アイコン 中国の生産事情/受注減 鮮明 

欧州の財政危機に起因した欧州経済の低迷は、新興国、取り分け中国に大きな影響をもたらしている。また、中国の市場無視の我がまま生産による価格ダンピングによってしても、欧州ではニーズそのものがなくなってきている。

中国企業家調査システムは北京で11月17日、「中国企業経営者アンケート調査報告書

2012」を発表。販売低迷や在庫圧力、値下がりなどの影響を受け、2012年に「生産停止」または「半生産停止」の状態にあるとの回答が23.1%に上り、11年の割合を5.5ポイント上回っている。ここ3年で最高。
また、2013年の経営環境予測について、「好転する」との予測は39.2%、「変らない」は46.2%、「悪化」は14.6%だった。「好転」との見方が「悪化」を24.6ポイント上回っている。
この数値は、第4四半期予想より11.4ポイント高くなっており、底入れの感はある。しかし、内需拡大策において、資金面を大幅緩和すれば、再度不動産バブルが生じ、ますます貧富の差が拡大するばかりか、住民追い出しの再開発が再燃し、中国人民の政策への不満が高まる原因にもなる。(内需拡大策の資金がド官僚の懐に入り、その資金が海外に逃避しているのが現実。)

<民営企業、経営良好は4社に1社だけ>
中国の企業、特に民営企業は景況感の低下が鮮明。企業の総合的経営状況について、「良好」との回答は24.3%、「悪い」は23.4%で、「良好」が「悪い」を0.9ポイント上回った。この数値は11年に比べ16ポイント低下しているものの、リーマン・ショックの金融危機発生後の09年第1四半期を上回った(比較対照にならず)。

<大幅減産企業22.3%>
生産状況について、「正常な状態にある」との回答は74.8%、「フル稼働」は2.1%、「大幅な減産」は22.3%、「生産停止」は0.8%だった。「大幅な減産」「生産停止」の企業では、中小企業の割合が大きい。

<過剰在庫4社に1社>
完成品在庫について「正常なレベルを上回る」との回答は25.3%で、11年を5.5ポイント上回り、ここ4年の最高値となった。「正常なレベル」は66.4%、「正常なレベルを下回る」は8.3%だった。
また、半数近くの企業で受注が正常なレベルを下回っている。受注が「正常なレベルを下回る」との回答は49.3%と11年より15.6ポイント上昇し、ここ5年の最高値となった。(生産調整していることが窺える)

<工業、正常レベル以下6割>
採鉱業や製造業の化学繊維、鉄鋼、非鉄金属、汎用設備、自動車やその他の運輸設備などの分野で受注が低迷している。受注については「正常なレベルを下回る」との回答が6割以上だった。
結論は、イケイケドンドンで生産設備を拡張してものの、世界の生産基地として生産能力が、需要を大きく上回り過剰になっていることを現し、その生産稼動指数が見てみたいものだが、今回は公表されていない。
人民日報は10月26日、工業生産指数が、四半期別では、第1四半期(1-3月)が同11.6%増加、第2四半期(4-6月)が同9.5%増加、第3四半期(7-9月)が同9.1%増加だったとしている。(何だか大日本本営の発表のような作られた数値とも思えるが・・・)
鉄鋼業界では、中国鉄鋼工業協会の王副会長は、「鉄鋼業は最悪期を過ぎた」と11月14日発表している。・・・山ほどある鉄鋼会社がある程度整理淘汰されての発言だろうか、そうでなければ、再度過剰生産体制に入り、世界の鉄鋼業界が潰れていくことになろう。

<レアアース>
レアアースは、一昨年尖閣における日本巡視船に対する中国漁船の体当たり攻撃で、中国がレアアースの対日輸出を制限、また、格好付けるため全面的に輸出を減らしたが、日本は他国からの購入とレアアースの使用量の減少技術を確立させ、中国の生産能力が36万トン(公式)あるものの、現行12万トンしかニーズがなく、対日輸出制限どころではなくなっている(しかし、それでも制限するのが、一党独裁中国共産党の政治であるが・・・)。国策では、中国レアアース企業の包鋼稀土は11月21日、レアアース酸化物の価格を引き上げた。うち、軽レアアースの酸化イットリウムを11%、重レアアースの酸化ジスプロシウムを3%ずつ引き上げた。労務費が上がってのことだろうが、12万トンでも中国のレアアース産業が生活できるように中国政府の政策(市場占有率が高いため意図的に価格操作するもの、そのため、中国政府はレアアース政府無登録生産者を全部潰しにかかっている)。
.
<太陽光発電セル>
欧州諸国のグリーン政策による補助金が欧州経済悪化で打ち切られ、中国における生産拡大し続けた太陽光発電セルやモジュールも、輸出先を失い、レアアースと全く同じ現象が生じている。
(太陽光発電モジュールは、大量に急速に日本へも流れ込んできているが、既に欧米ではダンピング問題として取り扱われている。日本は中国に遠慮して、こうしたダンピング問題には触れない弱腰をさらけ出している。集積回路や太陽光発電産業を日本が捨てるなら別だが、何らかセーフティガードを設けなければ、当領域では日本企業は更に生活できなくなる)
太陽光発電設備の分野は、欧米の反ダンピング調査と生産能力過剰を受け、世界生産量№1の尚徳電力(サンテックパワー)や江西賽維などの大手や関連会社が生産停止や経営難に陥っている。

[ 2012年11月26日 ]
モバイル
モバイル向けURL http://n-seikei.jp/mobile/
スポンサード リンク

コメント

関連記事

  • この記事を見た人は以下も見ています
  •  
  • 同じカテゴリーの記事です。
  •   

↑トップへ

サイト内検索