アイコン ZOZOTOWNのスタートトゥデイ/通期 予想通り大幅下方修正 株主還元福袋廃止

ブランド物ファッションのネット販売を手掛けるZOZOTOWNのスタートトゥデイは、前回予想したとおり、大幅に今期業績予想を下方修正した。但し、前期比は増収増益予想。
同 社によると、国内衣料品・アクセサリー市場の規模は、前年同期比0.5%増(当社推定)に留まっている。しかしながら、当社グループが属するファッション EC市場は、ファッションブランド及びユーザーのファッションECに対する認知度の高まりやファッションECを展開するサイトが増加していること等を背景 に、前年同期比2桁増に迫る成長を遂げていると推測される。

このような状況下、当社グループは「ZOZOTOWN」を中核に引き続き高い成長を維持することができた。当第3四半期連結累計期間における当社グループの商品取扱高は680億55百万円となり、前年同期比20.2%増を達成致した。その結果、売上高は250億65百万円となり、前年同期比9.8%増となっている。
以上の説明しかないが、680億円の売上高は受託販売を含めたものであり、買取販売分及び受託販売の手取り部分が同社の売上高250億円として計上される。同社の場合、受託販売品のウエイトが大きく粗利益率も落ち、業績動向が見えにくい点もあり改善の余地が残る。

第3四半期の業績も発表され、下記表の通りとなっている。

なお、同社は株主総会出席者に配布していた福袋を廃止すると発表した。
同社が大きく再浮上するためには、TV-CMやファッション誌、ネットで大々的に宣伝をやるしかない。アマゾンも当初知名度を上げるため、膨大な新聞広告やTV-CMなどで800億円の決算赤字からスタートしている。同社は、利益の全額を広告費に突っ込むくらいの器量が必要だろう。それともコアな客層のみに販売強化するかだ。その場合は、利益は出ようが規模は縮小する。しかし、そうした選択余地はないだろう。
同社を取り巻く環境は、大型アウトレツトが三井と三菱が全国で凌ぎを削っており、また全国各地に有り余るほど大型商業施設ができている。しかし、ファッション衣料もネット購入ファンが確実に増加しており、そうした人たちに対して各種媒体により周知し続けることが必要だ。

九州には大成功を納めている通販会社が多いが、どこも膨大な広告費用を投下している。コカコーラ・ウエストも完全子会社キューサイが、毎深夜、コラリッチの長時間番組で宣伝ばかりしている。今ではウエスト社の利益頭になっている。グリーもモバゲーもおなじようにものだ。ZOZOTOWNも一昨年秋大々的なTV-CMで前期大成功を納めた経験を持っている。

業績表の下に前回記載記事を再掲している。

連結/百万円
売上高
営業利益
経常利益
当期利益
10年3月期実績
17,159
3,236
3,247
1,859
11年3月期実績
23,801
5,851
5,865
3,103
12年3月期実績
31,806
7,704
7,617
4,634
12年3月期第3四半期
22,831
5,427
5,343
3,161
13年3月期第3四半期
25,065
5,464
5,494
3,365
前期第3四半期/今期第3四半期
109.8%
100.7%
102.8%
106.5%
13年3月期通期前回予想
41,700
10,440
10,450
6,370
13年3月期通期今回予想(1月30日)
33,800
7,770
7,800
4,740
今回予想/前回予想比
81.1%
74.4%
74.6%
74.4%
13年期今回予想/12年期実績
106.3%
100.9%
102.4%
102.3%
 
<前回掲載記事>
ZOZOTOWN」/ポイント10%を1%に引き下げ その必然性 ストートトゥデイ
ブランド品の在庫受託販売をショッピングサイト「ZOZOTOWN」で展開するスタートトゥデイは1月24日、「ZOZOTOWN」において、商品購入時に付与するポイントの還元率を、これまでの10%を2月1日より1%に引き下げると発表した。
 
変更の理由について同社は「当ポイント還元率の引き上げについて、取引先であるブランド様をはじめさまざまなご意見をいただいたこと、また、今後更に価格競争が過熱化した場合のファッション業界全体に与える影響などを考え、今回の変更決定に至りました」としている。
 なお、同じく2012年11月1日から実施している配送料無料サービスについては継続する。
同社は、中間決算(9月)で見られるように、売上高に対する営業利益率が前中間期の24.4%から今中間期は18.7%と5.7ポイントも下落している。また、売上高は今期31.1%増を予想しているが、中間期では11.6%増しか伸んでいなかった。
そのため、11月から客寄せパンダに大幅還元率増を打ちたて、売上高を大幅に拡充する作戦に出た。その効果が11月に即現れ、売上高は前年同月比26.4%の伸びを記録した。しかし、12月は9月・10月同様10%台の売上高増に再び落ち着いてしまった。
 
そうしたことからか、このまま売上高が伸びず、還元率だけ上がったままでは営業利益率が計画予想より、大幅に下回ることから、今回、修正をはかったものと思われる。
 
なお、売上高増の前期の前々期に対する伸び率33.6%増は、一昨年秋に、グリーやモバゲーばりに全国一斉にTVCMを行い、大幅に売上高を伸長させたものであった。しかし、今期はそうしたTVCMは(田舎の私は)見ていない。
ただ、昨年11月還元率10%にしたことから、同社の財産となる会員数は、ここ2ヶ月間大幅に増加させている。
 
そもそも、不景気のなか、31.1%の売上高増や営業利益率が前期実績の24.2%から、今期は25.0%になる計画など、全く計画にゆとりがなく、計画が逆にトラウマになり、経費増に繋がるTV-CMも効果的に打ち出せなくなったものと思われる。
こうした還元率増加政策は、売上高が急増すれば問題なかったが、営業利益率をさらに悪化させてしまった可能性もある。
今期業績予想達成が心配ならば早期の修正が望まれよう。
 
<最近の月別売上高・会員数の状況>
2012年
9月
10月
11月
12月
売上高/百万円
6,329
7,806
9,234
10,213
売上高前年比
13.6%
16.9%
26.4%
10.9%
会員増加数
71,263
73,530
107,150
124,957
会員数
4,794,519
4,868,049
4,975,199
5,100,156
注)・上記売上高は受託販売品も含まれている。中間期では全売上高408億00百万円に対して、同社の売上高は153億78百万円となっており、その率は37.7%である。第3四半期(10~12)の受託品含む売上高は272億53百万円となっている。第4四半期の売上高は通常第3四半期より大幅に落ちるがZOZOTOWNはどうだろうか
 
ZOZOTOWNのスタートツゥデイの業績推移
連結/百万円
2010年3月期
2011年3月期
2012年3月期
2013年3月期予想
2012年期中間期
2013年期中間期
売上高
17,159
23,801
31,806
41,700
13,773
15,378
営業利益
3,236
5,851
7,704
10,440
3,366
2,890
(営業利益率)
18.86%
24.58%
24.22%
25.04%
24.44%
18.79%
経常利益
3,247
5,865
7,617
10450
3352
2894
当期利益
1,859
3,103
4,634
6,370
2,105
1,757
 
 
[ 2013年1月31日 ]
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