アイコン 世界の太陽光発電システム関連市場調査/富士経済

パワーコンディショナ市場の国内市場では、FIT施行により産業用の需要急増、2011年実績500億円、12年見込728億円、13年1,200億円へ拡大する予測。
富 士経済は、今年4月から10月にかけて、太陽電池の製造装置及び製造工程で使用される消耗品の世界市場に加え、固定価格買取制度(FIT)導入で関心が高 まる国内の太陽光発電システム関連市場を調査するとともに、主要参入企業の分析を行い、「2012年版 太陽電池関連技術・市場の現状と将来展望 下巻」 にまとめた。

<調査結果の概要>
 ◆バリューチェーン別太陽光発電システム関連世界市場
 原料:ポリシリコン、バックシート用原材料、封止材用原材料、電極ペースト用粉体
 部材:単結晶/多結晶シリコンインゴット・ウエハ、表面保護材、反射防止/防汚/波
長変換材料、透明導電膜付き基板、基板材、バックシート、封止材、電極ペースト、インターコネクタ/導電膜、ターゲット材、太陽電池向けガス、シーラント、アルミフレーム、色素増感太陽電池構成部材、有機薄膜太陽電池構成部材
 太陽電池:結晶シリコン太陽電池、薄膜シリコン太陽電池、CI(G)S/CZTS太陽電池、CdTe太陽電池、色素増感太陽電池、有機薄膜太陽電池、球状シリコン太陽電池、カーボン太陽電池、集光型太陽光発電システム、量子ドット太陽電池
 周辺機器:パワーコンディショナ、パワーオプティマイザ

太陽光発電システムの導入量は拡大傾向が見込まれ、出力ベースでは太陽電池の販売量は増加が予想されるものの、需要量を大幅に上回る太陽電池が生産されていることから、供給過剰で太陽電池価格が下落し、2012年は金額ベースでは市場縮小が見込まれる。

太陽電池の生産量の動向は、採用部材・原料、消耗品、製造装置の需要に影響を与える。2011年の半ばから供給過剰感が顕在化してきた太陽電池は、生産調整へと転じ、2012年は緩やかには戻りつつも、依然として厳しい状況が続いている。2012年の部材・原料・消耗品・製造装置の市場は縮小が見込まれる。

一方、パワーコンディショナを主とする周辺機器の市場は、太陽光発電システムの導入量に連動する。受注生産が多く、在庫過多による単価下落は少なく、将来はアフターメンテナンスによる更新需要も見込まれることから、今後も安定して市場拡大すると予測される。

<製造装置>
 設備投資は太陽電池メーカーの景況感や今後の見通しを示す指標ともなるが、新たな設備投資はほぼ止まっている。受注残はあるものの出荷延期などが起こっており消化の時期が見えていない。
 設備投資の殆どは主流の結晶シリコン太陽電池向けだが、太陽電池市況の悪化で、2012年は縮小が見込まれる。
一方、市況が悪い中で、例外も存在する。薄膜シリコン太陽電池では一部中国企業が大型設備投資を計画している。また、生産性の高い量産化手法が確立されたCI(G)S太陽電池も、台湾・韓国・米国の一部企業が大型設備投資を予定する。CI(G)S太陽電池はスペック改善余地が大きく、将来的に結晶シリコン太陽電池にも対抗できる改善見通しを自信に強気の姿勢が見受けられる。
 
全体として市況が回復してくる時期は一部例外を除き、2012年後半の米国や中国、韓国、日本などでの、選挙後/体制変更後が予測される。
世界景気が不安定さを増す中で、次期政権による景気刺激策が期待される。太陽光発電を含めた環境産業は景気刺激策の格好の投資先となるはずであり、2013年には好転するシナリオが期待される。

<製造装置用消耗品>
 2010年、2011年前半に需要が逼迫したため、太陽電池メーカーが消耗品の在庫確保に動いた。しかし2011年半ば頃から太陽電池の需要が低迷しており、2012年は確保した在庫の消化を待つ状況となっている。需要低迷により単価も下落しており、消耗品合計の市場は縮小が予測される。

◆中国系太陽電池メーカーの中国市場への展開及び中国政府の支援
 世界的にも、価格面での優位性により中国系の太陽電池メーカーが台頭してきたが、2012年は欧州での需要の減退、米国での反ダンピング関税の適用などにより、厳しい状況を迎えつつある。
2011年までは欧州の実績が最も大きく、北米においても実績の拡大が見られたことから輸出が重視されていたが、前述の理由などにより、中国内需への転換を進めている。
 
中国政府は、第12次五ヶ年計画(2011~2015年)の中で、太陽電池産業の育成計画を掲げており、企業育成を中心に、部材や製造装置の国産化、省エネルギー化(生産工程内の電気エネルギー消費量削減)、低コスト化(ウエハの大径口化)、製品レベルの向上(太陽電池の長寿命化)や先端技術の研究推進を進めるとしている。近年、太陽電池メーカーのみならず、部材や製造装置メーカーが台頭しつつあり、今後躍進する可能性がある。
また、中国版FITや金太陽プロジェクトなどのほか、優遇政策にも広がりがみられ、積極的に内需刺激策を打ち出しており、事実近年急速に太陽光発電システムの導入量が増加している。
以上。

FIT政策を取った日本へは、生産過剰、生産能力過剰の中国から大量に安価な太陽光発電システムが輸入されており、かって世界を凌駕していた日本メーカー勢は、既存設備維持程度で新たなる設備投資などない。
2010年まで欧州がグリーンエネルギー政策において、補助金政策を採用していたことから、中国が大量に輸出して世界市場も制覇した。しかし、欧州経済の悪化で補助金制度も打ち切られ、最大の需要国であったドイツは、同国最大手のQセルズが破産、その次に需要が多かったスペインは、経済そのものがズッコケており需要は激減している。その打撃が、中国の当業界メーカーを襲っているところに、日本がFIT政策を採用したことから、日本へ大量に中国から流れ込んでいるものである。
再生エネルギー・自然エネルギーとして新しい産業と標榜しているが、日本の産業が振興するどころか、日本市場が中国勢に食い荒らされている状態である。

 

[ 2012年12月10日 ]
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