京大の宮内雄平准教授らのチーム カーボンナノチューブの新メカニズム発見
宮内雄平エネルギー理工学研究所特任准教授、松田一成 同教授、東京大学からなる研究チームは、将来のナノメートルサイズの量子光・電子デバイスへの応用が期待されているカーボンナノチューブを、従来よりも桁 違いに効率良く光らせる新たなメカニズムを世界にさきがけて見出した。
本研究成果は、2013年7月7日(英国時間)に英国科学雑誌「Nature Photonics」に掲載されました。
カーボンナノチューブは、炭素原子のシート1層(グラフェン)を直径わずか1ナノメートル程度(髪の毛の10万分の1程度)の円筒状に丸めた細線状のナノ 材料(量子細線)です。極限的に細い量子細線であるカーボンナノチューブは、光をあてたり電流を流すことでエネルギーを与えると近赤外の光を発する(発光 する)ことが知られており、将来のナノサイズの光ファイバー通信用省エネルギー光源や高感度な光検出器等への応用が期待されています。しかし、通常、カー ボンナノチューブが発光する効率は非常に低く(約1%程度)、実用化のためには、大幅にその効率を上げる(明るくする)ことが強く求められていた。
今回、研究グループは、長さ数百ナノメートルのカーボンナノチューブ「量子細線」上に約1個という非常に希薄な割合で、電子を局所的に閉じ込める役割を担う「特異点」(量子ドット)を作ることに成功し、その発光の効率を調べた。
その結果、常温において特異点(量子ドット)部分は、カーボンナノチューブ固有の細線部分(約1%程度)と比べ、約20倍以上の桁違いに高い効率で発光(約18%程度)していることを見出した。
このことは、カーボンナノチューブ量子細線上への量子ドットの導入により、カーボンナノチューブ固有の性質を超える非常に高い発光効率を達成できることを示しており、従来の低い効率の壁を打ち破るブレイクスルーになるものと期待される。
カーボンナノチューブは、環境負荷が小さく、非常にありふれた元素である炭素でできているため、本成果により将来的には、光ファイバー通信用の高効率な光源などを、これまで必須であったレアメタルやレアアースなどの希少元素を一切用いることなく作れるようになると期待される。
さらに、極限的に細いカーボンナノチューブ量子細線上に埋め込まれた明るい特異点(量子ドット)のユニークな性質を利用することで、これまで液体ヘリウム温度(-269度)のような極低温の世界でしか実現できなかった、電子の波としての性質を利用した新しい量子光機能や素子を、エネルギーを大量に消費する冷却装置を使わず常温で実現することにもつながると期待される。
常温で安定なカーボンナノチューブ上の量子ドット状態は、1次元のカーボンナノチューブ量子細線に、その固有の性質とは異なる0次元的(量子ドット的)な新たな光機能をもたらすと期待される。
将来的にはこれらの機能を利用し、エネルギー消費の大きな冷却装置を必要せずに常温で動作させることができる、量子暗号通信用の通信帯域での単一光子発生素子などの新しい量子光機能素子の実現にも繋がると考えられるとしている。
専門領域の発明であり、内容はほとんどわからないが、すごい発見なのだろう。今回、発表することで中国にエセパテントを山ほど登録されないようにしてもらいたいものだ。
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