アイコン 長崎県新庁舎移転計画に思う。2章

東日本大震災の反省を都市計画に生かせ

建築ジャーナル建築ジャーナルに掲載された元長崎総合科学大学教授で今春まで長崎市の都市計画審議会会長を務めた鮫島和夫氏が長崎県が魚市跡地に強引に進めようとしてい る新県庁舎建設の根本問題を鋭く指摘している。イテーン・リケーンと必死に鳴いていたチジに爪の垢でも煎じて飲ませてやりたい論文である。

東日本大震災の被害の特徴の一つは、役場・消防・警察などの庁舎が壊滅し、かつ職員に死者を含む多数の被害が出たことである。
防災・避難・救援の拠点とそれを指示する頭脳および立ち働く手足を奪われたのである。復興にあたっても、仮設庁舎と不足する人員や不十分なシステムで立ち 向かう困難を余儀なくされている。ここから得られる重要な教訓の一つは、行政庁舎など防災拠点は災害履歴などから予測して当該都市の最も安全な場所に立地 するよう選定されねばならない、ということである。被災地では復興にあたって、公共施設はじめ避難困難者を多く抱える病院や福祉施設を高台に移転させるこ とが真剣に検討・計画されている。

ところが長崎県では、長崎駅の南に隣接する魚市跡地(埋立地)などに県庁舎と県警本部庁舎を新築移転しようとしている。「防災拠点の整備」と「分散化し た庁舎の統合」を標榜しながら、なぜ危険なところに移転するのか。誰もが抱く疑問に科学的で丁寧な回答はない。そして、移転新築計画は基本設計から実施設 計の段階へと強力に進行中である。中心商店街による移転計画凍結の署名活動も展開されているが、事業が止まる様子はない。
都市計画の無視とその結果の重大性へ警句を告げる必要性を強く感じ、私は筆を執った次第である。

[ 2013年5月 9日 ]
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