アイコン 日本の国防 米軍制服組トップ「デンプシー統合参謀本部議長」/NHK単独インタビューの要旨

(米軍のトップであるデンプシー統合参謀本部議長が、4月21日~4月27日まで、韓国・中国・日本を訪問、同行を許可された報道機関(米2社・日本1社)であるNHKの記者は、4月26日都内で直接インタビューを行った。 聞き手:樺沢記者)

 

Q)
北朝鮮の現状をどう分析しているか。ミサイル発射実験が行われる可能性をどう見ているか?

A)
過去の行動から、将来を予想するならば、北朝鮮がミサイル発射に踏み切る可能性は高い。しかし、新たな指導者のもと、北朝鮮の行動を予測することは非常に難しくなった。挑発的言動が、これまでのように短い周期で行われるのではなく、今は長期化している。こうした状況では、誤解などによって事態がエスカレートしかねない。

Q)
中国側との会談で、中国側が東シナ海の問題をどこまで重視していると受けとめたか?

A)
中国側が、非常に重要な問題だと考えているのは明らかだ。東シナ海の問題は、会談した指導者が挙げた3つか4つの議題の1つだった。習近平国家主席を含め、人民解放軍幹部など5人の指導者と会談したが、すべての指導者が東シナ海の領有権の問題に言及した。
それに対して私は、平和的、政治的な解決を模索すべきで、軍事力による解決の手段を用いるべきではないというアメリカの基本方針を率直に伝えた。さらにアメリカは、日本に対して条約上の義務があり、それを尊重しているということもはっきりと伝えた。

Q)
会談の中で中国側は、尖閣諸島について「核心的利益」という言葉を使ったのか?

A)
中国側は確かに「核心的利益」という言葉を数回にわたって使った。私もこの言葉が、中国にとって主権に関わる重要なことばだということを知っている。中国側は、確かにこの言葉を東シナ海、南シナ海、台湾、さらに他の地域に対して使った。

Q)
仮に日本と中国の間で軍事衝突が起きた場合、アメリカが日本防衛を支援すると保証できるか?

A)
まず、そうした状況が起きないようにすることが最優先だ。今回の中国訪問で、米中がともに確認したのは、緊急事態に双方が連絡を取り合うことができる関係を作ることの重要性だった。両国の軍の間にはすでに電話による通信手段は確立されている。さらに、例えばテレビ電話のシステムも必要かもしれない。緊迫した事態は、中国軍と自衛隊、もしくはアメリカ軍との間で、海、空などの領域で起こりうる。そうした際に双方がとるべき、行動パターンを事前に定めておく必要がある。

 

Q)
将来、アメリカが日本か中国かを選ばなければならない時が来ると考えるか?

A)
中国と日本の指導者と同じような会話をした。もしアメリカがどちらかを選ばなければならない状況が来るとすれば、それは非常に不幸なことだ。国際社会はそれを望んでいないだろう。
ただアメリカには条約上の義務があり、それを尊重する。そうした状況になれば、アメリカは、もちろん日本を選ぶ。しかしそうした状況にならないようにすることがわれわれの最大の目標だ。
つまり、日本との同盟関係をさらに強化する一方で、中国が周辺国を威圧せずに平和的に繁栄した国になっていく環境を作らなければならない。

Q)
シリアやイラン、アフガニスタンなど、中東などでの作戦を進める一方で、どのようにアジア重視の戦略を進めていくのか?

A)
アジア太平洋地域が今後、経済面、安全保障面で世界の中心になっていくことは間違いない。それはアメリカ政府全体としての一致した考えだ。
我々は、アジア、中東、南半球、ヨーロッパ、すべての地域で起こる問題に対応する能力を備えている。アメリカ国内では、国防予算削減の動きも出ているが、われわれはこの問題も乗り越えることができるだろう。
アメリカには、世界の安全を守るという役割がある。市場への自由な参入、航海の自由などを維持していく責任があるのだ。

Q)
日本では現在、自国の安全保障、さらに地域の安全保障により大きな役割を担うべきだという議論がある。アメリカ軍は、こうした動きをどう見るか?

A)
私は、アメリカ大統領の軍事顧問であって、それ以外の国に対する評価は避けたい。ただ、日本国内で起きているこの議論を非常に興味深く見ている。
日本がみずからの法的枠組みの中で、地域の安全保障にどういった役割、責任を果たしていくべきかと議論することはとても健全なことだ。日本の自衛隊は、非常に意識が高く、世界の同盟国の中でも能力はトップクラスだ。その能力をどう使うかは、日本国民が決めるべきことだ。

Q)
アメリカにとって、日本と韓国はともに主要な同盟国だが、日韓の間に軍事的な協力はほとんどない。アメリカは、この現状をどう見ているのか?

A)
非常に不幸なことだ。日本と韓国の間に歴史的に難しい問題が存在することはよく理解している。だが、アメリカのパートナーである両国に言いたいのは、こうした微妙な問題を理解したうえで、新たな歴史を作るために前進すべきだということだ。日米韓が同じ脅威に対して、協力して対処すれば、我々の能力はさらに高まる。3か国が協力すれば、この地域はより安全になるのだ。

以上、NHK記事

 

4月23日デンプシー議長は、習近平国家主席と会談したが、その席では尖閣問題は話が出なかったものの、中国共産党中央軍事委員会の范長龍副主席(習国家主席に続く軍部№2)との会談では、尖閣に対して「核心的利益」という表現(これまで台湾やチベット問題のみで使用)を中国側が使用したようだ。(習近平は、尖閣問題を政権の地固めに最大限利用している)

 

[ 2013年5月 7日 ]
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