アイコン イタリア選挙 混迷深め急激に円高シフト 総選挙で5つ星運動大躍進・グリッロ

イタリア総選挙、開票中であるが、下院では開票率85%、財政再建を継続するとしている民主党のベルサーニ書記長が率いる中道左派連合の得票率が29.8%、緊縮策の見直しを掲げ大型減税などを公約しているベルルスコーニ前首相の中道右派連合が28.9%となっている。
一方、全国の20の州ごとに選挙が行われた上院では、開票率92%で、中道左派連合が31.7%、中道右派連合が30.6%となっているが、地元メディアでは最終的には中道右派連合が議席数で逆転する勢いと伝えている。
新しい政権が発足するには、上下両院で過半数の承認を得なければならず、上院ではいずれの政党も過半数を得られない見通しとなり、安定した政権の発足は難しい情勢となっている。

上院はベルルスコーニ前首相の中道右派113議席(減税派)、ベルサニ率いる中道左派105議席(緊縮財政派)、グリッロの5つ星運動、モンティ首相の中道連合25議席と予想され、過半数を取る政党はなく、混迷を深めている。
中道左派・民主党のエンリコ・レッタ副書記長は、明確な勝利者がいない限り国内情勢は不安定化し、欧州やユーロに打撃を与える。また、イタリア有権者の55%~60%は、欧州・ユーロ・独メルケル首相に対し、容赦のない反対票を投じたことになる」とTVインタビューに答えている。また、5つ星運動が大躍進している。
こうしたことから、25日のNYダウは、欧州の再迷走は米国経済へも影響するとして、200ドル以上(▲216.40ドル下げ13,784.17ドル)下げ、円はドルに対して2.53円も円高(91.42円)に振れ、ユーロも5.31円の円高(119.62円)となっている(日本時間6時29分現在)。
なお、26日8時50分現在、日本の日銀総裁人事に反応しているのか、ドルは92.57円、ユーロは120.94円まで戻している。

<5つ星運動>
今回の選挙で大躍進を遂げたグリッロの5つ星運動は、スローガンを「水・環境・交通・ネットへの無料接続・開発」としているが、既成政党に不満の有権者を一身に集めている。代表のグリッロ氏は、コメディアンとして風刺を通して政治の世界に踏み出し、1980年代の中頃、イタリア社会党の指導部を「盗っ人」呼ばわりしたために、公的テレビ放送から締め出され、舞台に活動の場所を見つけ、新しい道を歩き始める。20年以上前から一貫している彼の批判姿勢は、政治権力と大企業との癒着に対する辛らつな批判となっている。

同性愛嫌い、外国人嫌いで知られ、イタリア生まれの移民二世にイタリア国籍を与えようとする法案は「ナンセンス」だと表明している。
5つ星運動はリーダーのいないリーダーシップの組織で、グリッロは組織なき組織のスポークスマン的な立場としている。但しグリッロのブログに「非規約」という名の規約を承認した人たちだけが5つ星運動を名乗ることができるが、承認すれば誰でも名乗ることができ、一般人の参加型の運動体となっている。また、グリッロには、唯一の権力として除名権があり、「非規約」を逸脱した者に対しては除名処分することができるようになっている。

今後、政党として動けば議員たちは既成政党に嫌気がさした右翼も左翼もおり、まとめることは困難と見られている。グリッロ自身、これまで議員や政党の腐敗・癒着にターゲットを絞ってきたため、明確な政治姿勢を打ち出してはいない。しかし、既成政党に投票することに躊躇した有権者が26.3%という高い投票をもたらしたことも事実である。

なにか、日本の橋下氏に似ているようだが、彼もまた、今では枠の中に納まってしまった感がある。

[ 2013年2月26日 ]
モバイル
モバイル向けURL http://n-seikei.jp/mobile/
スポンサード リンク

コメント

関連記事

  • この記事を見た人は以下も見ています
  •  
  • 同じカテゴリーの記事です。
  •   


PICK UP

↑トップへ

サイト内検索