質としては分類できない発がん性物質として収載されている。
揮発性溶剤には、イロイロなこうした発がん性物質と認定されているものや分類できないが発がん性物質として収載されているものが、これまでイロイロ使用されてきた。しかし、今も使用されているものでは、当然ながら、直接扱う製品には、認定されている発がん性物質は使用されていない。しかし、今回のように分類できない類のジクロロメタン(=塩化メチレン)が使用された溶剤は、現に販売されているのである。
タバコ値上げばかり検討するおばばがいる厚労省は、ジクロロメタン(=塩化メチレン)等発がん性物質として収載されている化学物質については、タバコ並みに発がんの可能性があるような文字記載でもさせていたら、こうした被害も出なかったと思われる。少なくとも、最近まで発症するということはなかったと思われてしかたがない。
再度言うが、中毒予防規則違反をしていたとしても、揮発性溶剤による中毒はあったとしても、胆管がんの発がん性物質含有の溶剤を規制せず、特段告知もせず販売させていたことに、今回の胆管がんでの死亡・発症事件の原因があり、その責任は厚労省にある。
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