アイコン 「情報漏えい犯」「情報屋」全国9事件、逮捕者26人の系譜/愛知県警 2012.9.29

個人情報取得の総元締めはエージェーLPか?

愛知県警は、昨夏、暴力団対策の捜査官の個人携帯や非開示の自宅電話に、何者かから脅しの電話が入った。当然、愛知県警はカンカンとなり、総動員して、全国の情報漏えい先や情報屋を徹底的に捜査・逮捕している。
愛知県警の琴線に触れた個人情報漏えい事件はまだまだ進行中である。

愛知県の「情報屋」と呼ばれる調査業者「エージェーLP」の男らが逮捕された事件で、この調査業者は10年ほど前から個人情報の取り扱いを本格的に始め、情報の売買を繰り返していた。
この事件は、愛知県あま市の調査業者「エージェーLP」の新原聡容疑者(38)らが他人の戸籍謄本や個人情報を不正に入手したとして逮捕されたもので、調べに対し、いずれも容疑を否認しているという。
新原容疑者らは探偵業界で「情報屋」と呼ばれ、戸籍や携帯電話の契約者の住所、銀行、の残高、保険、職務経歴など、さまざまな個人情報を全国の探偵らから仕入れて売りさばいていたとされている。

愛知県警によると、情報は1件あたり1万数千円から数万円で売買され、去年までの4年間に数万件の個人情報を取り扱い、約8億5千万円を得ていたとされる。

更に情報元締屋とされる「エージェーLP」の新原容疑者らは、個人情報保護法が成立するなど規制が強化された平成15年ごろから、本格的に情報を取り扱うようになり、売買を繰り返していた。
愛知県警は、新原容疑者らが、入手が難しくなることで逆に価値が高まった個人情報に目をつけ、巨額の利益をあげていたとみて闇ビジネスの実態解明を急いでいる。

<<情報漏えい逮捕事件の系譜>>
<プライム総合法務事務所>2011.11.11東京・京都 逮捕5人
愛知県警は、情報漏えいの巣窟として11月11日、東京都千代田区の司法書士事務所「プ
ライム総合法務事務所」を捜索するとともに、
プライム総合法務事務所の代表の奈須賢二、
探偵会社「ガルエージェンシー東名横浜」代表の粟野貞和、
司法書士の佐藤隆、
元弁護士の長谷川豊司、
京都のグラフィックデザイナーの杉山雅典
の5名を偽造有印私文書行使、戸籍法違反、住民基本台帳法違反の容疑などで一挙に逮捕した。
(ガルエージェンシーは、あくどい高利貸で腎臓売れ事件の商工ファンド=SFCGの大島健伸が作った探偵会社)。
 プライム総合法務事務所は、2010年9月には東京司法書士会名義の発行請求書を大阪府の印刷会社で1万枚も偽造して印刷、その用紙を利用して戸籍情報等を取得していた。

<横浜ハローワーク個人職歴情報漏えい事件>2012.6.3横浜 逮捕2人
愛知県警は、2012年6月3日、横浜ハローワークの西沢えみ(47)が数千件の個人のハ
ローワーク登録情報を「情報サービスエフ」(代表:藤田利恵子(51))に流していたとして
西沢えみを国家公務員法違反(守秘義務違反)、藤田利恵子を不正競争防止法違反(営業秘
密侵害など)容疑で逮捕した。県警によると、昨年1月~今年3月までに約48000件
の職歴を照会していた。

<ソフトバンク個人情報漏えいと探偵会社>2012.6.28岡山・広島 逮捕2人
愛知県警は、6月28日、「ソフトバンク表町店」元店長(OCモバイル(東京)元契約社
員)横田容疑者(33)(岡山市北区北長瀬表町)を不正競争防止法違反(営業秘密侵害)容疑で逮捕、更にソフトバンク登録情報を購入していた広島市安佐南区相田、探偵業「総合調査リサーチ24」平田一雄容疑者(36)も逮捕した。横田は平田の要請により全国のソフトバンクの個人登録情報を数千件売却していたという。

<愛知県あま市の探偵会社ガサ入れ>2012.7.4あま市
平田が経営する探偵会社「総合調査リサーチ24」(広島市)のガサ入れで、押収した資
料により、その膨大なデータが、あま市の探偵会社に売却されていたことが判明、愛知県
警は7月4日、当該の探偵会社をガサ入れした(当時はまだ逮捕されていない)。

(あま市の探偵会社にあった営業パンフには、1件当りの情報価格が、ソフトバンク2万3千円、ドコモ6万7千円、au9万8千円であったそうだ。
ソフトバンクの価格が超割安であり、ソフトバンクが如何に情報漏えいしやすい体質になっているか浮き彫りにしている。店長が、契約社員じゃ、ノルマは厳しく給料は安い。こうした店舗経営形態が情報漏えいの原因の大きな一つだともいえるだろう。)

当ガサ入れ押収資料により、あま市の探偵会社が、長野県警の元警察官で探偵業「エイシン・リサーチ」経営(長野県北安曇郡)の平林大生(60)から、車検履歴情報を購入していることを突き止めた。
更に、あま市の探偵会社のガサ入れ押収資料にあった車検履歴情報の多くを追いかけると長野県警の現役の警察官2人が、国交省陸運局が管理し、犯罪車両や違法駐車などの捜査のため警察庁に提供しているデータの「警察情報システム」にアクセスしていたことが判明している。

<長野県警警察官2名+1逮捕>長野、2012.7.20 逮捕3名
愛知県警は7月20日、長野県警巡査部長の石黒俊雄容疑者(60)と倉品宏容疑者(50)
の2名が、車両個人情報を流していたとして、地方公務員法違反(守秘義務違反)と車両情報を依頼していた長野県警元警察官で探偵業「エイシン・リサーチ」経営(長野県北安曇郡松川村細野5138)の平林大生(60)の計3名を逮捕した。
 
警察官と元警察官の関係は、長野県警松本署梓川警察官駐在所時代の同僚・先輩後輩とい
う。

<ドコモ派遣社員2万件以上個人情報漏えい>東京、2012.7.30 逮捕1名
携帯電話最大手NTTドコモの契約者情報を千葉県鎌ケ谷市の探偵業データオフィスM経営の西岡貞人(49)に漏らしていたとして、愛知県警は30日、不正競争防止法違反(営業秘密侵害)の疑いで東京都立川市錦町、元派遣社員白石容疑者(42)を逮捕した。本人は「小遣い欲しさにやってしまった」と容疑を認めている。
白石容疑者は2007年12月~今年5月、NTTドコモの子会社「ドコモ・サポート」(東京)で派遣社員として勤務。09年6月から立川市内のサービスセンターで電話受け付け業務に就き、ドコモの契約者情報の管理サーバーに接続するID番号を与えられていたという。
漏えいの報酬として情報1件当たり1万数千円を業者から受け取っていたとみられ、10年7月以降の約2年間で、同容疑者が照会した契約者情報は、正当なものも含め約2万7000件に上るという。

 

<ソフトバンクこんぴら店個人情報漏えい>香川県、2012.8.9 逮捕1名
愛知県警は9日、別の販売代理店でも漏えいがあったとして、香川県まんのう町にある「ソフトバンクこんぴら店」の元店員、巨海美咲容疑者(21)=香川県丸亀市綾歌町栗熊西=を不正競争防止法違反(営業秘密侵害)の疑いで新たに逮捕した。
ソフトバンクを巡っては、岡山市の代理店の元店長、横田太佑被告(33)が逮捕・起訴されており、県警は横田容疑者の解雇後、巨海容疑者が後継者として漏えいを担っていたとみている。
県警は同日、同法違反の罪で起訴されている探偵業、平田一雄被告(36)=広島市安佐南区相田1=を同法違反容疑で再逮捕した。平田容疑者は、ソフトバンクこんぴら店の巨海容疑者へも1件5000円を支払い百数十件の情報を依頼し流させていたとされる。

 

<車両情報漏えい運輸局技官>東京、愛知2012.9.12 逮捕2名
愛知県警は、国交省関東運輸局の技官による車両使用者の情報漏えい事件で、東京運輸支局技官栗田典寿容疑者(46)=国家公務員法(守秘義務)違反容疑で逮捕=した。同技官は6月から2ヶ月間に全国の車両の使用者や所有車に関する情報を500件以上閲覧していた。また車両情報を依頼していた熊野亮智容疑者(38)=愛知県西尾市今川町=も逮捕した。
愛知県警によると、東京運輸支局は主に品川ナンバーの車両を所管としている。県警は、栗田容疑者が管轄外の車両のナンバーを端末に打ち込んで、勤務に直接関係のない情報を多数閲覧していたとみて経緯などを詳しく調べている。

<au個人情報漏えい>千葉県、2012.9.27 逮捕2名
愛知県警捜査2課は27日、KDDI(au)の携帯電話の契約者情報を不正に漏らしたとして、不正競争防止法違反の疑いで、同社代理店となっている自動車販売会社(千葉県習志野市)のパート従業員南里容疑者(36)(千葉県)と、千葉県鎌ケ谷市の探偵業「データオフィスM」経営の西岡貞人容疑者(49)を逮捕した。
南里容疑者の逮捕容疑は6月、千葉県習志野市の販売会社にある端末で、携帯電話の契約者2人の個人情報を取得し、西岡容疑者に教えた疑いがもたれている。5年前から、1件1万円で探偵の西岡から南里は請け負っていたとされている。

携帯電話「au」の顧客情報が漏えいしていた事件で、不正競争防止法違反(営業秘密侵害)の疑いで愛知県警に逮捕された千葉県鎌ケ谷市の探偵業データオフィスM経営の西岡貞人容疑者(49)が、「情報屋」と呼ばれる愛知県の調査会社から、07年ごろから少なくとも計約980件のauの顧客に関する不正照会の依頼を受けていたことが28日、捜査関係者の話で分かった。県警はうち少なくとも約500件の顧客情報が漏れたとみて、裏付け捜査を進めている。
 
捜査関係者によると、西岡容疑者は、愛知県内で「エージェーLP」など複数の会社名を掲げて調査会社を運営する千葉県長久手市の調査会社「エージェーLP」の新原聡(38)、瀬戸市の中学で新原聡と同級生だった同社の名古屋市名東区の久松淳二(37)の両容疑者=別の戸籍情報の不正取得事件で逮捕=から依頼を受け、千葉県船橋市のau販売代理店パート店員、南里光子容疑者(36)に顧客情報を漏らすよう携帯電話のメールで依頼したとされる。
新原、久松両容疑者は探偵業界では「情報屋」として知られ、一連の個人情報漏えい事件で情報収集の中心的な存在だったとみられている。

<探偵調査会社等戸籍情報漏えい情報屋摘発>東京・群馬・愛知2012.9.27 逮捕8人
愛知県警は9月27日、偽造書類を使って戸籍謄本などを不正に取得したとして、元行政書士の大沼源容疑者(79)=東京都清瀬市上清戸2=や個人情報取引を仲介する「情報屋」と呼ばれるグループの計8人を戸籍法違反や偽造有印私文書行使などの疑いで逮捕した。
 
ほかに逮捕したのは、行政書士の谷口信寿容疑者(41)=東京都中野区弥生町2、いずれも情報屋とされる、調査会社「エージェーLP」の新原聡容疑者(38)=愛知県長久手市市ケ洞=と久松淳二(37)=名古屋市名東区、調査会社・ベルリサーチ代表の岡田信一容疑者(50)=前橋市上佐鳥町=及び従業員2名。
 県警によると、新原容疑者は「正当な方法で情報を取得していたと思っていた」、谷口、岡田両容疑者は「具体的入手方法は知らなかった」などと否認。大沼容疑者は認めている。
 
8人の逮捕容疑は、行政書士らが第三者の戸籍謄本などを取得できる「職務上請求書」を悪用。偽造した請求書を昨年8月、愛知県内の役所に提出し、男性会社員ら2人の戸籍謄本などを不正に取得した疑い。

 捜査関係者によると、新原容疑者が経営する「エージェーLP」は各地の探偵業者からの依頼を受け様々な個人情報を入手する情報屋として知られ、県警が摘発した携帯電話の契約者情報や車両情報なども扱っていた。2007年からの4年間で約8億5千万円の売り上げがあったという。
 捜査関係者によると、今回摘発した戸籍謄本などのルートでは、探偵業者からの依頼を受けた新原容疑者らが、岡田容疑者を通じて大沼容疑者側に伝達、大沼容疑者側が谷口容疑者らの名義を使って請求し、不正入手していたとされている。
 県警は、このルートでの住民票や戸籍謄本の不正取得は2006年10月以降で9千件超に上るとみている。

<<個人情報取得ネットワーク>>
客(依頼主) ⇒(受付)一次調査探偵会社 ⇒(依頼先)二次・三次調査探偵会社 ⇒(取得部隊)司法書士、ハロワク職員、現職警察、運輸局技官、携帯電話ソフトバンク・ドコモ・au販売会社店員

今までに登場して逮捕された調査探偵会社:
情報元締屋「エージェーLP」(あま市)のほか「ベルリサーチ」(前橋市)、「データオフィスM」(鎌ヶ谷市)、「ガルエージェンシー東名横浜」(横浜市)、「情報サービスエフ」(神奈川県)、「総合調査リサーチ24」(広島市)、「エイシン・リサーチ」(長野県)など計7社

これまでの逮捕事件数:9件/逮捕者総数:26名(2012.9.29現在)
数々のガサ入れから、イロイロなところに飛び火している様子が鮮明となっている。


愛知県警本部

[ 2012年9月29日 ]
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