アイコン 第一四半期のGDP2.6%は幻か

アベノミクスによる経済波及効果は、円安による輸出企業の業績向上、株高、株俄か成金と気分好調の消費増に支えられ、GDPの第一四半期(3~6月)の伸び率は、物価の変動を除いた実質で0.6%。年換算値では2.6%となり、GDPは3期連続でプラスとなった。
特に「個人消費」が、GDPでも0.8%のプラスとなり、底堅い動きが確認された。しかし、雇用を生み出す設備投資は6期(四半期)連続してマイナスとなっている。
ところが、底堅いとされる「個人消費」も、大きなウエイトを占める家電量販店の売上高が6月の2桁増から7月は一転してマイナスに転じている。以下、主な流通業者の7月前年同月比で増加した企業と、減少した企業。

<7月増加した主な企業>前年同月比
三越伊勢丹が1.6%増
ファミリーマートが7.8%増
スターバックスが9.8%増
良品計画が6.4%増
ユニクロが10.0%増
吉野家が4.8%増
ニトリが9.5%増
クスリのアオキが22.4%増

<7月減じた主な企業>前年同月比
アパレルのTSIホールディングスが15.5%減、
パルコが4.1%減
カー用品のオートバックスが8.6%減
ホームセンターのコーナン商事が4.1%減
弄繰り回しのマクドナルドが0.8%減(1~6月累計は11.0%減)
ブラック大賞のワタミが4.3%減
紳士服の青山商事が4.5%減
すき家が3.3%減
カッパ寿司が5.0%減
通販のニッセンが20.5%減
などとなっている。

4~6月のGDPを押し上げた個人消費は、7月も猛暑退避のコンビニやスターバックス、ユニクロなどは好調に推移したものの、すでにマイナスに転じている企業も多く、額がはる家電品も7月は急転直下マイナスとなっている。
こうしたことからも、消費税増税に動く安倍政権の政策は、第2四半期(7~9月)のGDPしだいでは、危ういものになる可能性もある。
家計の可処分所得が、ガソリン代や電気代、輸入原材料の食料品の値上げが相次ぐ中、また国家公務員に続き地方公務員(約277万人)の所得も減少する一方で、個人消費が増加し続けることは至難の業。それも設備投資が以前マイナスに至っていることからも、雇用の増加も限られる。
(設備投資は自動車を筆頭に海外への設備投資中心であり、輸出企業はこうした傾向が続く。機械等の輸出企業は、中国経済が欧州経済の低迷とシャドーバンキングに翻弄され沈没しており、多くの増加は望めようもない。内需型の設備投資は、リーマン・ショック前までの大型設備投資で現在も過剰生産設備下にあり、更新需要や補修等の需要に限られているのが現状である。以前は花形・ドル箱だった家電や半導体などは既に日本では衰退してしまった。)

救いは、特別予算の10兆円の公共投資であり、これからが予算執行の本番を迎えることだけだろう。その公共投資も、老朽化インフラの改修・改善に用いられず、新設ばかりに動けば、近い将来には必ず大型改修工事が必要となり、そのための公共投資の予算拡大により、赤字国債の大量発行を続けなければならず、1000兆円を超えた国の借金が、止め処もなく増加することは必然となる。その暁には、買い手が減り、金利上昇を招き国債が爆発することになる。日本のスーパーバンクは既にグローバル化し、日本だけでやれる金融機関ではなくなっている。
住宅投資も期待される、しかし、消費税増税前の駆け込み需要による大幅増加であり、これもまた一過性のものである。更に来年は大幅反動減になる可能性すらある。

世界経済がリーマン・ショックを引きずり低迷する中、円安誘導による景気も限られてきている。段々、株高・業績好調の化けの皮も世界経済が低迷する中(アメリカのハゲタカのハゲタカ政策が、新興国の景気の上げ下げを気ままなものにし、新興国の経済成長が急激に鈍化しつつある。それは欧州でドン引き状態の中国経済にも影響してくる)、剥き加減となってきており、家電・半導体等をなくし好調産業も限られ、新たなる公共投資も限られている。しかし、景気回復だけは真から望まれるところである。

過去、日本がバブル当時どん底であったアメリカ経済が立ち直ったのは、世界市場を相手とするIT産業の隆盛にあった。IT産業により景気回復を図り税収増を果たし、今日がある。今また、シェールガス革命をもたらしている。
日本は、旧態依然の自動車産業だけでは何ともおぼつかない。安倍総理が標榜する最新医療にしても、厚労省・文科省らが学会とともに利権を牛耳る限り、遅々として先は見えてこない。

[ 2013年8月13日 ]
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