アイコン 厚労省/胆管がんの無料の個人相談の電話設置 肝臓がんも 機械業界への波及も

厚労省は10日、下記のように発表した。

<印刷会社は換気を充分にすること>
今回の全国調査では、中毒予防規則に基づき、規制対象となっている54の化学物質を扱っている印刷会社のうち78%にあたる383ヶ所で、換気が不十分など安全対策に何らかの問題があったという。
当該事業所は早急に、換気を、中毒予防規則に基づき、強化する必要がある。
 
<インク業界は自主規制によりジクロロメタン等の物質含有製品は製造していない>
インク最大手の東洋インクでは、当該の化学物質(ジクロロメタン=塩化メチレン及び1,2-ジクロロプロパンが入った洗浄剤は、業界の自主規制もあり製造していないが、顧客の求めに応じ、こうした化学物質を含有した洗浄剤を仕入れて販売していた。
同社では、当問題が発覚してから、当該化学物質含有の洗浄剤は販売していない。
同社に対して、当該の仕入商品の製造元を問い合わせたが、教えられないとして答えてもらえなかった。同社によると、当該化学物質を含有する洗浄剤の製造会社は多くの会社があり、顧客の求めに応じてそれらのメーカーの製品を仕入れて販売していたと述べている。
 
<無料相談電話開設>
なお、厚労省は、調査結果と胆管がん(肝臓がん・注記)などの「無料の相談電話」を開設したリリースを、下記の通り発表している。
厚労省の今回の調査は事業所に対して調査であり、相談電話は、作業従事者や亡くなられた作業従事者の遺族の方の相談も受け付けており、この機会にぜひ、相談されたらいかがだろうか。
 
<診断における肝臓がんも疑われる>
(注記)胆管は、肝臓で製造される脂肪分を溶かす役割を持つ胆汁を、胆管を通して十二指腸に送り込む役目を果たしている。そのため胆管の細管が肝臓内部へ何本も入っており、その肝臓内部に入り込んだ胆管の細管部分で胆管がんを発症した場合は、肝臓がんと診断されるケースが殆どだといわれている。今回の胆管がんの発症例の特徴は、年齢に関係なく(20歳代から60歳代まで)発症している点にある。
 
(胆汁は食物油を溶かす、ジクロロメタンは鉱油を溶かす。ジクロロメタンが体内に入り肝臓に蓄積され、同じような用途の胆汁に入り込み、胆管が異物として反応を起こし、胆管がんを発症させている・・・私的推論)
 
<機械業界などへの問題波及が懸念される>
 また、ジクロロメタン=塩化メチレンは、油を溶かし揮発させるという特性を持っていることから、印刷業界(ローラーのインクをふき取る作業に用いられる)よりもっと使用されている機械業界(機械に付着した油をふき取る作業)等への問題波及が懸念されている。
 
<厚労省発表原分>
胆管がんに関する一斉点検結果の取りまとめ等について(2012.7.10)
 大阪の印刷事業場での胆管がんの発生を受けて、全国561の事業場を対象として実施していた一斉点検の結果等を以下の通り取りまとめましたので、お知らせします。
 
1.一斉点検結果の取りまとめについて
 厚生労働省では、印刷事業場での胆管がんの発生を受けて、緊急に全国561の印刷事業場を対象とした一斉点検を実施し、今日、その結果を取りまとめた。
(1)胆管がんの発症
 胆管がんを発症した者がいるとするのは3事業場、3人(東京、石川、静岡)であり、大阪、宮城の事業場以外に、複数の胆管がん患者が確認された事業場は無かった。
(2)有機溶剤中毒予防規則の適用状況等
 561事業場のうち、有機溶剤中毒予防規則(急性の有機溶剤中毒を予防する観点からの規制)の規制対象物質を使用していた事業場は494ヶ所、こうした事業場のうち何らかの問題が認められた事業場は383ヶ所(77.5%)であった。
(3)作業場所の状況
 外気と接していない地下室で作業を行っている事業場は無かった。また、地下室と同視できるような空間で作業を行っている事業場は9ヶ所であった。
(4)使用化学物質
 ジクロロメタンを使用している事業場は152ヶ所、1,2-ジクロロプロパンを使用している事業場は10ヶ所であった。

2.今後の対応策について
 一斉点検の結果を受け、厚生労働省として以下の4点からなる対応策に取り組むことにした。
(1)現行法令等の遵守の徹底
 何らかの問題が認められた事業場の割合が非常に高かったことを受け、全印刷事業場に対し、自主点検を実施させるとともに、未提出事業場を中心に、説明会の実施や監督指導等で、現行法令等の遵守を徹底する。
(2)有機塩素系洗浄剤のばく露低減化の予防的取組
 複数の労災請求のあった大阪と宮城の事業場では、労働者が高濃度の有機塩素系洗浄剤にばく露していた可能性が高いことから、脂肪族塩素化合物を用いて通風が不十分な場所で洗浄作業を行う場合には、法令等の規制の対象となっていない場合でも、法令の規制と同様の措置をとるよう指導する。
(3)職業性胆管がん相談窓口の設置
 職業性胆管がんに関する各種相談に厚生労働省として対応するため、専用のフリーダイヤルを設ける。時間は月曜から金曜の9:30~12:00と13:00~16:00。
 
東日本については、7月13日からで、番号は「0120-860-915」
西日本については、7月12日からで、番号は「0120-616-700」
ただし、7月12日については、東日本の相談であっても西日本の番号で受け付ける。
 
また、産業保健の専門家からの相談体制も整備、
7月12日から専用のフリーダイヤルを設ける。
番号は「0120-688-224」、時間は火、水、木曜の13:00~17:00。
 
(4)胆管がんの発症に関する疫学的調査の実施
 原因の究明のため、産業医学の専門家によるチームを編成し、当該事業場の詳細な調査や胆管がんについての疫学的な調査等を実施する。

 なお、既存化学物質対策として、既存化学物質6万種類を対象に、労働者へのばく露の実態等を踏まえて対象物質を的確に絞り込んだ上で、がん原性やリスクの評価を行い、これらの結果に応じて化学物質の規制を強化する取組(既存化学物質評価10カ年計画)を実施する。
[ 2012年7月11日 ]
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