アイコン もんじゅの鈴木篤之理事長が辞任

日本原子力研究開発機構の鈴木篤之理事長が17日、辞任した。運転停止中の高速増殖炉「もんじゅ」につい て、原子力規制委員会が同機構に対し、安全管理体制が杜撰(1万点に及ぶ未点検問題)として、運転再開に向けた準備作業の中止と管理体制の再構築を命令 し、年度内の運転再開が困難な情勢となっていた。

鈴木篤之氏の専門は、核燃料サイクル工学。核燃料サイクル安全,放射性廃棄物環境安全,原子力安全の社会化(セイフティ・コミュニケーション),原子力安全の国際化(グローバル・パートナーシップ)などに取り組んできた。もんじゅのナトリウム漏洩火災事故については、背景にある「組織の隠ぺい体質」をたびたび批判していた。

新潟県中越沖地震において柏崎刈羽原子力発電所が「想定を上回る地震動」を受けたことを反映し、原子力安全委員会において原子力発電所の耐震指針改訂に取り組んだ。

鈴木篤之理事長の略歴
1971年(昭和46年)3月 東京大学大学院工学系研究科博士課程修了
1971年(昭和46年)3月 東京大学工学博士取得 論文の題は「軽水型動力炉の最適燃料交換計画に関する研究」。
1986年(昭和61年)8月 東京大学教授
1992年(平成4年) 東京大学大学院工学系研究科教授(システム量子工学専攻)
2001年(平成13年)4月 内閣府原子力安全委員会委員
2006年(平成18年)4月 内閣府原子力安全委員会委員長
2010年(平成22年)6月 財団法人エネルギー総合工学研究所理事長
2010年(平成22年)8月17日 独立行政法人日本原子力研究開発機構理事長

良識派と見られていた鈴木篤之氏さえ、組織の中に入れば、それまで批判を続けてきた問題さえも解決できない日本原子力研究開発機構の根の深~い天下り・公務務員的隠蔽体質の組織体制に歯も立たないことが浮き彫りになった。結局、鈴木氏は御用学者の領域から出ることはなく、それまでの安全委員会の委員として東電福島原発水素大爆発問題の責任も背負うことになった。
 

[ 2013年5月17日 ]
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