アイコン サンテックパワー/社債デフォルト 太陽光発電パネル世界最大手 経営破綻

国際協調融資等は2012年3月19日、転換社債の債務不履行を起こした太陽光発電システムの世界最大手のサンテックに対して、クロスデフォルト、つまり債務不履行と見なした。
サンテック・パワー・ホールディングス(尚徳太陽能電力、サンテック)は、今月15日に期日を迎えた転換社債5億41百万ドル(約514億円)の償還に付き、債務不履行に陥った。
これに伴い、世界銀行グループの国際金融公社(IFK・UL)や中国の中国国家開発銀行などから受けた融資にもクロスデフォルトが発生した。
現在もサンテックは、本社がある地元無錫市の江蘇省政府からの救済を求め無錫政府と交渉しており、救済される可能性もあるが、太陽光発電パネルは、世界の生産上位を中国勢が占めており、どこの会社も似たり寄ったりの業績不振に喘いでいる。

中国政府も前面に出てサンテックの面倒を見れば、同業他社や窮地に陥っているほかの業界企業も救済を要請されることになり、地方政府に任せ按配を探っているものと思われる。
そうしたことから、サンテックの13日は、政府と救済交渉に入っていると伝えられたが、サンテックは15日の決済資金の支援を地方政府から引き出せず、社債償還をデフォルトさせてしまった。
社債償還を2ヶ月間猶予した投資家(6割)もおり、最終的には2ヶ月後、社債や借入金の大半を債務免除させた後、地方政府が救済するのではとされている(日本のADR近い再建方法)。
しかし、社債所有者のハゲタカのトロンハイム・キャピタル・パートナーズは、償還しないならば、訴訟を起こすとしており、法律に基づき破綻させない限り、まだひと悶着もふた悶着もありそうだ。ただ、新華社は20日次の通り伝えている。

<新華社>
新華社は20日、サンテックは江蘇省政府から、破産(米国と同じ民事再生)・再生に関する具体的な方針について既に承認を受け、同社は破産に向け動いていると報じている。
サンテックの2012年3月末の債務額は22億ドル(約2,090億円)。従業員8千人。2010年の生産量は1,572MW。
昨年8月には、NY株式市場で、経営不振から株価が1ドルを割り込み、その責任を取り創業者兼オーナーであった施正栄氏は辞任した。施正栄氏は2006年のアメリカのフォーブス誌が発表している世界富豪ランキングで中国人として最高位の世界40位に選出されていた。それも今や昔、時間軸が非常に短くなった。

<クロスデフォルト条項>
クロスデフォルト条項(Cross Default)とは、融資がデフォルト状態にあることを貸し手が、宣言した時点において、自動的に発行する条項であり、同じ借り手に対して提供している他の融資や借り入れもデフォルトに陥ったことになる条項のことを指す。

<前回のJC-NET記事 2013年3月14日の掲載>
サンテック(NY上場)では、15日に期日到来する社債額が5億41百万ドル(約519億円)あるが、社債権者に対して2ヶ月間の延期要請を行い6割が同意したものの、4割は承諾していないとされている。約2億ドルの資金調達さえママならない状況に陥っている。
中国政府は、これまで政策的に太陽光発電セルやモジュール=太陽光発電パネルの生産を後押しして、今や中国企業は世界の上位メーカーを独占している。
しかし、最大の需要国であった欧州諸国が、財政不安から経済が大沈滞、サンテックなど中国の太陽光発電パネルメーカーは、価格の暴落で大赤字に至り、今や過剰設備を抱え、破綻を待つばかりとなっている。
今後、欧州経済が少々回復したところで、太陽光発電事業は国家政策の補助金に基づき普及しており、緊縮財政を取り続ける必要がある欧州各国の財政事情下で、大きく需要が増加することは到底望めようもないのが実情。
 中国政府は、大気を綺麗にするためにも国家政策で太陽光発電の普及に取り組むべきであるが、普及も遅々として進まず、足元の環境汚染はそれどころではない。

サンテックを生かすも殺すも明日の15日・2ヶ月後の15日中国政府の対応次第となっている。ただ、今、企業規模の大きいサンテックを中国政府にとっても潰すわけにはいかないだろうとの見方が市場の大勢を占めている。

太陽光発電セル生産ランキング
 
社名
市場シェア
1
SUNTEC
6.6%
中国
2
Ja Solar
6.1%
中国
3
First Solar
5.9%
米・独・マレーシア
4
英利(Yingli)
4.7%
中国
5
Trina Solar
4.7%
中国
 
[ 2013年3月21日 ]
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