アイコン 7月の中国経済事情 日本経済は半没する?

中国経済の各指数は予想を大幅に下ブレしている。中国では雇用を維持するための経済成長率を8.0% (保八)としているが、リーマン・ショック後内需拡大策に転じ、高い経済成長率を維持してきた。しかし、その急激な内需拡大策は、物価上昇、不動産バブ ル、地域間格差、富裕層と低所得者層の貧富差拡大により、修正を余儀なくされた。更に、内需拡大策の期間に回復すると思われていた外需が、回復するどころ か欧州経済の沈没で更に悪化、今年の経済成長率は8.0%の死守線を大幅に下回る7.5%を予想している。一段の経済指数の悪化に中国政府は、6月・7月 の金融緩和策に続き更に微調整の動きを強めている。

 
<歳入・歳出動向>
1、歳入は、1兆0,700億元(1,682億70百万ドル)前年同月比8.2%増(5月同13.1%増、6月9.8%増・・・)と7月は伸びが鈍化。
 
7月の歳入の内容は、
消費税が前年同月比11.5%増、
増値税(=物品税)が同0.7%増
営業税(売上税)が同13.3%増、
不動産関連税が同7.6%増
法人所得税は同2.8%増(6月同10.1%増から急速に悪化)
 
歳入は、不況により法人所得税が急激に悪化している。そのため、景気浮揚策が金融面からもなされてきている。
 
2、歳出は、9,528億元(1,498億30百万ドル)前年同月比37.1%の大幅増(6月同17.7%増)。不況対策は、歳出面で各種経済浮揚策が採られている。
7月の歳出の内容は、
中央歳出1,670億元、地方歳出が7,858億元
歳出施策は、今年累計(1~7月)で、低所得者向け公共住宅=保障性住宅が39.2%増、教育分野32.0%増、健康関連が25.0%増と高い公共投資の伸びとなっている。
 
<不動産投資状況・住宅着工指数>
1~7月までの不動産投資の状況は、1~6月までの前年同期比16.6%増から、1~7月は同15.4%増と鈍化している。
 1~7月までの不動産販売収入は、前年同期比0.5%減少、1~6月は同5.2%減少。7月は、これまで不動産価格がかなり低下してきており、規制(購入面と金利面)緩和策=微調整の効果が少し出てきているようだ。
 1~7月までの住宅着工件数は同9.8%減、1~6月は同7.1%減から大幅に伸び率が悪化している。
不動産に対する微調整は主要都市で既に採用されてきたものの、企業業績の悪化から、購入層の所得も悪化しており、住宅の需給バランスはまだ崩れ、住宅着工件数は調整局面にある。
 
<鉱工業生産・小売売上高の状況>
中国の鉱工業生産指数と小売指数ほか
対前年同月比
7月
7月予想
6月
7月/6月ほか
鉱工業生産指数
9.2
9.8
9.5
3年ぶりの低調
固定資産投資高指数(1月からの累計)
20.4
20.5
20.4
1.42%増
小売売上高指数
13.1
13.7
13.7
1.05%増
 
<消費者物価指数・生産者物価指数>
7月のCPI=消費者物価指数は、前年同月比1.8%上昇、前月より0.1%増(6月は2.2%上昇)(予想はそれぞれ1.7%増、▲0.1%減)と30ヶ月ぶりの低い伸び率となっている。
昨年7月の同6.5%であり、インフレ圧力は影を潜めてきている。
 
7月の食品価格は前年同月比2.4%上昇となったが、6月の同3.8%上昇より鈍化した。要因としては、豚肉価格が▲18.7%下落したことも影響している。
 
食品以外は同1.5%上昇、6月の1.4%上昇と、6月より0.1ポイントだけ上昇している。
消費者物価指数は、世界の穀物相場が天候不順で急上昇しており、今後の同国の物価安定に悪影響を及ぼす可能性もある。既に中国政府は備蓄の市場放出を始めている。
 
7月のPPI=生産者物価指数は、前年同月比▲2.9%、前月比▲0.8%となった。これは09年10月以来の大幅な落ち込みとなっており、5ヶ月連続しての落ち込みとなっている。
しかし、人民銀行は、季節的要因の消費者物価、人件費、材料コスト高に、8月以降上昇する可能性が高いとみている。
 
<貿易状況>
中国の7月の輸出は、金融不安から経済不況に陥っている欧州向けや一進一退の米国向けが急悪化している。経済アナリストが予想した前年同月比8.6%増を大きく割り込み1.0%増に終わった。
7月の中国の貿易状況
前年同月比
7月
7月予想
6月
備考
輸出
1.0%
8.6%
11.3%
EUへは▲16%減
輸入
4.7%
7.2%
6.3%
 
貿易黒字(億ドル)
251
343
317
 
 
<中国と関係が深い台湾と韓国・日本>
台湾の輸出は、7月まで前年同月比で5ヶ月連続してマイナスが続いている。7月は中国向け前年同月比▲11.0%減、米国向け同▲20.0%減、欧州向け同▲14.4%減と大幅な輸出の減少を見ている。7月の韓国の輸出も同▲8.8%減となっている。
日本の場合も同じで日本関税協会の速報値によると、7月の輸出額は4兆5102億円、前年同月比▲9.3%減、6月比▲17.1%の大幅減となっている。
 
今では、中国を糧に経済を浮揚させてきた台湾や韓国、それに日本は、中国の経済状況に一喜一憂せざるを得ないところまで経済的関係は深くなっている。
[ 2012年8月13日 ]
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