アイコン 辻本豪三元教授 メド城取のカード300回使用 預け金からと 京大も調査へ

京都大学は、大学院の元教授が収賄の疑いで東京地検特捜部に逮捕されたことをうけ、31日夕方会見を開き、大学でも不正の有無について調査する方針を示した。

記者会見では、「高い倫理性をもって研究活動に取り組むべき研究者にとって到底許されることではなく誠に遺憾だ。このたびは社会をお騒がせし国民や関係者に謝罪したい」と述べた。

京大によると、辻本豪三元教授の部門では、平成16年度以降、医療機器販売業者のメド城取に10百万円以上の設備をわかっているだけで7件、計2億47百 万円分発注、うち6件は競争入札であったが応募したのはこの業者だけだったという。残る1件は随意契約でメド城取が受注していたという。

京大には、機材を発注する際、必要な性能を決める委員会があり、7件のうち少なくとも5件で元教授が委員を務めていた。ただ、大学では委員会の委員になったとしても入札価格は事務方が決めるため、委員が金額を知ることは、通常はあり得ないと説明している。
今後の対応について大学では、大学と学部に作った調査委員会で元教授が関わった、すべてのプロジェクトなどの伝票などを調べて、不正がなかったか8月末までに調査する方針。

一方、「預け金」「プール金」については、文科省への報告では「なし」としているが、
大学の全教職員と退職者など1万人に対して、それに取引業者について、改めて調査を行っているという。

また、辻本元教授は、7年前にメド城取の木口社長からクレジットカードを渡され、これまでに約300回にわたって飲食や家電製品購入の支払い約600万円あまりを使用していたという。

辻本元教授は、物品の架空発注などをして研究費を不正にプールする「預け金」の管理を木口社長に任せていて、特捜部の調べに対し「カードの代金は預け金から支払われていると思っていた」などと供述して賄賂の認識を否定しているという。

しかし、預け金だとしても、本来預け金の所有権は、京大や以前勤めていた国立成育医療研究センター(国立病院、東京都世田谷区大蔵2-10-1)にあり、公金を私的に流用すれば横領罪となる。しかも「預け金」がいつ発生したものかも今後の重要なポイントとなる。

また、メド城取が民事再生を申請したときの債権者一覧表には、国立成育医療研究センターが3億79百万円の債権者として登場している。しかし、国立成育医療研究センターでは、そんな債権は以前から全くなく、寝耳に水としており、今後の捜査の進展が待たれる(国立成育医療研究センターも文科省の調査対象、同病院では、「預け金」も「プール金」もないとした報告書を提出したと同病院関係者は述べている)。

京大時代の預け金も国立成育医療研究センターの分に包含されていると思われるが、それを立証できなければ、国立成育医療研究センター分として時効扱いになる可能性すらある。

京大は、機器の入札において、事務方しか予定価格を知らないとしている。もしかすると辻本豪三元教授から、飲み食いに誘われ、予定価格が事前に漏れていた可能性もある。
そうだとすれば、不正競争防止法違反の疑いで事務方にも問題が広がる可能性もある。

更に、京大では、辻本豪三元教授関連分の医療機器入札では、メド城取の1社入札が続けられていたとされる。ならば、医療機器メーカーや医療機器商社の談合の疑いも出てくる。

ただ、逮捕された3人が口を割らない限り、難しい案件でもある。国立成育医療研究センターの3億79百万円「預け金」問題もあり、今後とも広がりを見せてくるものと思われる。

<その他>
経費の架空計上が疑われているのは「国際受容体・シグナリング・薬物作用シンポジウム」と題された国際学会。当学会は昨年4月1・2日に開催され、経費総額は827万円と記載されているという。内訳は人件費が366万円、事務費が124万円、通信・運搬費が86万円など。うち少なくとも人件費の一部が、実際には支払われず使途不明金が発生しているという。

辻本豪三元教授は、09年8月~11年8月に私的海外旅行に計3回行き、代金計146万円をメド城取が支払っていたという。

元教授による04〜11年度の業者との取引状況の全容は、元教授は186業者・個人と金銭を含めた取引をしていたが、取引件数の約4割、金額ベースでは5割以上が、「預け金」をしていたとされるメド城取に集中。辻本豪三元教授の研究室やセンター長を務めていた最先端創薬研究センターは、全1万1,796件の物品購入のうち約4割に当たる4,713件についてメド城取と契約。金額では、総額9億7,175万円のうち4億9,702万円、51%を同社が占めていたという。

<時空を越えた世田谷トライアングル>
メド城取の本社地は、東京都世田谷区赤堤3-3-4
2002年まで務めた国立成育医療研究センターの所在地は、東京都世田谷区大蔵2-10-1
辻本豪三元教授の自宅は、世田谷区(以前勤務の国立成育医療研究センターの関係)

(辻本豪三元教授は、北大医学部卒、1991年「国立小児病院・ 小児医療研究センター」(現 国立成育医療研究センター)に着任、ゲノム創薬の第一人者に登り詰め、薬剤治療研究部長であった2002年、京都大学から教授として招聘された)

[ 2012年8月 2日 ]
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