アイコン どこへ消えた日銀の膨大な国債購入資金

円のシャブ漬けとなる日銀による金融機関保有の国債購入による市場資金の増加が、企業や個人への貸し付けに流れていないことが如実となっている。
中国ではあるまいし、シャドーバンキング並みに、ワッサ債権購入に当てられている可能性もある。
6月の全国の銀行融資残高は、昨年同月比2.2%上回ったものの、伸率はほぼ横ばいの状態が続いており、日銀が市場に供給している大量の資金が企業や個人への貸し出しに十分につながっていないことが判明している。
日銀が8日、発表した「貸出・預金動向」によると、全国の銀行による6月の融資残高は、403兆6406億円で、前年同月比2.2%の増加となり、21ヶ月連続で前年同月を上回った。しかし、伸率は、本年5月と比し0.1ポイントのプラスにとどまっている。

これは、海外企業の買収や不動産投資信託などへの投資のための資金需要が伸びた一方で、企業の設備投資の動きが一部にとどまっているためとみられている。
日銀は、本年4月から、金融機関から大量の国債を買い入れることで市場に資金を供給し、大規模な金融緩和策を導入した。市場に供給された資金量は大規模な金融緩和を始める前の本年3月末比で18%余り増えている。ところが、融資の伸率は、ほぼ横ばいの状態が続いており、日銀が供給している大量の資金が、企業や個人への貸し出しにつながらず、投機資金に回っていることが顕著となっている。

金融のグローバル化により入ってきた外資、米国を筆頭とするハゲタカファンドが、日本株が安い時期(平成10年~15年)に購入、その後、金融機関が不良債権処理を終え、貸し出しを増やし、世界も好景気だったことから、業績も伸んだ。しかし、ハゲタカファンドは、日本企業に対し、高額配当するよう脅しをかける一方、乗っ取りの動きを見せたため、日本企業は企業体質を磐石にし、特定株の浮気を封じ込みるとともに、挙って配当を良くした。
こうして日本企業の体質改善=借金返済が進み、リーマン・ショック以前の好景気時、企業は潤沢な自己資本や流動性資金を確保し、設備投資も行っていた。
そのため、今回、日銀が資金を潤沢に市場に流しても、企業は、内需や外需がよほど改善されない限り、資金ニーズがなくなっている。当然、日本企業の多くが、設備投資をリーマン・ショック前に行っており、現在でも生産整備が過剰状態にあり、資金ニーズがないのが実態である。

金融機関に溜まった資金は、海外投資や債権購入の投機資金に流れているのが実態のようだ。世界経済が浮上してくれば、その限りではないが、巨大市場である欧州も中国も経済低迷では、尚更、資金ニーズには限りがある。
そうしたサイクルでは、雇用の増加、所得増にも限界があり、内需拡大も制約されてしまう。また、円安で物価上昇により、電力料金、食料品などの値上がりのほか、自動車保険料の値上がりなどもあり可処分所得が減少していることも現実だ。自動車の国内販売台数も、補助金廃止から減少に転じており、新たに国内工場を造るにしても限定的なものとなる。

頼りの欧州は低迷が続き、ポルトガルがまた危うくなってきている。最近の中国では、日本企業が対中国投資を減らしたことも、景気低迷の一因とする論評が出てきているほとだ。
ソフトバンクがスプリント社買収にまとめて金を借りましたではシャレにもならない。
がんばれ、アベノミクス。

[ 2013年7月 9日 ]
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