アイコン 笹子トンネル天井大崩落事故は人災なり 9名死亡 役員の責任免れず

2012年12月2日午前8時頃、上り線トンネルの大月市側出口から約1700m付近で崩落事故が発生。トンネルの天井である横5m、奥行1.2m、厚さ約8cmと 9cm、重さ1.1tほどのコンクリート板約100枚以上が約100mにわたってV字型に折り重なるように崩れ落ち、事故発生時に走行中であった自動車3 台が下敷きとなって燃えるなどして7名が亡くなるという大惨事となった。

中日本高速道路(NEXCO中日本)は2日の記者会見で、笹子トンネルのつり天井のつり金具とトンネル最上部の結合部分の点検について打音検査をせず、目視のみで済ませていたことを明らかにした。さびやボルトの緩みなど重要項目にかかわる部分の点検態勢に不備があった可能性が浮かんでいる。同社は3日から行う緊急点検ではハンマーを使って音を確認する打音検査を実施するという。

(打音検査ではベテランでも問題箇所を見出すのは難しいとされる。そのため超音波検査装置などが開発されているが、当トンネルでは電源確保や機材搬入に難点があり、実施されていなかったという(言い訳に過ぎぬ)。
NEXCO中日本は、当トンネルが37年も経過しているが、当然これまでに全面検査を何回もしなくてはならない老朽化トンネルであるにもかかわらず、金が勿体ないからか支持金具等の打音検査さえ一度もしていなかったという。・・・これは人災の何ものでもない。)
 
 当トンネルの吊り天井の、肝心な吊っている部分の検査が、トンネルの構造上、高い位置にあり、検査にお金が高くつくことから、暗がりの中、懐中電灯で目視検査のみの検査をしていたという。「安全」という言葉からは「福島原発水素爆発」と同じ、官僚特有の事故が発生しない限り、「安全対策」など対応しない体質を浮き彫りにさせた、今回の事件である。
 
<笹子トンネル>
笹子トンネルは、1975年(昭和50年)完成昭和52年12月20日供用開始。中央自動車道の山梨県大月市の大月JCTと同県甲州市の勝沼IC間にあるトンネル。全長:下り4,717m、上り4,784m(上下線ともに2車線)、尚、トンネル内の換気は横流換気方式という近年ではあまり見られていない方式で、排気ガスが充満しないよう勾配は2度以内とされる。
2005年(平成17年)10月1日、日本道路公団民営化、中日本高速道路株式会社に継承されている。(日本道路公団の時に、新幹線では剥離事故が発生していた)
 
<近隣の地震>
1、静岡沖地震 - 2009年(平成21年)8月11日に静岡県御前崎市沖で発生した地震(M6.5)
2、長野県北部地震は、2011年(平成23年)3月12日3時59分15秒頃、長野県北部の新潟県との県境付近で発生した逆断層型直下型地震(M6.7)に続いてM5以上の余震が2回発生した。(東日本大地震の余震)
3、静岡県東部地震 - 2011年(平成23年)3月15日に静岡県富士宮市で発生した地震(M6.4)(東日本大地震の余震)
 
<トンネル剥離事故>
1、平成14年4月24日、首都高速道路八重洲トンネルにおいてタイルが剥離し、路面に落下したタイルに接触した通行車両7台にパンク等の被害が発生した。(粗雑工事が原因)
 
2、平成11年6月27日、山陽新幹線の福岡トンネル(福岡県久山町、全長:約8.5k)で発生した覆工コンクリート推定200㎏の剥離事故
 
3、平成11年10月8日、群馬県の北陸新幹線一ノ瀬トンネルで、コンクリート塊(重さ約200グラム)が落下した。
 
4、平成11年10月9日、北九州市八幡東区のJR山陽新幹線小倉―博多間の北九州トンネル(全長:11.7k)内で、コンクリートの塊五個(重さ計約226㎏)が落ちているのが、始業前の点検で見つかった。調査の結果、コンクリート壁の一部が崩落したものだった。
 
5、平成11年8月、JR西日本が「山陽新幹線トンネル内で鉄筋を腐食させるコンクリート塩分が基準値の10倍以上」、「山陽新幹線の高架橋で、93パーセントの鉄筋で腐食が進んでいる」、「山陽新幹線の高架橋や橋りょう、トンネル外壁の計25カ所で、内部亀裂が発生している」と発表していた。
 
高速道路は、道路保全係りの車両が巡回しており、こうしたトンネル内の剥離落下物などは実際あったとしても、表面化させていなかったものと思われる。新幹線は、福岡トンネルのコンクリ壁の剥離落下事故により、緊急点検により上記5のような大きな問題があることが判明、新幹線のトンネルや高架橋は改修工事がなされた。しかし、道路のトンネル壁の剥離事故は、殆ど事故が表面化していない。しかし、新幹線の場合、塩分が基準の10倍のコンクリを使用(コンクリ内部の鉄筋が腐食、コンクリ剥離の原因とされる)するなど、杜撰な工事であったことが判明している。当然当時は道路のトンネル工事でも塩分高濃度の生コンが使用されていたと考えられる。ましてや、今回の大惨事の原因は、金属疲労・金属劣化、支持コンクリ劣化などいくらでも考えられる。
こうした新幹線で行われたコンクリ剥離落下事故による徹底調査が、高速道では当時、笹子トンネルのように行われなかったことが最大の原因である。また、東日本大震災の余震の見られる長野県北部地震や静岡県東部地震などの地震による総点検など、いくらでも調査する必要があった。
 
<コンクリの品質管理>
コンクリで問題があるとするならば、生コンの品質(塩分濃度・打設時の粘度)、かぶり厚さ(鉄筋を覆っているコンクリートの厚さ)の不足、コンクリートの強度不足、コンクリートの打継目の処置不良、鉄筋の継目不良、鉄筋間隔の不揃い、コンクリート中への異物の混入等様々な施工不良がこれまで露呈している。
今では大手ゼネコンが、自社開発の高品質のコンクリを開発しているが、1970年代は高度成長期であり、山ほどの工事現場があり、何でもありの現場が多かったことも事実である。(その結果、JR西日本が発表している通り、新幹線のトンネルでは塩分濃度が異常に高い数値の生コンが打設され、鉄筋が腐食して剥離落下していた)
 
NEXCO中日本決算より
/百万円
2009年3月期
2010年3月期
2011年3月期
2012年3月期
(1)維持修繕費
50,449
56,762
55,748
60,346
何故か、同社は大量に子会社を抱え、子会社が検査などに対応している。その子会社から、検査を外注に出しているのだろう。天下り用の子会社群。
 
NEXCO中日本金子代表取締役社長>
NEXCO中日本 代表取締役社長 金子 剛一
平成15年2月
住友スリーエム代表取締役副社長
平成21年1月
同 特別顧問
平成22年6月
NEXCO中日本 代表取締役会長兼社長
平成24年6月
当社代表取締役社長(現)
ケチの住友出身で原価管理のプロである。
 
<下記図は毎日新聞借用>
笹子トンネル天井大崩落事故
[ 2012年12月 3日 ]
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