アイコン 韓国経済の行方と日本経済

「韓国の不動産価格が、今後50%下落する可能性もある。株式市場は今後2-3年で暴落し、韓国総合株価指数(KOSPI)が1,000ポイントを割り込むのではないか」(2012年11月23日1,911ポイント)
 
世界経済の今後を予測した『迫り来る大崩壊』の著者で有名コンサルタントのハリー・S・デント・ジュニア氏が描く韓国経済の見通しは非常に暗いと指摘している。
悲観論者であるデント氏の見方は韓国も例外ではなかった。人口構造分析に基づく投資戦略で権威的存在として知られるデント氏は、1980年代末に始まった日本経済の長期不況、2008年の世界的な金融危機を警告したことで注目を集めた。
 デント氏は季節に例えると、世界経済は「初冬」だと指摘。一世帯の消費は子どもが高校を卒業するころ、すなわち世帯主の年齢が46歳前後にピークを迎え、それを過ぎると減少する。

米国の場合には1946-64年生まれのベビーブーム世代の消費が2007年ごろにピークを迎えた。デント氏は「ベビーブーム世代が消費を減らす2020年まではバブルは消え続ける。 
政府が、いくら強力な景気浮揚策を打ち出しても、年を取ると小型車に買い換えるといったライフサイクルに起因する消費減少を防ぐことはできない」と指摘している。(日本がそうであり、そうであったように)

 ベビーブーム世代は、借金をして消費することに慣れている。その結果、住宅担保ローン、クレジットカード債務など米国の民間債務は2000年の20兆ドル(約1650兆円)から08年には40兆ドル(約3300兆円)に膨らんだ。しかし、今後は縮小の一途をたどる、というのがデント氏の予測。

デント氏は「今後10年間でわれわれは歴史上最大の債務リストラを経験することになる。負債を減らす過程でデフレの発生は避けられない」と述べている。
 デント氏は「米国の家計債務の規模は既に縮小を始めたが、韓国の家計債務は今も増え続けている。韓国のベビーブーム世代は米国より遅い、韓国戦争(朝鮮戦争)以降に生まれたため、韓国は2020年ごろに大規模な負債リストラを経験する可能性が高い」と警告している。

 韓国など多くの市場参加者が、世界経済の成長をけん引すると期待している中国市場についても懐疑的。高層ビルは増えたが、人が住んでいない地方都市が物語るように、中国の「政府主導型資本主義」は人為的な過剰生産をつくり出し、バブルを助長していると指摘。デント氏は「『企業が失敗したら、政府が助ければよい』といった中国式の『見せかけ資本主義』は企業の革新を阻み、経済成長の足かせになる。ロシアで既に失敗した経済モデルと同じだ。一人っ子政策で高齢化も進んでいる中国は、世界経済で最後に弾けるバブルになる可能性がある」と述べている。
 また、11月21日には、アジア開発銀行研究所の河合正弘氏が、ソウルでの経済政策フォーラムで、韓国経済を展望して「来年韓国は輸出不振で経済成長が萎縮し、多くの個人負債と不安定な不動産市場により景気がさらに悪化する」と述べ、個人負債管理と人口構造変化への対応策を模索することが課題であると指摘している。

以上、デント氏は、韓国経済予測を各国の団塊の世代を通して分析している。デント氏の分析は的確であるが、労働環境の変化も見逃せない。

<日本は>
日本では、バブル経済が弾け、莫大な公共投資で景気浮揚策を採用した。しかし、金融機関の膨大な不良債権により、山高し谷深しで景気浮揚には結びつかなかった。借金だけが残った。
日本の消費の要であった団塊世代は、日本の金融市場が不良債権処理に追われるなか退職して行った。

不良債権処理及び日本経済の再生では、小泉=竹中のハゲタカコンビによりアメリカ資本を導入、その見返りに経済のグローバル化と称し、ここ10年、非正規雇用が急拡大した。不動産ミニバブルが生じ景気上昇をもたらしたものの、企業はハゲタカの買収に慄き、防衛策から配当性向を良くし、自己株式を購入して対応した。その結果、利益が内部留保に向かい、就業率は派遣や契約社員を採用して改善したものの、正規雇用や既存の労働者へ利益の配分をなされなかった。それもハゲタカ国米国の金融バブル崩壊により、世界経済は暴落した。日本の企業においては、契約社員や派遣社員が即大量に首を切られ、更に、円高の進行から、企業においては工場の海外移転、国内における労働コストの大幅削減が実施されてきた。

こうした一連の流れの結果、総労働者の所得減少、購買力低下、少子化を助長させ、消費投資における内需が大幅減衰、デフレに陥り、そのままとなっている。
国は、消費誘発にエコ補助を採用しても、いつまでもこうした補助もできず、その反動のすごさは液晶TVで証明されている。車もそうした過程の一歩手前にある。

この大きな潮流を堰き止めることは、少々の政策転換では不可能であり、円タレ流しの円安誘導による輸出主導政策やTPPでも根本の解決には全くなりえない。少子高齢化、勤労者数の減少に加え、派遣・期間・契約社員の大幅増加、正社員の大幅減少の結果、勤労者世帯の購買力の大幅低下が現在の日本経済を狂わせている。デフレスパイラルの何ものでもない。
こうした日本の状況を、上述のデント氏の持論と重ねたら、日本経済の現状が良く理解できる。
膨大なオイルの金を運用するハゲタカ(新自由主義の金融資本主義に国家は存在しない)はまだまだ生きており、中国国家ハゲタカも為替を経済戦争に利用するとしており、ゆっくりとした円安ならば歓迎されるものの、下手な円安誘導は、世界最大の借金国でもあり、超円安に触れる危険性を秘めている。それほど日本の経済地盤は脆弱化しているのである。
 

[ 2012年11月26日 ]
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