アイコン 広島電鉄/国交省若き天下り社長(55)を正月クーデターで更迭

東証2部上場の広島電鉄は8日、広島市中区の本社で臨時取締役会を開催、越智秀信社長(55)の取締役への降格を決議した。事実上の解任、後任には椋田昌夫専務(66)が同日付で昇格した。
 広電は社長交代の理由を「(越智氏の)独断的な業務執行で会社の正当な業務執行に支障をきたしており、経営の刷新を図るもの」としている。

越智氏の経営手法に、保守派のプロパー勢が反旗を翻したものである。
 越智氏は、事前にわかっていたのか、社長辞任を突きつけられていたのか、8日の臨時取締役会を欠席。「会社のために仕事をしてきた。業績は上向いており、納得できない」と話しているという。
 越智氏は、国土交通省から平成21年6月に常務に就任し、平成22年6月に社長へ昇格。路面電車の市内線の値上げや全線での均一運賃の導入計画などを進めていた。
 椋田氏は、広電で越智氏に次ぐ№2だが実質広電のドン、9人の取締役の中では最年長。
 
<越智氏は国交省の若き大物だった>
今回のクーデターは、国交省の天下りといっても越智秀信氏は、同社に天下った時が53歳、まだ55歳の身だ。国交省では大臣官房参事官を最後に務め、広電に天下ってきた。越智氏が指摘するとおり、業績は確かに回復させてきていたが、東京の国交省の中枢にいた人物、一方、広電の役員は、椋田氏を筆頭にプロパー社員からの出世組、年齢も越智氏より何れも上である。時間のサイクルが短いサイクルで動く東京と、広島の地及び鉄道バス会社という途方もなくゆっくり動いてきたほかの役員たちである。
当然、両者間で摩擦が生じたと思われるが、時代は場所を選ばず急速に動いていることも確かだ。同社の株主は、今や60.5%が浮動株、特定株は22.3%に過ぎない。某株主が本気で委任状争奪戦をやれば、業績回復=株主貢献してきた越智氏を更迭したことで、現在の取締役は全員否認されることもありうる。しかし、東京から遠い広島の地にあり、そうした風は吹かないのも現実だろう。
 こうした国交省の大物の天下りを更迭したことで、送り出した国交省も水面下で態度を硬化させることもありうる。同社は直接業務で関係する国交省だけに、同社の今後は順風満帆とは行かなくなる恐れもある。住めば分るが、長州(山口)がそうであるように広島も結構保守的なところである。
 越智氏は姓からして、広島出身であったと思われるが、広島は今も昔もそんなに変わっていない。変わっているように見えるのは、外から入ってきた投資による建物の外見やシステム化された出先店舗だけである。
 山口銀行でも過去クーデター事件が発生、改革派の社長が保守派の会長らの巻き返しにあい更迭された。その社長は社長になる前は取締役東京支店長であった。何か世の中にも共通するものが見えてくる。

 

1.10 広島電鉄クーデター
広島電鉄取締役名簿
役名
略歴
取締役社長
昭和55年4月
運輸省入省
代表取締役
平成16年7月
国土交通省政策統括官付政策調整官
越智秀信
平成18年7月
国土交通省大臣官房参事官(総合政策局総務課国際企画室長併任)
昭和32年3月31日生
平成21年6月
当社常務取締役
2013.1.10更迭
平成21年6月
㈱広電ストア取締役(現在)
 
平成21年10月
広電観光株式会社代表取締役会長(現在)
 
平成22年6月
広電建設㈱取締役会長(現在)
 
平成22年6月
当社代表取締役社長(現在)
 
平成23年6月
㈱広電宮島ガーデン代表取締役社長(現在)
 
平成23年6月
宮島松大汽船㈱代表取締役社長(現在)
 
平成23年6月
㈱ホテルニューヒロデン代表取締役社長(現在)
 
平成23年11月
広電興産㈱代表取締役社長(現在)
 
平成23年11月
㈱交通会館代表取締役社長(現在)
 
平成24年6月
広電不動産㈱取締役(現在)
専務取締役
昭和44年3月
当社入社
椋田昌夫
昭和21年11月24日生
平成15年6月
当社取締役M・Sカンパニープレジデント
電車開業100周年記念事業担当
平成20年6月
当社常務取締役
アウトソーシング推進担当
平成22年6月
当社専務取締役(現在)
呉バスカンパニー担当
平成24年6月
㈱広電ストア代表取締役会長(現在)
取締役
昭和47年3月
当社入社
名越 元
平成17年6月
当社取締役不動産カンパニープレジデント(現在)
昭和22年5月29日生
平成24年6月
広電不動産㈱代表取締役社長(現在)
不動産カンパニープレジデント
 
 
取締役
昭和54年3月
当社入社
岡本 繁
平成20年6月
当社取締役バスカンパニープレジデント(現在)
昭和30年12月15日生
平成23年11月
㈱グリーンバーズ・ヒロデン代表取締役社長(現在)
バスカンパニープレジデント
 
 
取締役
昭和52年3月
当社入社
倉本勇治
平成20年6月
当社取締役M・Sカンパニーバイスプレジデント
昭和28年5月17日生
平成22年6月
当社取締役M・Sカンパニープレジデント(現在)
M・Sカンパニープレジデント
平成24年6月
広電不動産㈱監査役(現在)
 
平成24年6月
㈱広電ストア監査役(現在)
 
平成24年6月
広電建設㈱監査役(現在)
取締役
昭和54年3月
当社入社
藤元秀樹
平成20年6月
当社取締役電車カンパニーバイスプレジデント
昭和29年12月7日生
平成23年6月
当社取締役電車カンパニープレジデント(現在)
電車カンパニープレジデント
 
 
取締役
昭和45年4月
祇園町採用
沼田卓壮
平成15年4月
広島市南区長
昭和23年1月3日生
平成18年4月
広島市人事委員会事務局長
総合企画担当
平成20年4月
財団法人広島勤労者職業福祉センター理事長
 
平成21年6月
当社取締役(現在)
取締役
昭和56年3月
当社入社
田中栄治
平成20年6月
広電不動産㈱取締役(現在)
昭和31年8月5日生
平成22年6月
当社取締役M・Sカンパニーバイスプレジデント
経営政策担当
平成24年1月
当社取締役不動産カンパニーバイスプレジデント(現在)
不動産カンパニーバイスプレジデント
平成24年6月
㈱ヒロデンプラザ代表取締役社長(現在)
 
平成24年6月
広電建設㈱取締役(現在)
取締役
昭和56年3月
㈱広島ガス入社
田村興造
平成17年6月
同社執行役員原料部長
昭和26年6月22日生
平成21年6月
同社取締役執行役員経営統括本部経営企画部長
社外取締役
平成22年4月
同社代表取締役社長執行役員(現在)
 
平成24年6月
当社取締役(現在)
 
広島電鉄業績推移
連結/百万円
2010年3月期
2011年3月期
2012年3月期
売上高
36,501
35,549
36,370
営業利益
1,192
1,408
1,333
経常利益
725
931
970
当期利益
179
867
1,271
総資産
86,444
84,876
90,041
自己資本
28,480
29,019
31,881
資本金
2,335
2,335
2,335
有利子負債
29,873
27,243
26,897
自己資本率
32.9%
34.2%
35.4%
 
[ 2013年1月11日 ]
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