大和ハウスがフジタを完全子会社化 アジア・北米戦略に弾みか
大和ハウスは10日、今後東南アジアはじめ海外展開を進めるため、海外での実績が豊富なフジタを500億円で完全子会社化すると発表した。
大和ハウスは、今後ともショボっていく国内市場にあり、海外展開をはかる必要性に迫られているが、まだその実績は僅少であった。そのため、中国・東南アジアや北米などに多くの実績を有するフジタを子会社化することにより、その展開を加速できるとしている。
大和ハウスは、中国でマンションやベトナムで工場団地など作っているが、国際事業の2012年3月期の売上高は126億円に過ぎない。
ライバルの積水ハウスは、独自に中国・豪州・北米へ既に進出しており、大和ハウスはは遅れをとっていた。積水ハウスの国際事業の売上高は、2012年1月期242億64百万円、2013年1月期の予想では600億円と拡大していく。
大和ハウスグループは、「社会」のために新しい価値を創造する企業グループを目指し、「人・街・暮らしの価値共創グループ」という企業理念のもとに、戸建住宅、賃貸住宅、マンション、住宅ストック(リフォーム、仲介)、商業施設、事業(医療介護、物流)施設、健康余暇(リゾートホテル、スポーツクラブ)といった多岐に亘る事業を営んでいる。
フジタは、「自然を 社会を 街を そして人の心を 豊かにするために フジタは たゆまず働く」という企業理念のもとで「“高”環境づくり」をスローガンに、国内・海外で建設業を営んでおり、国内では建設技術、街づくり・都市再生のノウハウを活かしたビジネスを行うとともに、中国では日系ゼネコンの中でトップクラスの地位を確保しているほか、メキシコやベトナムなどでお客様の海外設備投資を積極的にサポートしている。
なお、フジタの売上高構成は、建築70%、土木25%ほかとなっている(この間子会社であったフジタ道路は独立している)。
大和ハウスは、フジタの有する高い技術力・企画力・販売チャンネルと当社における提案力・ビジネスモデルを融合することにより、成長の継続(コア事業の競争力強化、収益機会の開拓)及び成長への布石(海外拠点整備、海外展開における業容拡大)に繋がると考えている。
フジタの海外事業は、北米・東南アジアにおいて、大和ハウスより先行しており、フジタの海外プラットホームを活用することで、大和ハウスグループとして、海外事業の拡大・強化を促進することが可能になり、また、国内においても、事業施設・商業施設等のビジネスを拡大・強化することが可能であるとも考えているとしている。
フジタの最近3年間の連結経営成績及び連結財政状態
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連結/百万円
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2010年3月期
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2011年3月期
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2012年3月期
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売上高
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267,241
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241,405
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310,876
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営業利益
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6,329
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4,247
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3,690
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経常利益
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4,658
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2,983
|
3,958
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当期純利益
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2,971
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3,375
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1,589
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総資産
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161,529
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162,475
|
194,379
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純資産
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26,196
|
29,207
|
29,432
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純資産率
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16.2%
|
18.0%
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15.1%
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大和ハウスの最近3年間の連結経営成績及び連結財政状態
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連結/百万円
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2010年3月期
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2011年3月期
|
2012年3月期
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売上高
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1,609,883
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1,690,151
|
1,848,797
|
営業利益
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62,714
|
87,697
|
114,955
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経常利益
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60,036
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79,049
|
108,506
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当期利益
|
19,113
|
27,267
|
33,200
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総資産
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1,916,927
|
1,934,236
|
2,086,097
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純資産
|
616,821
|
634,151
|
657,891
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資本金
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110,120
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110,120
|
110,120
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有利子負債
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458,360
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395,556
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383,624
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自己資本率
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32.2%
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32.8%
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31.5%
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2012年3月期の大和ハウス+フジタの単純合算
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科目
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連結/百万円
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売上高
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2,159,673
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営業利益
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118,645
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経常利益
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112,464
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当期利益
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34,789
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総資産
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2,280,476
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純資産
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687,323
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純資産率
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30.1%
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フジタの直接の株主:有限会社フジタ・ホールディングス 100.0%
その親会社:ジーエス・ピーアイエー・ホールディングス合同会社 86.0%
その上の親会社:ザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インク
(フジタは実質ゴールドマン・サックス銀行の子会社)
<フジタの経歴>
フジタは1999年3月バブル崩壊で行き詰まり1200億円の債務免除を受けた。日本経済はその後も金融機関の不良債権問題に揺れ、経済もデフレに至り、フジタの経営は改善されなかった。
2002年10月、三井住友銀行主導で行き詰ったフジタを会社分割させ、旧フジタをACリアルエステート(不動産管理会社、不良資産整理会社)と新フジタに会社分割させた。
分割前の有利子負債は8,600億円、新フジタに2,700億円、ACリアルに3,500億円引き継がせ、2400億円を債務免除した。
2005年3月、三井住友銀行主導でフジタを三井住友建設に統合させようとしたが失敗して白紙に。
2005年9月、新フジタを三井住友銀行主導で989億円債務免除後、ゴールドマン・サックス銀行ら(+森トラスト)が設立した(有)フジタ・ホールディングスに対して410億円の割当増資(全株式の55%相当)を引き受けさせ、引き継がせた。
2005年11月、ACリアルエステートが負債総額3,526億円で経営破綻(民事再生申請)、フジタに対して実質債務免除した。
2008年11月、新フジタは一連の方策により2部上場となっていたが、(有)フジタHが公開買付を実施して完全子会社化、上場は廃止された。
(有)フジタHは投資会社であり、頃合を見てフジタを売却することになるが、今回、大和ハウスが手を上げたものである。
(三井住友銀行とゴールドマン・サックスは以前から仲好しこよし、特に日本で始めて三井住友銀行が不良債権処理の一環として、ゴールドマン・サックス系にバルクセールを実施、金融機関のオフバランス化に先鞭をつけたことでも知られる)
[ 2012年8月11日 ]
モバイル向けURL http://n-seikei.jp/mobile/
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