アイコン タッチパネル世界市場5,265億円 今後拡大へ/富士経済

富士経済は、タッチパネル市場について、スマートフォン、タブレット端末が牽引、PCはじめアプリケーションも広がり、17年のタッチパネル世界市場は19億4,160万枚(12年比73%増)、8,853億円(同68%増)が予想される。
大半を占める静電容量式では、アウトセル型ガラスセンサーからカバーガラス一体型、インセル型、オンセル型へ移行が進むほか、アウトセル型フィルムセンサーの需要も拡大すると見ている。

<調査結果の概要>
<タッチパネル市場規模>
 
2012年
2017年予測
17年/12年比
 数 量(万枚)
112,395
194,160
172.7%
 金 額(億円)
5,265
8,853
168.1%
 
タッチパネル世界市場は、2012年に前年比46.5%増の11億2,395万枚、同49.9%増の5,265億円となった。
静電容量式タッチパネルの代表的なアプリケーションであるスマートフォン、タブレット端末の急速な普及により大幅に市場が拡大した。また、「Windows 8/RT」(Microsoft)の発売を受けてノートPCやデスクトップPCなど比較的画面の大きなアプリケーションへの静電容量式タッチパネル搭載が本格化したほか、カーナビゲーションシステムなどの車載ディスプレイやDSC(デジタルスチルカメラ)などのアプリケーションにおいても、静電容量式タッチパネルの搭載が広がった。
 
2017年のタッチパネル世界市場は、2012年比72.7%増の19億4,160万枚、同68.1%増の8,853億円が予測される。
 
静電容量式タッチパネルは、4~20インチの入力デバイスとして確固たる地位を確立すると考えられる。アプリケーションの広がりと共に、軽量・薄型・低価格化を図ってアウトセル型ガラスセンサー(ITOガラスを用いたタッチセンサー)からカバーガラス一体型、インセル型、オンセル型への移行が進むほか、アウトセル型フィルムセンサー(ITOフィルムを用いたタッチセンサー)の需要も増加する見通しである。
 
抵抗膜式タッチパネルは静電容量式への移行が進み縮小が進む一方、ローエンドのアプリケーションをはじめとした用途では底堅いと見られる。

 タッチパネルの方式別に見ると、静電容量式への移行が進んでおり、2012年は静電容量式がタッチパネル世界市場の82.9%(数量ベース、以下同)を占めた。今後も抵抗膜式からの移行が進み、2017年のタッチパネル世界市場における静電容量式の構成比は95.1%に上ると予測される。
 
1.静電容量式 アウトセル型
 2012年時点においては、静電容量式はアウトセル型が主流であり、タッチパネル世界市場の66.3%を占めた。アウトセル型のうち、低価格かつ軽量で耐衝撃性に優れたフィルムセンサーが復権しており、特にタブレット端末以上の大画面アプリケーションにおいて需要が拡大している。

 今後はアウトセル型ガラスセンサーからカバーガラス一体型への移行が進むとみられ、タッチパネル世界市場におけるアウトセル型の構成比は2017年に41.9%へ縮小すると予測される。

2.静電容量式 カバーガラス一体型
 カバーガラス一体型は、アウトセル型ガラスセンサーからの移行が進んでいるものの、強度面など技術的な課題があることから、強度が求められるスマートフォンへの搭載がやや下火となっている。一方、スマートフォンほど強度が求められていないノートPCやウルトラブックでの採用は増えているほか、タブレット端末でも「Google Nexus 7」(ASUSTeK Computer)などへ搭載が進んでいる。

 カバーガラス一体型は軽量・薄型・低価格化に優位であることから、技術的課題の改善と共にミドル・ハイエンドのスマートフォンを中心に急速な需要拡大が考えられ、2017年にはタッチパネル世界市場の32.8%を占めると予測される。

3.静電容量式 インセル型
 インセル型は、軽量・薄型化を可能とするほか、全光線透過率の向上などパネルの高付加価値化に優位性がある。そのため、「iPhone 5」(Apple)をはじめとしたハイエンドのスマートフォンに採用されている。インセル型は開発コストが高く、生産メーカーも限られることから、当面は一部のハイエンドのスマートフォンへの搭載に留まると考えられる。

4.静電容量式 オンセル型
 オンセル型は大半がAMOLED(アクティブマトリクス式有機EL)向けであり、「GALAXYシリーズ」(Samsung El.)のスマートフォンへの採用がほとんどである。AMOLED向けは今後も「GALAXY」への搭載を中心に拡大していくほか、LCD向けについても2013年に量産開始される見通しである。

5.抵抗膜式
 最大用途先であった携帯電話、スマートフォンにおいて静電容量式への移行が進んでいることから、大幅な減少が続いている。一方、ゲーム機やカーナビ、産業用途では底堅い需要があるほか、ペン入力が求められる用途やコストパフォーマンスが重視される用途などでは需要が残ると考えられる。

<タッチパネル構成部材 世界市場>
 
2012年
2017年予測
17年/12年比
 金 額(億円)
7,906
12,619
159.6%
 
タッチパネル構成部材は、ITOガラス、ITOフィルム、カバーガラス、OCA(光学用透明粘着テープ)、回路配線材、コントローラICなど32品目を対象とした。
 静電容量式タッチパネルの拡大と連動して構成部材の需要も大幅に増加している。2012年のタッチパネル構成部材世界市場は、前年比61.9%増の7,906億円となった。品目別に構成比を見ると、カバーガラス(加工品)が34.5%、次いでコントローラICが29.0%を占めた。静電容量式タッチパネルの構成部材は各品目とも好調だったが、中でも「iPad mini」(Apple)をはじめとするタブレット端末においてアウトセル型フィルムセンサーの採用が増えたことで、その構成部材であるITOフィルムが前年比3倍以上に急増した。

 静電容量式タッチパネルでは、アウトセル型ガラスセンサーはカバーガラス一体型、インセル型、オンセル型への移行が進むと考えられるが、これらはアウトセル型に比べて部材の使用が少ない。また、LCD市場が飽和する中でこれまでの技術・知見を活用してタッチパネル市場に参入する部材メーカーが増えていることから価格競争も生じており、タッチパネル構成部材市場の拡大幅は徐々に鈍化していく見通しである。
以上。

[ 2013年2月19日 ]
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